公開日 2019/06/10 06:00
その音に価格もサイズも疑った。15万円切りのパワーアンプ TEAC「AP-505」は次世代オーディオの模範だ
Hypex社Ncoreアンプモジュールを採用
ティアックは、ハイエンドオーディオでも多数採用例のあるHypex社のクラスDアンプ・モジュール「Ncore」を搭載したコンパクトなプリメインアンプ「AX-505」をこの2月に発売した。これに続くモデルとして、やはりNcoreを搭載し、2台用いてのBTL駆動にも対応するパワーアンプ「AP-505」が登場する。本製品の発売に先駆け、角田郁雄氏が実際に自宅に持ち込んで行ったレビューをお届けする。
オーディオの趣味を、未来永劫に伝えていきたい。私は日頃からそう考え、評論や執筆活動を続けている。かつて、一時はSACDが消え去るのではないかとの懸念から、ハイレゾを積極的に推進すれば、きっとCDやSACD、そしてレコードまでも元気になるに違いないと直感して、様々な場所で執筆や働きかけを行った。幸いなことにハイレゾ再生をひとつの潮流として立ち上げることはできたが、当初は再生フォーマットの変化も大きく、リーズナブルなモデルは少なかった。
こうした中で、頼もしいモデルと巡り会った。ティアックのUSB-DAC「UD-501」である。USB再生でDXD(384kHz/24bit PCM)とDSD128(5.6MHz DSD)に対応し、PC用の専用ミュージックプレーヤーまで作ってくれた。しかも、同社のテープレコーダーを彷彿とさせる高品位なデザインである。現在はUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「UD-505」や、USB-DAC/ネットワークプレーヤー「NT-505」へと進化し、USB再生で768kHz/32bit PCMやDSD512(22.5MHz DSD)を再生できるようになった。さらに嬉しいことに、同ラインナップとして10MHz高精度クロック・ジェネレーター「CG-10M」までも登場した。
505シリーズのコンポーネントがこれだけ充実してくると、デザインを揃えた最新アンプが欲しくなってしまう。そこに登場したのが、プリメインアンプ「AX-505」だ。RCA入力3系統、バランス入力1系統を備え、ヘッドホンアンプも搭載する。出力段には、世界的に高い評価を得ているオランダHypex社の「Ncore」クラスDアンプを搭載。音質は、中低域に厚みのあるピラミッド型バランスが特徴的で、倍音成分の豊富なアナログ的質感も大きな魅力である。また、スピーカー制動力も高く、私のB&W「802D3」を見事にドライブしてくれるのである。
そして今回、このAX-505に続き、ティアックは魅力的なステレオ・パワーアンプ「AP-505」まで発売することになったのである。早速、本機を紹介しよう。
■カスタムメイド仕様のHypex社製NcoreクラスDアンプ・モジュールを搭載
まずはデザイン。写真では少し筐体が大きく見えるかもしれないが、UD-505/NT-505と同じA4サイズである。もちろんサイドパネルも高品位なアルミ製で、中央にはL/R用の2針式アナログレベルメーターが搭載された。これは明るさを3段階に切り替えられ、消灯することもできるので便利だ。脚部も、同社が特許を取得した「3点支持ピンポイントフット」である(私はこのフットが好きだ)。
入力はRCAとXLRバランスを装備し、このサイズにして最大出力は130W/4Ω、90W/8Ωにもなる。大きな特徴であり魅力なのは出力段で、AX-505にも搭載されたHypexのNcoreクラスDアンプ・モジュールが本機にも搭載されている。しかも、単にNcoreの標準品を搭載しているのではなく、同社の技術を投入し、音決めしたカスタムメイド仕様なのである(それを示すように基板にはTEACと表示されている)。
スピーカー制動力の指標となるダンピングファクターは、370以上(20Hz - 20kHz、出力インピーダンス:22mΩ、負荷抵抗:8Ω)となっている。ちなみに、HypexのクラスDアンプ・モジュールはアメリカのJeff Rowland(ジェフロゥランド)やオランダのMola Mola(モラ・モラ)と言った錚々たるハイエンドブランドでも使われ、現在、A級やAB級アンプと並ぶ存在となりつつある。
こうしたクラスDアンプは、増幅方式ではPWM変調器を使用してパルス波を生成、MOS-FETを使って最終増幅され、ローパスフィルターを通過して出力される。一時はデジタルアンプと呼ばれることもあったが、この方式は純然たるアナログアンプなのである。その音質も、10年ほど前とは比較にならないほど高音質となり、例えばAB級アンプと音質で区別することは、もはや困難になっていると言えるであろう。
オーディオの趣味を、未来永劫に伝えていきたい。私は日頃からそう考え、評論や執筆活動を続けている。かつて、一時はSACDが消え去るのではないかとの懸念から、ハイレゾを積極的に推進すれば、きっとCDやSACD、そしてレコードまでも元気になるに違いないと直感して、様々な場所で執筆や働きかけを行った。幸いなことにハイレゾ再生をひとつの潮流として立ち上げることはできたが、当初は再生フォーマットの変化も大きく、リーズナブルなモデルは少なかった。
こうした中で、頼もしいモデルと巡り会った。ティアックのUSB-DAC「UD-501」である。USB再生でDXD(384kHz/24bit PCM)とDSD128(5.6MHz DSD)に対応し、PC用の専用ミュージックプレーヤーまで作ってくれた。しかも、同社のテープレコーダーを彷彿とさせる高品位なデザインである。現在はUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「UD-505」や、USB-DAC/ネットワークプレーヤー「NT-505」へと進化し、USB再生で768kHz/32bit PCMやDSD512(22.5MHz DSD)を再生できるようになった。さらに嬉しいことに、同ラインナップとして10MHz高精度クロック・ジェネレーター「CG-10M」までも登場した。
505シリーズのコンポーネントがこれだけ充実してくると、デザインを揃えた最新アンプが欲しくなってしまう。そこに登場したのが、プリメインアンプ「AX-505」だ。RCA入力3系統、バランス入力1系統を備え、ヘッドホンアンプも搭載する。出力段には、世界的に高い評価を得ているオランダHypex社の「Ncore」クラスDアンプを搭載。音質は、中低域に厚みのあるピラミッド型バランスが特徴的で、倍音成分の豊富なアナログ的質感も大きな魅力である。また、スピーカー制動力も高く、私のB&W「802D3」を見事にドライブしてくれるのである。
そして今回、このAX-505に続き、ティアックは魅力的なステレオ・パワーアンプ「AP-505」まで発売することになったのである。早速、本機を紹介しよう。
■カスタムメイド仕様のHypex社製NcoreクラスDアンプ・モジュールを搭載
まずはデザイン。写真では少し筐体が大きく見えるかもしれないが、UD-505/NT-505と同じA4サイズである。もちろんサイドパネルも高品位なアルミ製で、中央にはL/R用の2針式アナログレベルメーターが搭載された。これは明るさを3段階に切り替えられ、消灯することもできるので便利だ。脚部も、同社が特許を取得した「3点支持ピンポイントフット」である(私はこのフットが好きだ)。
入力はRCAとXLRバランスを装備し、このサイズにして最大出力は130W/4Ω、90W/8Ωにもなる。大きな特徴であり魅力なのは出力段で、AX-505にも搭載されたHypexのNcoreクラスDアンプ・モジュールが本機にも搭載されている。しかも、単にNcoreの標準品を搭載しているのではなく、同社の技術を投入し、音決めしたカスタムメイド仕様なのである(それを示すように基板にはTEACと表示されている)。
スピーカー制動力の指標となるダンピングファクターは、370以上(20Hz - 20kHz、出力インピーダンス:22mΩ、負荷抵抗:8Ω)となっている。ちなみに、HypexのクラスDアンプ・モジュールはアメリカのJeff Rowland(ジェフロゥランド)やオランダのMola Mola(モラ・モラ)と言った錚々たるハイエンドブランドでも使われ、現在、A級やAB級アンプと並ぶ存在となりつつある。
こうしたクラスDアンプは、増幅方式ではPWM変調器を使用してパルス波を生成、MOS-FETを使って最終増幅され、ローパスフィルターを通過して出力される。一時はデジタルアンプと呼ばれることもあったが、この方式は純然たるアナログアンプなのである。その音質も、10年ほど前とは比較にならないほど高音質となり、例えばAB級アンプと音質で区別することは、もはや困難になっていると言えるであろう。