公開日 2016/03/11 11:10
エソテリック「C-02X/S-02」レビュー − Grandioso直系のセパレートアンプの実力とは?
新旧モデル比較も実施
エソテリックの「Grandioso」シリーズ直系モデルとして、旗艦機の思想と技術が惜しみなく投入されたセパレートアンプ「C-02X/S-02」。本機の実力を鈴木裕氏が分析する。
■新2モデルの概要とポジショニング
旗艦シリーズのエッセンスを凝縮した、レギュラーモデルの最高峰機
エソテリックのフラッグシップは、いわずもがな「Grandioso」シリーズである。アンプで言えば、プリアンプ「C1」、モノラル・パワーアンプ「M1」とステレオ・パワーアンプ「S1」だ。そのテクノロジーと考え方を継承した、言ってみれば“レギュラーモデルの最高峰”に位置するセパレートアンプが、「C-02X」と「S-02」と言えるかもしれない。
結論から言うと、それぞれ一筐体の中にフラッグシップのエッセンスを凝縮した感のある製品だ。C-02Xは「C-02」の後継機種とは言え、同社のSACDプレーヤー「Kシリーズ」の“X”型番をまとう最新の4機種同様、その表現力は大きな進化を遂げている。S-02は系譜的には「A-02」の後継機種だが、その内容、音ともにGrandioso S1の弟的な存在であり、高い駆動力と特有の魅力ある音色を備え、独立した存在感を示している。
「C-02X」は電源回路など大幅に変更。さらなる音楽表現力向上を目指した
C-02Xと、旧モデルであるC-02を比較すると、デザイン的にはフロントフェイスの一部が変更されてかなり印象が変わったのだが、仕様面でこの2機種の違いは少ないようにも思えるかもしれない。ただし細部まで把握していくと、Grandioso C1の技術を大きく取り入れていることが分かる。そして実際に音を聴いてみると、そのひとつひとつは小さな要素に思える積み重ねが、結果としては音としてずいぶん大きな違いをもたらしていることに驚かされるのだ。プリアンプ作りが難しい所以である。
C-02から進化した部分だが、まず電源回路の基盤のパターンが変更された。つまり形が変更されている。もともとがデュアル・モノラル思想を徹底したもので、5つの電源トランスを独立させた内部のシメントリーさはうっとりするほどだが、さらにその細部を詰めてきたのだ。そして、ボリューム回路自体は変更されていないものの、ボリュームノブの形状や使われているベアリングが進化した。C1と同じく、VRDSドライブメカのベアリング機構を応用。芯ブレのない、高級な操作感をもたらしている。
大事なところなので音量調整の方式についても紹介しておこう。フルバランスで構成されるラダー型の抵抗を切り替えるやり方で、ゲインをコントロールして音量を調節する方式だ。これによってオーディオ基板からボリューム素子への配線をなくして信号経路を短縮。また、5種類のボリュームカーブを選択できたり、入力ごとにゲインを±18dBで設定、AVスルー出力を持たせられるなど、音量調整に関しての多機能さが特徴でもある。
バッファーアンプ部は、C-02からスルーレートが2000V/μsというハイスピードを誇る素子を採用しているが、C-02XではGrandioso C1用に開発したスーパーキャパシターアレイ(コンデンサー)を搭載。チャンネルあたり合計10万μFの容量を構成し、反応のいい、揺るぎない低域再生を支えている。
「S-02」はA-02の後継機と言うより、Grandioso S1の弟的な存在
ステレオ・パワーアンプのS-02の詳細を見ていこう。天板を外して内部を確認すると、中央のトランスの形以外、Grandioso S1とそっくりに見える。一番の違いはS1のトロイダルトランスのある部分に、S-02ではEI型のトランスが搭載されている点だ。物量投入型の電源部で、145W(8Ω)から580W(2Ω)までの出力をギャランティ。その主役がEIトランスというわけだ。940VAの容量を持つもので、巻き線から左右チャンネルを独立。5mm厚の鋼板製ベースにリジッドマウントされている。
電解コンデンサーはチャンネルごとに4700μF×3パラレルでデュアルモノ構成。ダンピングファクターは1000という数値を達成している。出力部はGrandiosoシリーズのパワーアンプと同じく、瞬間34アンペアを誇る大型のバイポーラLAPTトランジスター。これを5パラレルでプッシュプルとした3段ダーリントン回路を構成。また、ドライブ段2段目から最終段への出力インピーダンスを下げ、電流供給能力を高める独自の回路「LIDSC」も特徴だ。
■新2モデルの概要とポジショニング
旗艦シリーズのエッセンスを凝縮した、レギュラーモデルの最高峰機
エソテリックのフラッグシップは、いわずもがな「Grandioso」シリーズである。アンプで言えば、プリアンプ「C1」、モノラル・パワーアンプ「M1」とステレオ・パワーアンプ「S1」だ。そのテクノロジーと考え方を継承した、言ってみれば“レギュラーモデルの最高峰”に位置するセパレートアンプが、「C-02X」と「S-02」と言えるかもしれない。
結論から言うと、それぞれ一筐体の中にフラッグシップのエッセンスを凝縮した感のある製品だ。C-02Xは「C-02」の後継機種とは言え、同社のSACDプレーヤー「Kシリーズ」の“X”型番をまとう最新の4機種同様、その表現力は大きな進化を遂げている。S-02は系譜的には「A-02」の後継機種だが、その内容、音ともにGrandioso S1の弟的な存在であり、高い駆動力と特有の魅力ある音色を備え、独立した存在感を示している。
「C-02X」は電源回路など大幅に変更。さらなる音楽表現力向上を目指した
C-02Xと、旧モデルであるC-02を比較すると、デザイン的にはフロントフェイスの一部が変更されてかなり印象が変わったのだが、仕様面でこの2機種の違いは少ないようにも思えるかもしれない。ただし細部まで把握していくと、Grandioso C1の技術を大きく取り入れていることが分かる。そして実際に音を聴いてみると、そのひとつひとつは小さな要素に思える積み重ねが、結果としては音としてずいぶん大きな違いをもたらしていることに驚かされるのだ。プリアンプ作りが難しい所以である。
C-02から進化した部分だが、まず電源回路の基盤のパターンが変更された。つまり形が変更されている。もともとがデュアル・モノラル思想を徹底したもので、5つの電源トランスを独立させた内部のシメントリーさはうっとりするほどだが、さらにその細部を詰めてきたのだ。そして、ボリューム回路自体は変更されていないものの、ボリュームノブの形状や使われているベアリングが進化した。C1と同じく、VRDSドライブメカのベアリング機構を応用。芯ブレのない、高級な操作感をもたらしている。
大事なところなので音量調整の方式についても紹介しておこう。フルバランスで構成されるラダー型の抵抗を切り替えるやり方で、ゲインをコントロールして音量を調節する方式だ。これによってオーディオ基板からボリューム素子への配線をなくして信号経路を短縮。また、5種類のボリュームカーブを選択できたり、入力ごとにゲインを±18dBで設定、AVスルー出力を持たせられるなど、音量調整に関しての多機能さが特徴でもある。
バッファーアンプ部は、C-02からスルーレートが2000V/μsというハイスピードを誇る素子を採用しているが、C-02XではGrandioso C1用に開発したスーパーキャパシターアレイ(コンデンサー)を搭載。チャンネルあたり合計10万μFの容量を構成し、反応のいい、揺るぎない低域再生を支えている。
「S-02」はA-02の後継機と言うより、Grandioso S1の弟的な存在
ステレオ・パワーアンプのS-02の詳細を見ていこう。天板を外して内部を確認すると、中央のトランスの形以外、Grandioso S1とそっくりに見える。一番の違いはS1のトロイダルトランスのある部分に、S-02ではEI型のトランスが搭載されている点だ。物量投入型の電源部で、145W(8Ω)から580W(2Ω)までの出力をギャランティ。その主役がEIトランスというわけだ。940VAの容量を持つもので、巻き線から左右チャンネルを独立。5mm厚の鋼板製ベースにリジッドマウントされている。
電解コンデンサーはチャンネルごとに4700μF×3パラレルでデュアルモノ構成。ダンピングファクターは1000という数値を達成している。出力部はGrandiosoシリーズのパワーアンプと同じく、瞬間34アンペアを誇る大型のバイポーラLAPTトランジスター。これを5パラレルでプッシュプルとした3段ダーリントン回路を構成。また、ドライブ段2段目から最終段への出力インピーダンスを下げ、電流供給能力を高める独自の回路「LIDSC」も特徴だ。