公開日 2016/02/12 10:17
【レビュー】USB-DAC搭載などで大幅刷新、デノン新プリメインアンプ「PMA-2500NE」を聴く
アナログ入力/デジタル入力の音質を検証
デノンのHi-Fiオーディオの中核ラインナップである2000/1650シリーズが、“2500NEシリーズ”へと進化を遂げた。中でも中級プリメインアンプの代表格であるPMA-2000が、新たにUSB-DACを内蔵して「PMA-2500NE」(関連ニュース)として登場したことは大きな反響を呼んだ。(DNP-2500NEのレビュー)に続き、山之内正氏がPMA-2500NEのサウンドを検証。アナログ入力とデジタル入力それぞれの音質を集中的に試聴した。
■20年の歴史を誇る“2000シリーズ”がDACを内蔵して“2500”シリーズへと進化
オーディオ製品の中でロングセラーはどちらかというと少数派だ。機能や意匠を頻繁に変えた方が新しさをアピールしやすく、リスナーもそれを期待しているところがある。それだけに、コンセプトや基本設計に一貫性のある長寿モデルは貴重な存在で、歴史が長いほど付加価値も高まる。シリーズとしての歴史が20年に及ぶデノンのPMAー2000はまさにその代表格で、中級プリメインアンプの定番として高い人気を維持してきた。
そのPMA-2000がプレーヤーのDCD-1650とともに型番を新たにし、そろって2500シリーズへと世代交代を果たした。今回はマイナーチェンジではなく、コンセプト自体を一新したことが注目すべきポイントだ。従来機はアナログ入力専用でソース機器は限定されていたが、今回はUSBを含むデジタル入力を完備することで、パソコンや映像機器との組み合わせも最初から視野に入れている。ハイレゾ再生を1台で担い、リスニングルームだけでなくリビングオーディオにも守備範囲を広げたPMA-2500NE。肝心の音はどう進化したのか、多様なソースで検証を進めた。
■アナログ/デジタル部を完璧に遮断することで実現したピュアなサウンド
本機の詳細な仕様については、すでに発表会レポートで紹介されているので、今回は特にその音質にフォーカスしてレビューを進めていきたい。まずはCDプレーヤーのアナログ出力を接続して、アンプの基本性能を確認する。これまで国内ブランドのアンプは上位機種ほどデジタル入力を排除する傾向が強かったが、そこにはアナログ回路へのノイズ混入を避けるという理由があった。一方、本機はデジタル入力用の電源を専用化しており、「アナログモード」をオンにすることでデジタル回路を電源レベルで遮断し、純粋なアナログアンプとして動作する設計を採り入れている。アナログモードを選んだときはデジタル入力は表示されず、選べない仕組みだ。また、電源遮断に加えて入力ポジション表示を消灯するモードも設けるなど、ノイズ対策は徹底していて、その効果は予想以上に大きい。
アナログモードをオンにしてベースとヴォーカルのデュオを聴くと、無音からの声とベースの立ち上がりにハッとするようなテンションの高さを実感した。ノイズフロアが下がると同時にアタックの瞬発力が上がり、実演のリアリティに一歩近付いたように感じる。信号経路の短縮やリミッターの排除など、音の速さと瞬発力を高める工夫が成果を上げているのは明らかで、アナログモードはその効果を際立たせる役割を担っている。ベースはアンカーで固定したように音像がぶれず、ピチカートの輪郭がにじむこともない。芯のある骨太の音は従来機譲りだが、そこに音離れの良さが加わったことが新たな魅力を生んでいる。
R.シュトラウス『英雄の生涯』は、管弦楽曲のなかでも特に音数が多く、複数の旋律が同時進行するなど複雑さが際立つ作品だ。ヤルヴィとN響の演奏は、その構造を精密に描写しながら強い推進力で前に進む点が聴きどころで、PMA-2500NEの音は、まさにその解像力と推進力が両立していることに強みがある。オーケストラ全体としては低重心のバランスを維持する一方、木管や弦のフレーズは軽快な発音で勢い良く手前に飛び出してくる。短く細かい音符がトゥッティに埋もれないので、稠密に書き込まれた音符それぞれの役割が曖昧にならず、細部の積み重ねで作品の音響的な構造が鮮やかに浮かび上がるのだ。
■20年の歴史を誇る“2000シリーズ”がDACを内蔵して“2500”シリーズへと進化
オーディオ製品の中でロングセラーはどちらかというと少数派だ。機能や意匠を頻繁に変えた方が新しさをアピールしやすく、リスナーもそれを期待しているところがある。それだけに、コンセプトや基本設計に一貫性のある長寿モデルは貴重な存在で、歴史が長いほど付加価値も高まる。シリーズとしての歴史が20年に及ぶデノンのPMAー2000はまさにその代表格で、中級プリメインアンプの定番として高い人気を維持してきた。
そのPMA-2000がプレーヤーのDCD-1650とともに型番を新たにし、そろって2500シリーズへと世代交代を果たした。今回はマイナーチェンジではなく、コンセプト自体を一新したことが注目すべきポイントだ。従来機はアナログ入力専用でソース機器は限定されていたが、今回はUSBを含むデジタル入力を完備することで、パソコンや映像機器との組み合わせも最初から視野に入れている。ハイレゾ再生を1台で担い、リスニングルームだけでなくリビングオーディオにも守備範囲を広げたPMA-2500NE。肝心の音はどう進化したのか、多様なソースで検証を進めた。
■アナログ/デジタル部を完璧に遮断することで実現したピュアなサウンド
本機の詳細な仕様については、すでに発表会レポートで紹介されているので、今回は特にその音質にフォーカスしてレビューを進めていきたい。まずはCDプレーヤーのアナログ出力を接続して、アンプの基本性能を確認する。これまで国内ブランドのアンプは上位機種ほどデジタル入力を排除する傾向が強かったが、そこにはアナログ回路へのノイズ混入を避けるという理由があった。一方、本機はデジタル入力用の電源を専用化しており、「アナログモード」をオンにすることでデジタル回路を電源レベルで遮断し、純粋なアナログアンプとして動作する設計を採り入れている。アナログモードを選んだときはデジタル入力は表示されず、選べない仕組みだ。また、電源遮断に加えて入力ポジション表示を消灯するモードも設けるなど、ノイズ対策は徹底していて、その効果は予想以上に大きい。
アナログモードをオンにしてベースとヴォーカルのデュオを聴くと、無音からの声とベースの立ち上がりにハッとするようなテンションの高さを実感した。ノイズフロアが下がると同時にアタックの瞬発力が上がり、実演のリアリティに一歩近付いたように感じる。信号経路の短縮やリミッターの排除など、音の速さと瞬発力を高める工夫が成果を上げているのは明らかで、アナログモードはその効果を際立たせる役割を担っている。ベースはアンカーで固定したように音像がぶれず、ピチカートの輪郭がにじむこともない。芯のある骨太の音は従来機譲りだが、そこに音離れの良さが加わったことが新たな魅力を生んでいる。
R.シュトラウス『英雄の生涯』は、管弦楽曲のなかでも特に音数が多く、複数の旋律が同時進行するなど複雑さが際立つ作品だ。ヤルヴィとN響の演奏は、その構造を精密に描写しながら強い推進力で前に進む点が聴きどころで、PMA-2500NEの音は、まさにその解像力と推進力が両立していることに強みがある。オーケストラ全体としては低重心のバランスを維持する一方、木管や弦のフレーズは軽快な発音で勢い良く手前に飛び出してくる。短く細かい音符がトゥッティに埋もれないので、稠密に書き込まれた音符それぞれの役割が曖昧にならず、細部の積み重ねで作品の音響的な構造が鮮やかに浮かび上がるのだ。