公開日 2014/05/15 15:32
ESOTERICの一体型デジタルプレーヤー「Kシリーズ」全4モデルを徹底視聴
全モデルSACD/CD&ネットオーディオ対応
この程、発売以来大きな支持を獲得しているエソテリックの一体型デジタルプレーヤーKシリーズに、待望の弟機K-05とK-07が登場した。ここでは、ラインアップが完成したKシリーズ4機種をまとめて試聴し、それぞれのモデルの位置づけと魅力を検証していきたい。
Kシリーズの目指した方向性
■高品位USBオーディオ再生にも対応独自のこだわりを追求した一体型モデル
エソテリックは昨年末にリリースしたK-05に引き続いてK-07を発表し、同社のSACD/CD一体型プレーヤー群のKシリーズを完成させた。
KシリーズのトップモデルとセカンドモデルのK-01とK-03が世に出たのは一昨年秋のことだった。両モデルは一体型ディスクプレーヤーの究極の姿を希求すべく開発されたもので、いささかの妥協もなされていなかった。いや、それどころか筆者のようなケチな男はオーバークオリティを疑ったほどである。というのも、K-01には片チャンネルあたり8基ものDACが使用されていたり、さまざまな回路に専用のトランス4基が奢られたりしていたからだ。弟機のK-03にしてもDACは片チャンネル4基で、デジタル系とアナログ系にそれぞれ専用の電源トランス(2基)が与えられていた。
K-05とK-07は、エクスペリメンタル色の強かった従来のKシリーズに、現実味を帯びさせるべく誕生したモデルだ。ラインアップ的には前者がX-05の、後者がSA-50の後継機に位置付けられる。筐体はK-01/03の流れをダイレクトに受け継いでおり、曲線仕上げを施されたアルミの削り出しパネルで構成される。これはシリーズに視覚的・音色的統一感をもたせるための手法であろう。現代のオーディオ機器の設計では、回路もさることながら筐体が非常に重要なのだ。回路面ではK-05/07ともに、片チャンネルあたり2基のDACと強力なアナログ出力回路が与えられている。デジタル入力も充実しており、上級機と同様、同軸、光のほかにUSB入力端子を装備している。これによって、Kシリーズは全モデルともSACD/CD/ネットオーディオに対応する、最強のラインアップとなった。
新登場したK-05、K-07の特徴と音質傾向
■品位ある筐体と回路はほぼ同等で最大の違いはドライブメカニズム
K-05とK-07の筐体と回路は、基本的にほぼ同等と考えていい。最大の違いはドライブメカニズムで、K-05にはエソテリック独特のターンテーブル式のVRDS-NEOが与えられているのに対して、K-07にはコンベンショナルな方式に近いVOSPというメカニズムが採用されている。両者に音的な差異があるのは当然だが、それよりも同社は、同グレードの旧モデルからの音の進化を、リスナーがどう受け止めるかに留意して開発を進めたように思われる。
■K-07はミュージカリティが高い印象 オーディオ的、音楽的にも解像度が高い
まずはK-07の先代モデルのSA-50を聴いたのだが、その堅実でカッチリとした表現は現在でも十分通用すると思われる。また、このモデルには48kHz/16bitのスペックではあるものの、USB入力端子が装備されている。しかしながら新製品のテストをなりわいとしている筆者の耳には、かすかな音の輪郭線と、低音のスタビリティ不足が感じられた。
それに比べてK-07のサウンドは、遥かにミュージカリティが高い印象を受ける。音の輪郭線は希薄で、低音は自然でスタビリティが高い。音場はより広く、音量のキャパシティも十分にある。ジャズはオーディオ的なクオリティの高さと、音楽的なノリの良さが高度な次元で両立している。ヴォーカルは音の粒立ちとナチュラルな声の質感が好ましい。クラシックはエネルギッシュな表現を基本としているが、オーディオ的にも音楽的にも解像度が極めて高い。
■K-05は動的な表現力など著しい進化 音楽を漏らさず聴き取ることができる
次にK-05の先代機、X-05を聴いた。このモデルはK-05と同じグレードのVRDS-NEOメカを搭載しているだけあって、そのサウンドは聴感上のS/Nが非常に高く、音場にも音像にもある種の静けさがある。周波数レンジ感も極めて広く、オーディオ製品としてハイレベルな完成度を有している。ただし、音楽的にはやや静的な傾向があるので、実際にシステムを組む時はアンプ等で音作りをしなければならないだろう。
それに対してK-05は遥かに動的な表現をする。もちろんスペック的にも聴感的にも著しい進歩を遂げているのだが、その高性能には音楽表現に向かうベクトルが感じられるのだ。ジャズはリッチで滑らか。ディテールの描出が明瞭で、こちらから聴きに行かなくても細部が自然に耳に入ってくる。ヴォーカルは、清楚と色気の二元論にあてはまらないクレバーな表現が印象的だ。これは新感覚の聴き味である。クラシックはホールの音場感が堪能できるとともに、音楽の内容を細大漏らさず聴き取ることができる。
今回の試聴でK-05とK-07には、性能面よりもむしろ音楽的に微妙な差異があることが理解できた。
Kシリーズの目指した方向性
■高品位USBオーディオ再生にも対応独自のこだわりを追求した一体型モデル
エソテリックは昨年末にリリースしたK-05に引き続いてK-07を発表し、同社のSACD/CD一体型プレーヤー群のKシリーズを完成させた。
KシリーズのトップモデルとセカンドモデルのK-01とK-03が世に出たのは一昨年秋のことだった。両モデルは一体型ディスクプレーヤーの究極の姿を希求すべく開発されたもので、いささかの妥協もなされていなかった。いや、それどころか筆者のようなケチな男はオーバークオリティを疑ったほどである。というのも、K-01には片チャンネルあたり8基ものDACが使用されていたり、さまざまな回路に専用のトランス4基が奢られたりしていたからだ。弟機のK-03にしてもDACは片チャンネル4基で、デジタル系とアナログ系にそれぞれ専用の電源トランス(2基)が与えられていた。
K-05とK-07は、エクスペリメンタル色の強かった従来のKシリーズに、現実味を帯びさせるべく誕生したモデルだ。ラインアップ的には前者がX-05の、後者がSA-50の後継機に位置付けられる。筐体はK-01/03の流れをダイレクトに受け継いでおり、曲線仕上げを施されたアルミの削り出しパネルで構成される。これはシリーズに視覚的・音色的統一感をもたせるための手法であろう。現代のオーディオ機器の設計では、回路もさることながら筐体が非常に重要なのだ。回路面ではK-05/07ともに、片チャンネルあたり2基のDACと強力なアナログ出力回路が与えられている。デジタル入力も充実しており、上級機と同様、同軸、光のほかにUSB入力端子を装備している。これによって、Kシリーズは全モデルともSACD/CD/ネットオーディオに対応する、最強のラインアップとなった。
新登場したK-05、K-07の特徴と音質傾向
■品位ある筐体と回路はほぼ同等で最大の違いはドライブメカニズム
K-05とK-07の筐体と回路は、基本的にほぼ同等と考えていい。最大の違いはドライブメカニズムで、K-05にはエソテリック独特のターンテーブル式のVRDS-NEOが与えられているのに対して、K-07にはコンベンショナルな方式に近いVOSPというメカニズムが採用されている。両者に音的な差異があるのは当然だが、それよりも同社は、同グレードの旧モデルからの音の進化を、リスナーがどう受け止めるかに留意して開発を進めたように思われる。
■K-07はミュージカリティが高い印象 オーディオ的、音楽的にも解像度が高い
まずはK-07の先代モデルのSA-50を聴いたのだが、その堅実でカッチリとした表現は現在でも十分通用すると思われる。また、このモデルには48kHz/16bitのスペックではあるものの、USB入力端子が装備されている。しかしながら新製品のテストをなりわいとしている筆者の耳には、かすかな音の輪郭線と、低音のスタビリティ不足が感じられた。
それに比べてK-07のサウンドは、遥かにミュージカリティが高い印象を受ける。音の輪郭線は希薄で、低音は自然でスタビリティが高い。音場はより広く、音量のキャパシティも十分にある。ジャズはオーディオ的なクオリティの高さと、音楽的なノリの良さが高度な次元で両立している。ヴォーカルは音の粒立ちとナチュラルな声の質感が好ましい。クラシックはエネルギッシュな表現を基本としているが、オーディオ的にも音楽的にも解像度が極めて高い。
■K-05は動的な表現力など著しい進化 音楽を漏らさず聴き取ることができる
次にK-05の先代機、X-05を聴いた。このモデルはK-05と同じグレードのVRDS-NEOメカを搭載しているだけあって、そのサウンドは聴感上のS/Nが非常に高く、音場にも音像にもある種の静けさがある。周波数レンジ感も極めて広く、オーディオ製品としてハイレベルな完成度を有している。ただし、音楽的にはやや静的な傾向があるので、実際にシステムを組む時はアンプ等で音作りをしなければならないだろう。
それに対してK-05は遥かに動的な表現をする。もちろんスペック的にも聴感的にも著しい進歩を遂げているのだが、その高性能には音楽表現に向かうベクトルが感じられるのだ。ジャズはリッチで滑らか。ディテールの描出が明瞭で、こちらから聴きに行かなくても細部が自然に耳に入ってくる。ヴォーカルは、清楚と色気の二元論にあてはまらないクレバーな表現が印象的だ。これは新感覚の聴き味である。クラシックはホールの音場感が堪能できるとともに、音楽の内容を細大漏らさず聴き取ることができる。
今回の試聴でK-05とK-07には、性能面よりもむしろ音楽的に微妙な差異があることが理解できた。