公開日 2019/10/12 07:00
ゲームから“ストレス”よサラバ、無線ヘッドセットASTRO「A50」が使いやすい
気合の入ったワイヤレスモデル
ゲーミング向けヘッドセットにもワイヤレス化の波がきている。かつては “遅延” の問題から有線以外の選択肢はありえなかったが、技術の進歩により遅延は気にならないレベルとなり、メーカー各社からもラインナップが揃いつつある。
ちょうど一年前に日本上陸した「ASTRO Gaming」も、ワイヤレスヘッドセットを押し出すブランドの1つ。しかも、その第一弾モデル「ASTRO A50 Wirelessゲーミングヘッドセット+BASE STATION」(以下、A50)は、 “ブランド史上最高のサウンドクオリティ” を謳っている。
ここまで気合の入った製品とあれば、日頃からワイヤレスヘッドセットを愛用している記者としては、どのくらいの実力なのか気になる。今回、試聴機をお借りすることができたので、検証をしてみたい。
■ワイヤレスなのに充電を意識せずに使える気軽さが魅力
A50は、ヘッドホン部分「A50 Wirelessゲーミングヘッドセット」と、充電スタンド「BASE STATION」の2つで1セットという珍しいスタイル。スタンドに乗せるだけで充電ができるだけでなく、送信機も兼ねているので、スタンドとPCを1本のケーブルで繋げるだけで使えるという手軽さも魅力的だ。
本モデルは15時間と連続使用時間は長いほうだが、それでもプレイ時間によっては、週1回以上のペースで充電しなければならない。A50はスタンドに立てかけるだけで充電ができるため、ワイヤレスヘッドセットの弱点である「充電が手間」という点を、ユーザーに意識させることなく解決している。
ヘッドホン部には新開発の40mmネオジムドライバーを搭載するほか、チェンバーデザインも改良。ロジクールGと共同開発の2.4GHzトランスミッターで、非圧縮のワイヤレスオーディオ再生のワイヤレス接続も実現したとしている。
ソフトウェア的には、PC/Mac用アプリ「Astro Command Center」にサウンドプロファイルとしてA50 Modkit/ASTRO/MEDIA/STUDIO/PROの5種類をデフォルトで用意。プロファイルを3つ保存してかんたんに切り替えられるなど、好みに応じて調整・切り替えできる柔軟さもポイントだ。
柔軟さといえば、デザインと装着性に関わるカスタマイズが可能な点も挙げたい。本体に付属するイヤーパッドはファブリック地で通気性の良いタイプだが、別売のModkit(5,130円・税抜/発売日未定)を使用することで、合皮製にも変更可能。夏は蒸れにくい布地、冬は遮音性の高い合皮といった使い方もできる。
■ゲームは大迫力で方向の聞き分けもグッド。音楽も映画も楽しめる
では早速ゲームをプレイしたい。まず装着してみると、想像以上にフィット感が高い。イヤーパッドは深めで、長時間のプレイでも痛くなりにくいはずだ。また通気性がよく、気温30度ほどの室内で使用しても快適。ゲーム中はPCのファン音などが大きくなってしまうが、そのような雑音が特に気にならない程度には、遮音性も確保されている。
ゲームは『World of Tanks』をセレクト。サウンドプロファイルは、デフォルトの「STUDIO」を使用した。A50でプレイすると、戦車のエンジン音はずっしりとした重低音が響き、敵の砲弾が跳弾したときのカキーンという金属音は鮮やかに響くなど、リアルで迫力があり没入感が高い。特に自走砲による大口径の砲弾が近くに降り掛かってきたときには、恐怖を感じるほどの迫力を感じた。
続いて、サウンドプロファイルをFPSなどのeSports向けにチューニングしたと思われる「PRO」に変更してみる。ここで選んだタイトルは、大会も頻繁に行われている『レインボーシックス シージ』。試してみると、壁の反対にいる敵や、階下で動く敵の存在などがある程度把握できた。来る方向がわかれば待ち伏せできたりと、音によるアドバンテージは大きい。もちろん最新モデルだけあって遅延は気にならない。
プレイしながら「STUDIO」と「PRO」を切り替えてみたが、やはり「PRO」のほうが足音や衣服の擦れる音など聞き取りやすかった。特に足音は地面の材質によっても周波数が異なるので、ステージやタイトルごとに細かく設定をすれば、さらに聞き分けしやすくなると思う。
加えて、A50はBGMの聴こえ方も好印象。実際に音楽リスニングに用いてみると、やはりゲーム音楽との相性が良いようだ。たとえばグラミー賞を受賞した『Sid Meier's Civilization IV』オープニング「Baba Yetu」はコーラスの分離がよく、空間的なサウンドの鳴らし方も相まって、より壮大なサウンドを体感できた。よく聴く音楽ジャンルにあわせたプロファイル設定を保存しておくのもありだろう。
さらに、A50を使って映画も観てみた。『プライベート・ライアン』から冒頭のノルマンディー上陸作戦のシーンを視聴すると、降り注ぐ海水など臨場感たっぷりで、やはり迫撃砲の重低音など大迫力だ。様々な音が縦横無尽に駆け抜けていく戦場の様子もよくわかり、銃弾の移動する方向、銃の種類の違いまで聞き取ることができた。
またアクション系以外ではどうなのかと『言の葉の庭』も視聴してみたが、新宿御苑での水の音、木々のカサカサした音、鳥の声といった背景音に加え、人物の吐息といった細かなニュアンスまではっきり聞こえてくる。終盤のシーンでも背景のボーカル曲とセリフがしっかりと分離するほか、鳴り方が空間的なので頭内定位感も薄く、映像鑑賞にも向いてるように感じた。
◇
今回は1週間ほど、普段使用しているモデルと置き換えるかたちで使用してみたが、予想以上の満足感。愛用しているモデルはボリュームゾーンとなる2万円前後のモデルとなるが、約4万円という強気な価格設定のA50は、その価格に恥じることのない性能・使い勝手を備えていると思う。
途中では触れなかったが、マイクを跳ね上げるだけでミュートになる、ヘッドホンの再生音量は反応もよく細かい段階で調整できるなど、ゲーミングヘッドセットとして全体的に高いレベルでまとまっている。
ワイヤレスモデルの良さは “ストレスフリー” であることに尽きると思うが、なかには使い勝手や音質から逆にストレスを感じてしまうモデルも存在する。その点、A50は本当のストレスフリーを実現したモデルといえる。
ちょうど一年前に日本上陸した「ASTRO Gaming」も、ワイヤレスヘッドセットを押し出すブランドの1つ。しかも、その第一弾モデル「ASTRO A50 Wirelessゲーミングヘッドセット+BASE STATION」(以下、A50)は、 “ブランド史上最高のサウンドクオリティ” を謳っている。
ここまで気合の入った製品とあれば、日頃からワイヤレスヘッドセットを愛用している記者としては、どのくらいの実力なのか気になる。今回、試聴機をお借りすることができたので、検証をしてみたい。
■ワイヤレスなのに充電を意識せずに使える気軽さが魅力
A50は、ヘッドホン部分「A50 Wirelessゲーミングヘッドセット」と、充電スタンド「BASE STATION」の2つで1セットという珍しいスタイル。スタンドに乗せるだけで充電ができるだけでなく、送信機も兼ねているので、スタンドとPCを1本のケーブルで繋げるだけで使えるという手軽さも魅力的だ。
本モデルは15時間と連続使用時間は長いほうだが、それでもプレイ時間によっては、週1回以上のペースで充電しなければならない。A50はスタンドに立てかけるだけで充電ができるため、ワイヤレスヘッドセットの弱点である「充電が手間」という点を、ユーザーに意識させることなく解決している。
ヘッドホン部には新開発の40mmネオジムドライバーを搭載するほか、チェンバーデザインも改良。ロジクールGと共同開発の2.4GHzトランスミッターで、非圧縮のワイヤレスオーディオ再生のワイヤレス接続も実現したとしている。
ソフトウェア的には、PC/Mac用アプリ「Astro Command Center」にサウンドプロファイルとしてA50 Modkit/ASTRO/MEDIA/STUDIO/PROの5種類をデフォルトで用意。プロファイルを3つ保存してかんたんに切り替えられるなど、好みに応じて調整・切り替えできる柔軟さもポイントだ。
柔軟さといえば、デザインと装着性に関わるカスタマイズが可能な点も挙げたい。本体に付属するイヤーパッドはファブリック地で通気性の良いタイプだが、別売のModkit(5,130円・税抜/発売日未定)を使用することで、合皮製にも変更可能。夏は蒸れにくい布地、冬は遮音性の高い合皮といった使い方もできる。
■ゲームは大迫力で方向の聞き分けもグッド。音楽も映画も楽しめる
では早速ゲームをプレイしたい。まず装着してみると、想像以上にフィット感が高い。イヤーパッドは深めで、長時間のプレイでも痛くなりにくいはずだ。また通気性がよく、気温30度ほどの室内で使用しても快適。ゲーム中はPCのファン音などが大きくなってしまうが、そのような雑音が特に気にならない程度には、遮音性も確保されている。
ゲームは『World of Tanks』をセレクト。サウンドプロファイルは、デフォルトの「STUDIO」を使用した。A50でプレイすると、戦車のエンジン音はずっしりとした重低音が響き、敵の砲弾が跳弾したときのカキーンという金属音は鮮やかに響くなど、リアルで迫力があり没入感が高い。特に自走砲による大口径の砲弾が近くに降り掛かってきたときには、恐怖を感じるほどの迫力を感じた。
続いて、サウンドプロファイルをFPSなどのeSports向けにチューニングしたと思われる「PRO」に変更してみる。ここで選んだタイトルは、大会も頻繁に行われている『レインボーシックス シージ』。試してみると、壁の反対にいる敵や、階下で動く敵の存在などがある程度把握できた。来る方向がわかれば待ち伏せできたりと、音によるアドバンテージは大きい。もちろん最新モデルだけあって遅延は気にならない。
プレイしながら「STUDIO」と「PRO」を切り替えてみたが、やはり「PRO」のほうが足音や衣服の擦れる音など聞き取りやすかった。特に足音は地面の材質によっても周波数が異なるので、ステージやタイトルごとに細かく設定をすれば、さらに聞き分けしやすくなると思う。
加えて、A50はBGMの聴こえ方も好印象。実際に音楽リスニングに用いてみると、やはりゲーム音楽との相性が良いようだ。たとえばグラミー賞を受賞した『Sid Meier's Civilization IV』オープニング「Baba Yetu」はコーラスの分離がよく、空間的なサウンドの鳴らし方も相まって、より壮大なサウンドを体感できた。よく聴く音楽ジャンルにあわせたプロファイル設定を保存しておくのもありだろう。
さらに、A50を使って映画も観てみた。『プライベート・ライアン』から冒頭のノルマンディー上陸作戦のシーンを視聴すると、降り注ぐ海水など臨場感たっぷりで、やはり迫撃砲の重低音など大迫力だ。様々な音が縦横無尽に駆け抜けていく戦場の様子もよくわかり、銃弾の移動する方向、銃の種類の違いまで聞き取ることができた。
またアクション系以外ではどうなのかと『言の葉の庭』も視聴してみたが、新宿御苑での水の音、木々のカサカサした音、鳥の声といった背景音に加え、人物の吐息といった細かなニュアンスまではっきり聞こえてくる。終盤のシーンでも背景のボーカル曲とセリフがしっかりと分離するほか、鳴り方が空間的なので頭内定位感も薄く、映像鑑賞にも向いてるように感じた。
今回は1週間ほど、普段使用しているモデルと置き換えるかたちで使用してみたが、予想以上の満足感。愛用しているモデルはボリュームゾーンとなる2万円前後のモデルとなるが、約4万円という強気な価格設定のA50は、その価格に恥じることのない性能・使い勝手を備えていると思う。
途中では触れなかったが、マイクを跳ね上げるだけでミュートになる、ヘッドホンの再生音量は反応もよく細かい段階で調整できるなど、ゲーミングヘッドセットとして全体的に高いレベルでまとまっている。
ワイヤレスモデルの良さは “ストレスフリー” であることに尽きると思うが、なかには使い勝手や音質から逆にストレスを感じてしまうモデルも存在する。その点、A50は本当のストレスフリーを実現したモデルといえる。