公開日 2014/11/14 11:00
【レビュー】ATH-MSR7×AT-PHA100を組合わせ!オーディオテクニカの最高音質ポータブルを検証
11月14日発売
オーディオテクニカから、新ドライバーを採用した“ハイレゾ対応”のポータブルヘッドホン「ATH-MSR7」と、DSDやハイレゾにも対応したUSB-DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「AT-PHA100」が登場する。ポータブルでいつでもどこでも高音質を楽しめる、ハイレゾ時代に対応した2製品の組み合わせを、岩井喬氏がクオリティチェックした。
ヘッドホンのトップランナー・オーディオテクニカが送り出す
「ポータブルでも高音質」を実現する組み合わせの実力とは?
この秋オーディオテクニカが放つ新製品の中で特別な意味を持つのが、ハイレゾの世界に完全対応した「ポータブルかつ高音質」なラインナップである。その核となるのが、ハイレゾソースに対してもモニタークラスの素直な追随性を見せる密閉型ヘッドホン「ATH-MSR7」と、現在の主要なハイレゾ音源のレートに対応できるUSB-DACを内蔵した、音質重視のポータブルヘッドホンアンプ「AT-PHA100」だ。
「ATH-MSR7」については個別レポートで詳しく触れているが、もう一方の「AT-PHA100」はオーディオテクニカとしてポータブルヘッドホンアンプ(ポタアン)では初めての高付加価値モデルとなる。市場のトレンドという側面も無視できない要素だが、ヘッドホン分野でトップランナーといえるオーディオテクニカが、ポータブル環境で妥協のない最良の音質を得るための手段として導き出した答えが、この「AT-PHA100」、そして「ATH-MSR7」なのではないか。それはこれまでの同社製品が持つサウンドイメージを引き継ぎながらも、“ネクストステップ”の片りんをも感じさせる世界観を提示しているかのようである。
ポータブル機でも据え置きモデルに匹敵するクオリティを実現させるため、回路構成やデバイスにこだわりサウンドチューニングを行った「AT-PHA100」は、DACチップ(ESS製ES9018K2M)からUSBドライバー(SAVITECH製BRAVO-HD SA9227)、プリ段オペアンプ(NJR製MUSES8832)に最新の素子を組み合わせ、活況を呈するポタアン市場の中でも他とは違う個性を打ち出した。
筺体のセンター部にボリュームを配置する斬新なデザインは操作系と入出力を上手に分離させており、持ち運びしやすいスマートな外装設計とスタイリッシュなデザインを実現している。単体での使用はもちろんのこと、携帯性と高音質を両立させた「ATH-MSR7」との組み合わせにより、音だけではない洗練されたポータブル・リスニング・スタイルを標榜しているかのようだ。加えて、DAC部から音の最終出力部となるヘッドホンまでを一つのスタンスでまとめ上げることにより、オーディオテクニカが最善と考えるハイレゾの理想的なサウンドがこの組み合わせで実現できるということでもある。
気になる音質をチェック!
「ATH-MSR7」と「AT-PHA100」を組み合わせたサウンドは非常にバランス良く解像度、S/N共に優れたもので、質感描写も密度と流麗さを伴い、スムーズかつクリアで鮮明な音色だ。「ATH-MSR7」とPCM-D100を直結で聴いた時のような切れ味鋭いアタックは影をひそめ、リアルできめ細やかなナチュラルテイストはそのままに、音像の肉付きが増し、安定度の高い落ち着きあるサウンドとなっていた。オーケストラの管弦楽器はほぐれ良く、ハーモニーも付帯感のない澄んだ響きを聴かせてくれる。低域の制動感も弾力を適度に聴かせ、アタックの質感も耳当たり良い。ボーカル描写もすっきりと輪郭を浮き立たせているが、硬さはなく、クールな余韻がとても爽やかに感じられる。ボディの厚みも適度に持たせており、細身にならないバランスも見事だ。
ハイレゾ音源ではより抑揚が豊かに感じられ、安定した中域の厚みとスムーズなディティール表現に磨きがかかる。リリースのキレもスピーディーで、管弦楽器の余韻は瑞々しい。ボーカルの輪郭はシャープかつクールに際立つが、DSD音源では余韻の階調性が緻密であり、前述した特徴に加え、柔らかいテイストも両立してくれている。弦楽器の癖のない艶やかさとナチュラルな肉付き感、空間性の素直な表現力も出色の出来といえるだろう。同価格帯のポータブル機としては非常にクオリティが高く、C/Pの点も申し分ない。
「ATH-MSR7」と「AT-PHA100」は各々確固とした実力を持つモデルである。そんな両機を組み合わせたサウンドは、オーディオテクニカならではの清楚でクリアなサウンドを軸としながら、これまで以上にバランスと密度、音場の表現力を高めた、ハイレゾ時代にふさわしい完成度を持っていると言えるだろう。
【試聴音源】
・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜春(HQM:192kHz/24bit)
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋、夢であるように(192kHz/24bit・WAV&2.8MHz・DSDマスターデータ)
・シカゴ『17』〜ワンス・イン・ア・ライフタイム(HD Tracks:192kHz/24bit)
・Suara『DSDライブセッション』〜桜(OTOTOY:2.8MHz・DSD)
ヘッドホンのトップランナー・オーディオテクニカが送り出す
「ポータブルでも高音質」を実現する組み合わせの実力とは?
この秋オーディオテクニカが放つ新製品の中で特別な意味を持つのが、ハイレゾの世界に完全対応した「ポータブルかつ高音質」なラインナップである。その核となるのが、ハイレゾソースに対してもモニタークラスの素直な追随性を見せる密閉型ヘッドホン「ATH-MSR7」と、現在の主要なハイレゾ音源のレートに対応できるUSB-DACを内蔵した、音質重視のポータブルヘッドホンアンプ「AT-PHA100」だ。
「ATH-MSR7」については個別レポートで詳しく触れているが、もう一方の「AT-PHA100」はオーディオテクニカとしてポータブルヘッドホンアンプ(ポタアン)では初めての高付加価値モデルとなる。市場のトレンドという側面も無視できない要素だが、ヘッドホン分野でトップランナーといえるオーディオテクニカが、ポータブル環境で妥協のない最良の音質を得るための手段として導き出した答えが、この「AT-PHA100」、そして「ATH-MSR7」なのではないか。それはこれまでの同社製品が持つサウンドイメージを引き継ぎながらも、“ネクストステップ”の片りんをも感じさせる世界観を提示しているかのようである。
ポータブル機でも据え置きモデルに匹敵するクオリティを実現させるため、回路構成やデバイスにこだわりサウンドチューニングを行った「AT-PHA100」は、DACチップ(ESS製ES9018K2M)からUSBドライバー(SAVITECH製BRAVO-HD SA9227)、プリ段オペアンプ(NJR製MUSES8832)に最新の素子を組み合わせ、活況を呈するポタアン市場の中でも他とは違う個性を打ち出した。
筺体のセンター部にボリュームを配置する斬新なデザインは操作系と入出力を上手に分離させており、持ち運びしやすいスマートな外装設計とスタイリッシュなデザインを実現している。単体での使用はもちろんのこと、携帯性と高音質を両立させた「ATH-MSR7」との組み合わせにより、音だけではない洗練されたポータブル・リスニング・スタイルを標榜しているかのようだ。加えて、DAC部から音の最終出力部となるヘッドホンまでを一つのスタンスでまとめ上げることにより、オーディオテクニカが最善と考えるハイレゾの理想的なサウンドがこの組み合わせで実現できるということでもある。
気になる音質をチェック!
「ATH-MSR7」と「AT-PHA100」を組み合わせたサウンドは非常にバランス良く解像度、S/N共に優れたもので、質感描写も密度と流麗さを伴い、スムーズかつクリアで鮮明な音色だ。「ATH-MSR7」とPCM-D100を直結で聴いた時のような切れ味鋭いアタックは影をひそめ、リアルできめ細やかなナチュラルテイストはそのままに、音像の肉付きが増し、安定度の高い落ち着きあるサウンドとなっていた。オーケストラの管弦楽器はほぐれ良く、ハーモニーも付帯感のない澄んだ響きを聴かせてくれる。低域の制動感も弾力を適度に聴かせ、アタックの質感も耳当たり良い。ボーカル描写もすっきりと輪郭を浮き立たせているが、硬さはなく、クールな余韻がとても爽やかに感じられる。ボディの厚みも適度に持たせており、細身にならないバランスも見事だ。
ハイレゾ音源ではより抑揚が豊かに感じられ、安定した中域の厚みとスムーズなディティール表現に磨きがかかる。リリースのキレもスピーディーで、管弦楽器の余韻は瑞々しい。ボーカルの輪郭はシャープかつクールに際立つが、DSD音源では余韻の階調性が緻密であり、前述した特徴に加え、柔らかいテイストも両立してくれている。弦楽器の癖のない艶やかさとナチュラルな肉付き感、空間性の素直な表現力も出色の出来といえるだろう。同価格帯のポータブル機としては非常にクオリティが高く、C/Pの点も申し分ない。
「ATH-MSR7」と「AT-PHA100」は各々確固とした実力を持つモデルである。そんな両機を組み合わせたサウンドは、オーディオテクニカならではの清楚でクリアなサウンドを軸としながら、これまで以上にバランスと密度、音場の表現力を高めた、ハイレゾ時代にふさわしい完成度を持っていると言えるだろう。
【試聴音源】
・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜春(HQM:192kHz/24bit)
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋、夢であるように(192kHz/24bit・WAV&2.8MHz・DSDマスターデータ)
・シカゴ『17』〜ワンス・イン・ア・ライフタイム(HD Tracks:192kHz/24bit)
・Suara『DSDライブセッション』〜桜(OTOTOY:2.8MHz・DSD)