公開日 2012/12/25 17:02
DSD対応USB-DAC一斉レビュー<第2回>コルグ「DS-DAC-10」
注目7モデルを短期集中試聴
DSD対応USB-DACを7モデルにわたって一斉試聴する今回の企画。第2回目は、2012年11月に登場したコルグのDSD対応USB-DAC「DS-DAC-10」(関連ニュース)を紹介していく。
※第1回 ラトック「RAL-DSDHA1」「RAL-DSDHA2」のレビューはこちら
■「AudioGate」との組み合わせで手軽かつ安定したDSD再生を実現
手軽にDSD音源の素晴らしさを楽しんでもらおう。そんなコンセプトによって作り上げられたのがコルグのUSB-DAC「DS-DAC-10」だ。そんな明快なキャラクターによるものか、そのシステムも一般的なUSB-DACとは趣がだいぶ異なっている。
まず、「DS-DAC-10」がメインとしている音楽フォーマットがDSDである(正確にはリニアPCMにも対応しているのだがあくまでもサブ扱いで、そのあたりは後ほど書かせていただく)という点が興味深い。USB-DACといえば、普通はリニアPCMへの対応がメインで、DSD対応製品でもそちらが付加機能として考えられているイメージがある。しかし「DS-DAC-10」は全く逆で、DSD再生に特化した製品となっているのだ。
専用のプレーヤーソフト「AudioGate」とセットで活用するのが前提であることもユニーク。このソフトを使うことによって、2.8224MHzだけでなく5.6448MHzデータの再生にも対応するほか、mp3やwavなどのオーディオ・ファイル、さらにはCDそのものの音源も、5.6448MHzのDSDデータに変換して再生を行うことができる。早くからDSDレコーダーをリリースしているコルグならではの、ユニークな発想だ。
ちなみに、現在のところDSDネイティブ再生はASIOドライバーを用いたWindows(Windows XP SP3以降、Windows 7まで動作確認済み)でのみの対応となっている。ASIOに対応していないMacは、リニアPCMへ変換しての再生となる(なお、Mac用ドライバーの開発が進められていることも先日アナウンスされた)。そう、冒頭で触れたとおり、「DS-DAC-10」はDSDだけでなくPCM音源にもしっかり対応しているのである。ASIOドライバーを活用できるWindowsパソコンで「AudioGate」とセットで使うことによって、本機はDSDネイティブ再生、およびDSD変換再生が行えるようになるのだ。iTunesなど他のプレーヤーソフトや、Mac(Mac OS X 10.5以降)で活用しようとした場合には、リニアPCM再生のみとなってしまう。ただし、リニアPCMも最高192kHz/24bitに対応しており、スペック上では十分以上といえる。
次に「DS-DAC-10」のディテールを見ていこう。ボディサイズは幅120×奥行き150×高さ48mmとコンパクトで、今回試聴したDSD対応機の中では最も小型だ。デスクの上でも、まず邪魔にならないサイズといえる。入出力端子については、入力はUSBのみとなるが、出力はヘッドホン、アナログRCA出力、同軸デジタル出力と3系統を用意している。ただし、このうち同軸デジタル出力は、リニアPCM再生時のみの対応となっているので、注意が必要だ。
さて、実際のサウンドを確認すべく、DSDファイルを再生してみる。音色傾向は繊細で緻密な表現を得意とするタイプのようだ。解像感はそれほど高くないものの、必要十分なレベルが確保されているため、描写がなかなかに細やか。ボーカルの微妙なニュアンスまで、しっかり感じ取ることができた。DSDネイティブ再生をメインとしたコンセプトが幸いしてか、コストパフォーマンスを考えるとなかなかのレベルのクオリティと言える。
一方、リニアPCMに曲を変えると、勢いやメリハリはかなり良くなるものの、その分荒さが目立つ、やや大味なサウンドにシフトした。とはいっても、DSDと比較すればの話であって、その点が気になるという方は少ないだろう。逆に、リニアPCMの方が勢いがあって好ましい、と感じる方がいるかもしれない。
どちらにしても、専用プレーヤーソフトを用意することで、セットアップの手軽さと安定した動作を確保しており、完成度の高い製品であることは確かだ。DSD音源に興味がある人で、設定の煩わしさを回避したい、コストパフォーマンスの高い製品で気軽にスタートしたいという人には、もってこいの製品といえる。
【執筆者プロフィール】
野村ケンジ
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。
※第1回 ラトック「RAL-DSDHA1」「RAL-DSDHA2」のレビューはこちら
■「AudioGate」との組み合わせで手軽かつ安定したDSD再生を実現
手軽にDSD音源の素晴らしさを楽しんでもらおう。そんなコンセプトによって作り上げられたのがコルグのUSB-DAC「DS-DAC-10」だ。そんな明快なキャラクターによるものか、そのシステムも一般的なUSB-DACとは趣がだいぶ異なっている。
まず、「DS-DAC-10」がメインとしている音楽フォーマットがDSDである(正確にはリニアPCMにも対応しているのだがあくまでもサブ扱いで、そのあたりは後ほど書かせていただく)という点が興味深い。USB-DACといえば、普通はリニアPCMへの対応がメインで、DSD対応製品でもそちらが付加機能として考えられているイメージがある。しかし「DS-DAC-10」は全く逆で、DSD再生に特化した製品となっているのだ。
専用のプレーヤーソフト「AudioGate」とセットで活用するのが前提であることもユニーク。このソフトを使うことによって、2.8224MHzだけでなく5.6448MHzデータの再生にも対応するほか、mp3やwavなどのオーディオ・ファイル、さらにはCDそのものの音源も、5.6448MHzのDSDデータに変換して再生を行うことができる。早くからDSDレコーダーをリリースしているコルグならではの、ユニークな発想だ。
ちなみに、現在のところDSDネイティブ再生はASIOドライバーを用いたWindows(Windows XP SP3以降、Windows 7まで動作確認済み)でのみの対応となっている。ASIOに対応していないMacは、リニアPCMへ変換しての再生となる(なお、Mac用ドライバーの開発が進められていることも先日アナウンスされた)。そう、冒頭で触れたとおり、「DS-DAC-10」はDSDだけでなくPCM音源にもしっかり対応しているのである。ASIOドライバーを活用できるWindowsパソコンで「AudioGate」とセットで使うことによって、本機はDSDネイティブ再生、およびDSD変換再生が行えるようになるのだ。iTunesなど他のプレーヤーソフトや、Mac(Mac OS X 10.5以降)で活用しようとした場合には、リニアPCM再生のみとなってしまう。ただし、リニアPCMも最高192kHz/24bitに対応しており、スペック上では十分以上といえる。
次に「DS-DAC-10」のディテールを見ていこう。ボディサイズは幅120×奥行き150×高さ48mmとコンパクトで、今回試聴したDSD対応機の中では最も小型だ。デスクの上でも、まず邪魔にならないサイズといえる。入出力端子については、入力はUSBのみとなるが、出力はヘッドホン、アナログRCA出力、同軸デジタル出力と3系統を用意している。ただし、このうち同軸デジタル出力は、リニアPCM再生時のみの対応となっているので、注意が必要だ。
さて、実際のサウンドを確認すべく、DSDファイルを再生してみる。音色傾向は繊細で緻密な表現を得意とするタイプのようだ。解像感はそれほど高くないものの、必要十分なレベルが確保されているため、描写がなかなかに細やか。ボーカルの微妙なニュアンスまで、しっかり感じ取ることができた。DSDネイティブ再生をメインとしたコンセプトが幸いしてか、コストパフォーマンスを考えるとなかなかのレベルのクオリティと言える。
一方、リニアPCMに曲を変えると、勢いやメリハリはかなり良くなるものの、その分荒さが目立つ、やや大味なサウンドにシフトした。とはいっても、DSDと比較すればの話であって、その点が気になるという方は少ないだろう。逆に、リニアPCMの方が勢いがあって好ましい、と感じる方がいるかもしれない。
どちらにしても、専用プレーヤーソフトを用意することで、セットアップの手軽さと安定した動作を確保しており、完成度の高い製品であることは確かだ。DSD音源に興味がある人で、設定の煩わしさを回避したい、コストパフォーマンスの高い製品で気軽にスタートしたいという人には、もってこいの製品といえる。
【執筆者プロフィール】
野村ケンジ
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。