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公開日 2017/01/18 12:06

38シリーズの歴史に残る傑作 ー ラックスマンのCD&プリメイン「D-380/LX-380」を聴く

伝統と最新技術が融合
井上千岳
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“木箱シリーズ”最新のCDプレーヤー&アンプを聴く

木製ケースに入った通称“木箱シリーズ”は、ラックスマンのラインアップの中でもユニークな存在である。元は2008年に復刻された管球式アンプ「SQ-38u」に始まるが、それ以降も、管球式に限らずCDプレーヤーやトランジスター・アンプなども登場して人気を博してきた。2015年には同社の創立90周年記念モデルとして、カリモク家具製ピアノフィニッシュの木箱に入ったプリアンプ「CL-38uL」も限定発売されている。

「D-380」(上)と「LX-380」(下)

この人気シリーズの最新モデルとなるのが、CDプレーヤー「D-380」(関連ニュース)と管球式プリメイン・アンプ「LX-380」(関連ニュース)である。

いずれも型番は「380」となっているが、同社は「38シリーズ」の一環として数えていて、LX-380は初代「SQ-38」から勘定すると12代目となるそうだ。なおこの2機種では初めて、幅440mmのフルサイズを採用した。

真空管/半導体出力の切り替えが可能なCD専用プレーヤー「D-380」

D-380は木箱シリーズとしては2作目となるCD専用プレーヤーで、2009年に発売された「D-38u」(関連ニュース)のコンセプトを引き継いだ形だ。出力回路に半導体と真空管の2系統を設け、切り替えて聴くことができるというもの。SACDは非対応として、CD専用とした点も従来機から引き継いでいる。CD専用機への需要はまだ意外に多いようで、出力もあっさりとRCA1系統、デジタル出力は装備しているがオン/オフすることができる。

「D-380」価格:290,000円(税抜)

ドライブメカニズムやシャーシ構造は一新され、信号読み取りなど基本部分での性能が向上している。メカベースを8mm厚の無垢アルミ製とし、ループレス構造のシールド付きボックスシャーシを採用した。

CD部分の筐体内部

D-380の内部構成

デジタル回路にはジッターリダクション回路を新しく搭載し、時間軸の精度を改善している。DACはTI社製の32ビット対応「PCM5102A」だが、このチップには2種類のデジタル・フィルターとバッファーアンプが内蔵されている。フィルターの切り替えで音質の変化を楽しむことができるが、先に述べた2種類の出力回路のうち半導体出力は、この内蔵バッファーアンプからダイレクトに接続される構成である。

一方の真空管出力には、MT管ECC82(12AU7)を使用して増幅回路を形成している。高音質フィルム・コンデンサーを採用したほか、大型の出力トランスも搭載して管球式の色合いをいっそう濃厚なものとした。

D-380の背面端子部

これらの改良により再現力は根本から向上し、S/Nが高くディテールが明瞭に描き出されている。厚手でにじみのないことが、なにより信頼感を呼ぶ。

注目の出力回路の違いは、半導体では精密な描写力が特徴だ。オーケストラやバロックなど緻密で正確だし、ジャズは弱音でもくっきりとした出方をする。これに対して真空管出力は影が濃く、響きが豊かで表情の彫りが深い。わずかにいい意味での甘さも乗り、魅力的な雰囲気である。

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