公開日 2014/11/14 11:24
独ULTRASONE本社で「Editionシリーズ」の製造現場を見た − その驚くべきクラフトマンシップとは?
最新シリーズ「Performance」についても話を聞いた
ULTRASONEのドイツ本社を山本敦氏が訪問。究極の“こだわり”を詰め込んだULTRASONEの限定プレミアムヘッドホン「Editionシリーズ」がどのように製造されているのか、そのモノづくりの現場をレポートする。さらに、そのDNAを受け継ぐ新作「Performanceシリーズ」も確認することができた。
音質・デザイン・マテリアル、全てにおいて“ヘッドホンの常識”に囚われずに理想を追求しているULTRASONEのプレミアムヘッドホン、「Edition」シリーズ。ハイレゾという言葉がまだオーディオに浸透していなかった2006年に、シリーズ最初のモデルである「Edition 9」が発売された。ULTRASONEはマスター音源のクオリティに日々対峙するプロのスタジオエンジニアから信頼を得て、成長してきたブランドだ。いま改めて初期Editionの音を最新ハイレゾプレーヤーで聴いてみると、驚くほどに忠実な再現力が実感され、時代がようやくEditionに追いついてきたことがよくわかる。
そのEditionが生産されているドイツのULTRASONE本社を訪ねて、こだわりのモノづくりの現場に触れる機会を得ることができた。本社はドイツ南部バイエルン州の州都・ミュンヘンから車で1時間ほどのWielenbachという豊かな自然に恵まれた小さな町にある。本社に巨大な工場や生産装置があるわけではなく、同じバイエルン州に拠点を構えるパートナー企業が各パーツをそれぞれの工場で製造。ULTRASONE本社では集められたパーツの品質チェックや最終の組み立て作業が行われている。今回は2件のパートナー企業の工場も訪ねてきた。
■ドイツらしさにあふれるクラフトマンシップ
最初はEditionのハウジング製作と金属メッキ加工を担当する企業に足を運んだ。ドイツの人気観光ルートであるロマンチック街道のクライマックス、フュッセン近郊にある。ここでは金型から「Edition 8」や「Edition 10」のハウジングを作成して、メタルコーティングをかけるという一連の流れを覗かせていただいた。
圧巻だったのは「Edition 8 Romeo」のハウジングにも採用されている「PVDコーティング」の装置。クリーンルームに配置した専用の機械により、パラディウムなど金属をプラマガスのアルゴンと反応させて物理蒸着塗装を行うことで、ハウジング表面に硬質なコーティングを形成する。スタッフによれば、「蒸着塗装のメリットとしては塗りの厚みが色味を調整しやすく、加工時間も早い」ことだという。
次は木工製作の企業に足を運んだ。普段はカスタムオーダーの高級家具を多く手がけている木工のスペシャリスト集団だ。こちらでは「Edition 5」のハウジングをつくる工程を拝見した。
大型の加工機械を使って一枚の“埋もれ木”の板材から左右のハウジングを彫り上げていく。できあがったパーツはひとつずつ手でヤスリをかけながら細部を整える。スタッフによれば「埋もれ木はとても堅い木材なので、一枚板のどこかに節目があるとヒビが入ったり歪みが生じてしまう」のだという。形を整えた後はラッカーで計7回コーティングしていく。コーティングをかける度に木が変形するので、毎度表面をサンドペーパーで平らに磨きながらコートしていく作業の繰り返しだ。ハウジングのパーツを1ペア作るのに約2時間はかかるという、相当な集中力と根気を要する作業だ。
こうしてできあがったパーツがULTRASONEの本社に到着して、社内のスタッフによりハンドメイドで1台ずつ組み立てられる。ドイツの巧みたちの技と情熱がひとつになって、Editionシリーズは次第に形を成していく。
音質・デザイン・マテリアル、全てにおいて“ヘッドホンの常識”に囚われずに理想を追求しているULTRASONEのプレミアムヘッドホン、「Edition」シリーズ。ハイレゾという言葉がまだオーディオに浸透していなかった2006年に、シリーズ最初のモデルである「Edition 9」が発売された。ULTRASONEはマスター音源のクオリティに日々対峙するプロのスタジオエンジニアから信頼を得て、成長してきたブランドだ。いま改めて初期Editionの音を最新ハイレゾプレーヤーで聴いてみると、驚くほどに忠実な再現力が実感され、時代がようやくEditionに追いついてきたことがよくわかる。
そのEditionが生産されているドイツのULTRASONE本社を訪ねて、こだわりのモノづくりの現場に触れる機会を得ることができた。本社はドイツ南部バイエルン州の州都・ミュンヘンから車で1時間ほどのWielenbachという豊かな自然に恵まれた小さな町にある。本社に巨大な工場や生産装置があるわけではなく、同じバイエルン州に拠点を構えるパートナー企業が各パーツをそれぞれの工場で製造。ULTRASONE本社では集められたパーツの品質チェックや最終の組み立て作業が行われている。今回は2件のパートナー企業の工場も訪ねてきた。
■ドイツらしさにあふれるクラフトマンシップ
最初はEditionのハウジング製作と金属メッキ加工を担当する企業に足を運んだ。ドイツの人気観光ルートであるロマンチック街道のクライマックス、フュッセン近郊にある。ここでは金型から「Edition 8」や「Edition 10」のハウジングを作成して、メタルコーティングをかけるという一連の流れを覗かせていただいた。
圧巻だったのは「Edition 8 Romeo」のハウジングにも採用されている「PVDコーティング」の装置。クリーンルームに配置した専用の機械により、パラディウムなど金属をプラマガスのアルゴンと反応させて物理蒸着塗装を行うことで、ハウジング表面に硬質なコーティングを形成する。スタッフによれば、「蒸着塗装のメリットとしては塗りの厚みが色味を調整しやすく、加工時間も早い」ことだという。
メッキ工場にて |
次は木工製作の企業に足を運んだ。普段はカスタムオーダーの高級家具を多く手がけている木工のスペシャリスト集団だ。こちらでは「Edition 5」のハウジングをつくる工程を拝見した。
大型の加工機械を使って一枚の“埋もれ木”の板材から左右のハウジングを彫り上げていく。できあがったパーツはひとつずつ手でヤスリをかけながら細部を整える。スタッフによれば「埋もれ木はとても堅い木材なので、一枚板のどこかに節目があるとヒビが入ったり歪みが生じてしまう」のだという。形を整えた後はラッカーで計7回コーティングしていく。コーティングをかける度に木が変形するので、毎度表面をサンドペーパーで平らに磨きながらコートしていく作業の繰り返しだ。ハウジングのパーツを1ペア作るのに約2時間はかかるという、相当な集中力と根気を要する作業だ。
木工所にて |
こうしてできあがったパーツがULTRASONEの本社に到着して、社内のスタッフによりハンドメイドで1台ずつ組み立てられる。ドイツの巧みたちの技と情熱がひとつになって、Editionシリーズは次第に形を成していく。