公開日 2017/10/17 10:00
THX認証モデルの映像調整を追及! BenQ DLPプロジェクター「HT6050」で人気BD作品をさらに楽しむ
連続企画第三弾
本シリーズ記事では、BenQの「ホームシアタープロジェクター」シリーズを取り上げ、モデルごとの画の特性を確認。話題のBD作品を用い、「A. プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整」と「B. 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整」を探って紹介してゆく。
これまではLED光源搭載のフラグシップ4K DLPプロジェクター「HT9050」(関連記事)、THX認証の4K DLPプロジェクター「HT8050」(関連記事)を検証。第3回目は、フルHDモデル「HT6050」を取り上げたい。THX認証を受けた本機の実力を発揮させるポイントとは?
■HT6050の特徴
本機はTHX HD認証を受けたフルHD解像度のDLPプロジェクター。その性能についてはレビュー記事が詳しいが、Rec.709に準拠した色域プリセットを備え、6倍速のRGBRGBカラーホイールを採用。HDTV規格に沿った正確な色再現性が期待できる。
実際の使用シーンにおいては重要な設置性だが、コンパクトなボディーながらレンズ交換(別売/受注生産)が可能で、100インチ時の投写距離は最短1.7m〜最長11.1m(付属の標準レンズは3.4m〜4.3m)と設置場所を選ばない柔軟性も特徴だ。
■リファレンスとしたソフト紹介
映像調整の指針を明確にするために、取り上げたタイトルと理由を述べておこう。
まずは『レヴェナント:蘇えりし者』(UHD BD版)。映画作品の代表として選抜。理由は、自然の風景をナチュラルかつ高画質に収めた作品であり、記憶色と照合して判断できること。平均輝度が映画作品として標準的で、日没後の暗転シーンの見え方もポイントだ。美しく完成度の高い映像なので、制作者の意図を引き出すことを最優先にしたい。カメラはAlexa65でネイティブ4K撮影され、色域はDCI-P3(UHD BDの規格はBT.2020)。
続いては『宮古島』(UHD BD版)。数少ない60p収録作品。南国の明るい日差しで平均輝度が高く、制作者の意図として、空や海の青さ、緑の鮮やかさも強調されている。記憶色に近づけてナチュラルに映像に浸るか、制作者の意図を汲んでヴィヴィッドに色を楽しむか、2通りの楽しみが考えられる。撮影はCineAlta 4Kカメラ「F65」。
そして『サマーウォーズ』。細田守監督ならではの、のどかな自然風景と、アバターが交流する仮想世界「OZ」のCG的な映像を織り交ぜたアニメ作品。どちらのシーンをどのように楽しむかで、調整の方向は大きく分かれる。
備考として、今回の視聴と調整は、限られた条件下で行ったもので、すべてのユーザーの視聴環境に必ずしも当てはまらない点を留意頂きたい。ちなみに視聴室は完全暗室で、スクリーンは100インチのマリブ。本記事では、読者が視聴環境に沿って応用できるよう、各調整項目と映像の変化の関連性も分かるよう心がけているので、各家庭で最適あるいは好みに仕上げて欲しい。
■作品視聴1.『レヴェナント:蘇えりし者』
(A) プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整
「THX」モードは、とにかく色表現が自然で優しい。ターゲットの色域はHDTVの規格であるRec.709で、出荷時の調整も念入りに行われているようだ。映像全体が醸し出す自然な風合いから、制作者の意図したであろうカラーバランスであることが確信できる。ナチュラルに楽しむなら、色の調整は不要だ。
シャープネスはデフォルトの「10」から「0」へ。本作品の映像では「10」でも実害は少ないが、シュートの影響で字幕文字のジャギーが目立ちやすくなる。映像調整の基本としては、シャープネスは極力小さく設定するのが鉄則だ。
(B) 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整
本機の特徴を活かすためにも、「THX」モードをベースに追い込むのが得策だ。今回の視聴環境は完全暗室で相対的に黒が浮き気味に感じるので、まず、ランプは明るい「標準」状態ではなく「省電力」に。絶対的な輝度は低減するが、暗部が引き締まって落ち着く。
次に、輝度を「50」から「55」に。暗部が浮く方向だが、日没後など平均輝度が低いシーンで階調が豊かになり、見通しが良くなる。先にランプを暗く設定しているので、黒の白浮きも気にならない。
コントラストは「50」から「65」へ。陽光の眩しさ、炎の煌めきを際立たせメリハリをつけるのが狙いだ。これ以上は明部の飛びが目立ってくるので、「65」を上限と判断した。ブリリアントカラーを「オン」にすると、さらに明るく力強くなる。明るくなると色が薄く感じがちなので、カラーエンハンサーを「0」から「5」に変更。適度に芳醇さを持たせることができた。
ほか、本機はフレーム補間機能が利用でき、同機能を「低」に設定すると、24p素材のジャダー感と残像感が低減して見やすくできる。元の素材には無いフレームを作り出すフレーム補間機能の利用は邪道という考え方もあるが、映画館の映像の明るさ(約50cd/m2)を超えると、24コマでは不足でチラツキが目に付きやすい。ホームシアターでは適度に活用すべき機能と心得よう。
これまではLED光源搭載のフラグシップ4K DLPプロジェクター「HT9050」(関連記事)、THX認証の4K DLPプロジェクター「HT8050」(関連記事)を検証。第3回目は、フルHDモデル「HT6050」を取り上げたい。THX認証を受けた本機の実力を発揮させるポイントとは?
■HT6050の特徴
本機はTHX HD認証を受けたフルHD解像度のDLPプロジェクター。その性能についてはレビュー記事が詳しいが、Rec.709に準拠した色域プリセットを備え、6倍速のRGBRGBカラーホイールを採用。HDTV規格に沿った正確な色再現性が期待できる。
実際の使用シーンにおいては重要な設置性だが、コンパクトなボディーながらレンズ交換(別売/受注生産)が可能で、100インチ時の投写距離は最短1.7m〜最長11.1m(付属の標準レンズは3.4m〜4.3m)と設置場所を選ばない柔軟性も特徴だ。
■リファレンスとしたソフト紹介
映像調整の指針を明確にするために、取り上げたタイトルと理由を述べておこう。
まずは『レヴェナント:蘇えりし者』(UHD BD版)。映画作品の代表として選抜。理由は、自然の風景をナチュラルかつ高画質に収めた作品であり、記憶色と照合して判断できること。平均輝度が映画作品として標準的で、日没後の暗転シーンの見え方もポイントだ。美しく完成度の高い映像なので、制作者の意図を引き出すことを最優先にしたい。カメラはAlexa65でネイティブ4K撮影され、色域はDCI-P3(UHD BDの規格はBT.2020)。
続いては『宮古島』(UHD BD版)。数少ない60p収録作品。南国の明るい日差しで平均輝度が高く、制作者の意図として、空や海の青さ、緑の鮮やかさも強調されている。記憶色に近づけてナチュラルに映像に浸るか、制作者の意図を汲んでヴィヴィッドに色を楽しむか、2通りの楽しみが考えられる。撮影はCineAlta 4Kカメラ「F65」。
そして『サマーウォーズ』。細田守監督ならではの、のどかな自然風景と、アバターが交流する仮想世界「OZ」のCG的な映像を織り交ぜたアニメ作品。どちらのシーンをどのように楽しむかで、調整の方向は大きく分かれる。
備考として、今回の視聴と調整は、限られた条件下で行ったもので、すべてのユーザーの視聴環境に必ずしも当てはまらない点を留意頂きたい。ちなみに視聴室は完全暗室で、スクリーンは100インチのマリブ。本記事では、読者が視聴環境に沿って応用できるよう、各調整項目と映像の変化の関連性も分かるよう心がけているので、各家庭で最適あるいは好みに仕上げて欲しい。
■作品視聴1.『レヴェナント:蘇えりし者』
(A) プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整
「THX」モードは、とにかく色表現が自然で優しい。ターゲットの色域はHDTVの規格であるRec.709で、出荷時の調整も念入りに行われているようだ。映像全体が醸し出す自然な風合いから、制作者の意図したであろうカラーバランスであることが確信できる。ナチュラルに楽しむなら、色の調整は不要だ。
シャープネスはデフォルトの「10」から「0」へ。本作品の映像では「10」でも実害は少ないが、シュートの影響で字幕文字のジャギーが目立ちやすくなる。映像調整の基本としては、シャープネスは極力小さく設定するのが鉄則だ。
(B) 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整
本機の特徴を活かすためにも、「THX」モードをベースに追い込むのが得策だ。今回の視聴環境は完全暗室で相対的に黒が浮き気味に感じるので、まず、ランプは明るい「標準」状態ではなく「省電力」に。絶対的な輝度は低減するが、暗部が引き締まって落ち着く。
次に、輝度を「50」から「55」に。暗部が浮く方向だが、日没後など平均輝度が低いシーンで階調が豊かになり、見通しが良くなる。先にランプを暗く設定しているので、黒の白浮きも気にならない。
コントラストは「50」から「65」へ。陽光の眩しさ、炎の煌めきを際立たせメリハリをつけるのが狙いだ。これ以上は明部の飛びが目立ってくるので、「65」を上限と判断した。ブリリアントカラーを「オン」にすると、さらに明るく力強くなる。明るくなると色が薄く感じがちなので、カラーエンハンサーを「0」から「5」に変更。適度に芳醇さを持たせることができた。
ほか、本機はフレーム補間機能が利用でき、同機能を「低」に設定すると、24p素材のジャダー感と残像感が低減して見やすくできる。元の素材には無いフレームを作り出すフレーム補間機能の利用は邪道という考え方もあるが、映画館の映像の明るさ(約50cd/m2)を超えると、24コマでは不足でチラツキが目に付きやすい。ホームシアターでは適度に活用すべき機能と心得よう。
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