公開日 2018/01/26 10:00
深みのある豊かな低音を実現。フィリップス「BASS+」シリーズのヘッドホン2機種をレビュー
カジュアルかつシックなデザイン
■フィリップスから“低域重視”の新シリーズ「BASS+」が登場
フィリップスの新シリーズ「BASS+」。本拠ヨーロッパではすでに展開されていたこのシリーズが、この秋に日本上陸する。ここでは有線ヘッドホン「SHL3075」(想定実売4,000円前後)とBluetoothヘッドホン「SHB3075」(想定実売8,000円前後)の2モデルをチェックしていこう。
まずは「BASS+」シリーズの概要を説明しよう。サウンド面は「BASS+」というシリーズ名からおおよその方向性は想像できることだろう、低音重視のタイプだ。ただ、これまでの製品における音質からも明らかなように、フィリップスというブランドは、低音重視の音作りについても低音のボリューム感を強調すればそれで良しとはしていない。このシリーズにおいても彼らが打ち出してきているのは「深みのある豊かな低音」という方向性だ。その感触、実現度については、後ほど実際に聴いてみてお伝えしよう。
外観はシンプルなラインとシックさやカジュアルさを醸し出すカラーバリエーションに、ワンポイントの「+」が映えるデザインを採用。そもそもフィリップス製品のデザイン性はこれまでも優れていたが、ちょっと違う雰囲気を出してきている。なお、これまで通りのフィリップスらしさというところでは、装着の快適さへのこだわりはこのシリーズでも当然そのまま踏襲している。
■音の広がりや沈み込みがより再現される「SHL3075」
「SHL3075」は、想定実売4,000円前後と価格を抑えたリモコン&マイク付きのヘッドホン(関連ニュース)。幅広い音楽ファンやスマートフォンユーザーを想定してデザインや音作りが為された製品であり、ヘッドホン派の方や、秋冬はファッション的にも防寒的にもヘッドホンだよね! という方はぜひ注目されたい。
まず、フィリップスのエントリークラスに共通する特徴でもあるが、物理的にも装着感的にも軽い!また、コンパクトな樹脂筐体を採用したデザインも巧みだ。樹脂、プラスチック系素材となると、その質感や仕上げに不安を感じるかもしれない。実際、樹脂素材を美しく仕上げるのにはセンスも技術も必要となる。しかし、そこはさすがフィリップス。一部には樹脂ならではの艶やかさを生かし、他の部分は温かみを生かしつつ梨地に仕上げ、モノトーンの中での絶妙なコントラストを見せてくれている。頭を挟み込む側圧はやや強めなものの、その分ヘッドホンとしては遮音性は十分だ。
使い勝手の面では、複雑な折りたたみ機構は備えないものの、イヤーカップをヘッドバンドと平行に寝かせられるフラットフォールド機構を備えており、平たくなってくれるのでカバンなどにも入れておきやすいだろう。バンドの長さ調整も、プラスチックの凹凸によるクリック感のおかげで使い心地が良い。
サウンドの印象は、ドラムスが空気を響かせる雰囲気、タム回しの重み、ベースの明瞭さなど、しっかりとした下への沈み込みが感じられ、低音楽器の表現の充実には確かに納得させられる。一方でボーカルの明瞭さ、ドラムスでいうと音抜けの素直さなど、中高域の表現も低域のそれに遜色なく良質で、左右の広がりやその中での響きも良く、特に空間性を生かした曲の再現に最適だ。
■ワイヤレス仕様に特化した低音重視なBluetoothヘッドホン「SHB3075」
「SHB3075」は、先述したSHL3075にBluetoothを搭載したワイヤレスバージョンだ(関連ニュース)。想定実売8,000円前後。外観や仕様を見たところワイヤードでの接続端子は用意されておらず、本当にBluetoothに特化している。
ルックスにおいてのSHL3075との違いは、ざっくりと見て「SHB3075にはボタンがあってケーブルがない」という点くらい。ボタンはもちろんリモコン操作用で、通話用マイクも搭載されている。あとは充電用のUSB端子を備える。
一方、手に持ったり装着してみても、重さ感がSHL3075とたいして変わらないことは特筆点と言えるだろう。Bluetoothの回路やアンテナ、バッテリーの搭載によって、重量としては数値に明確に現れる程度にこちらの方が重い。しかしワイヤレスの身軽さもあってか、実物の印象としては変わらない軽さだ。
ワイヤレス周りのスペックとしては、伝送コーデックはSBCのみ、連続再生時間は最大12時間と、エントリークラスとしては十分な仕様を備えている。
サウンドは、SHE3075と比べて明確にいわゆる「低音重視ヘッドホン」のイメージに近い。中低域、特に中域に近い側の低域に盛りっとした厚みがあり、ベースやドラムスの描写は相当に肉厚だ。抜けや開放感も印象的な他のモデルに対して濃厚な密室感が持ち味で、ちょっとダークなタイプのクラブサウンドなどと相性がよく感じる。
◇
ワイヤードかワイヤレスか? 抜けるサウンドか濃いサウンドか?と、上陸からいきなり「どのBASS+を選ぶか?」を問いかけてくる、力強いラインナップだ。
(高橋 敦)
フィリップスの新シリーズ「BASS+」。本拠ヨーロッパではすでに展開されていたこのシリーズが、この秋に日本上陸する。ここでは有線ヘッドホン「SHL3075」(想定実売4,000円前後)とBluetoothヘッドホン「SHB3075」(想定実売8,000円前後)の2モデルをチェックしていこう。
まずは「BASS+」シリーズの概要を説明しよう。サウンド面は「BASS+」というシリーズ名からおおよその方向性は想像できることだろう、低音重視のタイプだ。ただ、これまでの製品における音質からも明らかなように、フィリップスというブランドは、低音重視の音作りについても低音のボリューム感を強調すればそれで良しとはしていない。このシリーズにおいても彼らが打ち出してきているのは「深みのある豊かな低音」という方向性だ。その感触、実現度については、後ほど実際に聴いてみてお伝えしよう。
外観はシンプルなラインとシックさやカジュアルさを醸し出すカラーバリエーションに、ワンポイントの「+」が映えるデザインを採用。そもそもフィリップス製品のデザイン性はこれまでも優れていたが、ちょっと違う雰囲気を出してきている。なお、これまで通りのフィリップスらしさというところでは、装着の快適さへのこだわりはこのシリーズでも当然そのまま踏襲している。
■音の広がりや沈み込みがより再現される「SHL3075」
「SHL3075」は、想定実売4,000円前後と価格を抑えたリモコン&マイク付きのヘッドホン(関連ニュース)。幅広い音楽ファンやスマートフォンユーザーを想定してデザインや音作りが為された製品であり、ヘッドホン派の方や、秋冬はファッション的にも防寒的にもヘッドホンだよね! という方はぜひ注目されたい。
まず、フィリップスのエントリークラスに共通する特徴でもあるが、物理的にも装着感的にも軽い!また、コンパクトな樹脂筐体を採用したデザインも巧みだ。樹脂、プラスチック系素材となると、その質感や仕上げに不安を感じるかもしれない。実際、樹脂素材を美しく仕上げるのにはセンスも技術も必要となる。しかし、そこはさすがフィリップス。一部には樹脂ならではの艶やかさを生かし、他の部分は温かみを生かしつつ梨地に仕上げ、モノトーンの中での絶妙なコントラストを見せてくれている。頭を挟み込む側圧はやや強めなものの、その分ヘッドホンとしては遮音性は十分だ。
使い勝手の面では、複雑な折りたたみ機構は備えないものの、イヤーカップをヘッドバンドと平行に寝かせられるフラットフォールド機構を備えており、平たくなってくれるのでカバンなどにも入れておきやすいだろう。バンドの長さ調整も、プラスチックの凹凸によるクリック感のおかげで使い心地が良い。
サウンドの印象は、ドラムスが空気を響かせる雰囲気、タム回しの重み、ベースの明瞭さなど、しっかりとした下への沈み込みが感じられ、低音楽器の表現の充実には確かに納得させられる。一方でボーカルの明瞭さ、ドラムスでいうと音抜けの素直さなど、中高域の表現も低域のそれに遜色なく良質で、左右の広がりやその中での響きも良く、特に空間性を生かした曲の再現に最適だ。
■ワイヤレス仕様に特化した低音重視なBluetoothヘッドホン「SHB3075」
「SHB3075」は、先述したSHL3075にBluetoothを搭載したワイヤレスバージョンだ(関連ニュース)。想定実売8,000円前後。外観や仕様を見たところワイヤードでの接続端子は用意されておらず、本当にBluetoothに特化している。
ルックスにおいてのSHL3075との違いは、ざっくりと見て「SHB3075にはボタンがあってケーブルがない」という点くらい。ボタンはもちろんリモコン操作用で、通話用マイクも搭載されている。あとは充電用のUSB端子を備える。
一方、手に持ったり装着してみても、重さ感がSHL3075とたいして変わらないことは特筆点と言えるだろう。Bluetoothの回路やアンテナ、バッテリーの搭載によって、重量としては数値に明確に現れる程度にこちらの方が重い。しかしワイヤレスの身軽さもあってか、実物の印象としては変わらない軽さだ。
ワイヤレス周りのスペックとしては、伝送コーデックはSBCのみ、連続再生時間は最大12時間と、エントリークラスとしては十分な仕様を備えている。
サウンドは、SHE3075と比べて明確にいわゆる「低音重視ヘッドホン」のイメージに近い。中低域、特に中域に近い側の低域に盛りっとした厚みがあり、ベースやドラムスの描写は相当に肉厚だ。抜けや開放感も印象的な他のモデルに対して濃厚な密室感が持ち味で、ちょっとダークなタイプのクラブサウンドなどと相性がよく感じる。
ワイヤードかワイヤレスか? 抜けるサウンドか濃いサウンドか?と、上陸からいきなり「どのBASS+を選ぶか?」を問いかけてくる、力強いラインナップだ。
(高橋 敦)