公開日 2020/02/21 06:30
中級機なのに“ハイエンド級” サウンド。マランツ「SA-12OSE/PM-12OSE」が遂げた大いなる飛躍
【特別企画】音質特化のチューンナップを実行
オーディオメーカーが製品開発を行うとき、コストを度外視した弩級機を除いて、投入されるパーツにはコストと性能のバランスが求められる。そしてエンジニア達は「もしこのパーツを投入できたら更に音が良くなるのに」と悩みながら、音を決めていく。
企画段階の時点で販売価格がある程度決められ、その範囲内でパーツを選定する必要が生じるのが、その理由だ。開発中のモデルに音質的な素性の良さを見出したら、なおさらそういったコストと音質のジレンマを感じることが多くなるだろう。
今回マランツから新登場したSACD/CDプレーヤー「SA-12OSE」(公式サイト)とプリメインアンプ「PM-12OSE」(公式サイト)は、「Original Special Edition」の名を掲げ、そんな開発者の思いを解き放ったチューンナップモデルだ。
現行製品の「SA-12」と「PM-12」の潜在能力を限界まで引き出す事を目的とし、凄耳のサウンドマネージャー尾形好宣氏が徹底的に音を磨き上げた日本国内専用製品。しかし、ただのスペシャルエディション化にとどまらない「上位モデルの領域に踏み込んだようなアップデート」が魅力のモデルである。その特徴を紐解いていこう。
■「最上位モデルのクオリティを半分のコストで再現」を目指した12シリーズ
振り返ると、これまでにもマランツはエポックメイキングなスペシャルモデルを発表して、好評を博してきた。
初代は1986年に発売されたヨーロッパ専売のCDプレーヤー「CD-45LE」で、1990年以降も、銅メッキシャーシ・トロイダルトランス・高剛性トップカバー・高音質コンデンサー等をチューンナップしたプリメインアンプ「PM-88SE」、カセットデッキ「SD-66SE」、CDプレーヤー「CD-99SE」などがあった。そして近年では、元シニアサウンドマネージャーの澤田龍一氏が最後に手がけた渾身のモデル「SA-14S1SE」と「PM-14S1SE」が記憶に新しい。
ちなみに、同社のベースモデルがスペシャルエディション化される条件は厳しく、「モデルの音の素性が良く、潜在的な可能性が高くなければいけない」という決まりがあるそうだ。その基準を見事クリアしたモデルが、SA-12とPM-12なのである。
今回SA-12OSEとPM-12OSEを紹介するにあたり、まずは基となるSA-12とPM-12について軽くおさらいしておきたい。
この2モデルは、同社ミドルクラスの“12シリーズ”に位置している製品だ。12シリーズの使命は、「最上位クラスの“10シリーズ”の音質的クオリティを、半分のコストで最大限達成すること」。
これを具現化するために、SA-12は音の要となるD/Aコンバーター部分に、上位モデルのSA-10と同じディスクリートDAC「MMM(Marantz Musical Mastering)」を採用している。更に、位相ノイズを15dBも改善したクロックを搭載。CDプレーヤーで大きな音質ファクターとなるドライブメカも台座の素材がアルミ押出材から鋼板製に変わっているものの、SA-10とほぼ同仕様のドライブを採用していたりする。
PM-12も、PM-10から多くの技術やパーツを継承している。まずPM-10が採用した新世代スイッチングアンプ、Hypex「NC500」を入念な放熱対策と強固な固定を実現した新しい取り付け方法で搭載し、実配線の短縮化と接点の減少も実現した。
更にスペースファクターに優れるスイッチング式アンプモジュールのメリットを活かし、その空いたスペースにJRC製の新型ボリュームICを使った高品位なボリューム回路を搭載。これらにより、マランツがプリアンプに求める重要な要素「入力信号の鮮度をそのままパワーアンプに送り届ける」ことを実現している。
しかし、12シリーズに許されるコストは10シリーズの半分だ。そこでコストダウンが行われたわけだが、その概要は大きく2つある。まず1つ目は、シャーシやインシュレーターの素材変更など主にシャーシ周りの変更。そして2つ目はフルバランス回路のアンバランス化による絶対的な回路ボリュームのスリム化だ。
つまりSA-12/PM-12は、基礎的な技術の多くを上位モデルであるSA-10/PM-10から受け継いでいるため、「ベースモデルの音の素性が良く潜在的な可能性が高くなければいけない」というOSE化の条件が整っていたのである。そしてOSE化にあたり、求められたコンセプトは「価格や機能のバランスより、音質に特化したモデルを作る事」だ。
企画段階の時点で販売価格がある程度決められ、その範囲内でパーツを選定する必要が生じるのが、その理由だ。開発中のモデルに音質的な素性の良さを見出したら、なおさらそういったコストと音質のジレンマを感じることが多くなるだろう。
今回マランツから新登場したSACD/CDプレーヤー「SA-12OSE」(公式サイト)とプリメインアンプ「PM-12OSE」(公式サイト)は、「Original Special Edition」の名を掲げ、そんな開発者の思いを解き放ったチューンナップモデルだ。
現行製品の「SA-12」と「PM-12」の潜在能力を限界まで引き出す事を目的とし、凄耳のサウンドマネージャー尾形好宣氏が徹底的に音を磨き上げた日本国内専用製品。しかし、ただのスペシャルエディション化にとどまらない「上位モデルの領域に踏み込んだようなアップデート」が魅力のモデルである。その特徴を紐解いていこう。
■「最上位モデルのクオリティを半分のコストで再現」を目指した12シリーズ
振り返ると、これまでにもマランツはエポックメイキングなスペシャルモデルを発表して、好評を博してきた。
初代は1986年に発売されたヨーロッパ専売のCDプレーヤー「CD-45LE」で、1990年以降も、銅メッキシャーシ・トロイダルトランス・高剛性トップカバー・高音質コンデンサー等をチューンナップしたプリメインアンプ「PM-88SE」、カセットデッキ「SD-66SE」、CDプレーヤー「CD-99SE」などがあった。そして近年では、元シニアサウンドマネージャーの澤田龍一氏が最後に手がけた渾身のモデル「SA-14S1SE」と「PM-14S1SE」が記憶に新しい。
ちなみに、同社のベースモデルがスペシャルエディション化される条件は厳しく、「モデルの音の素性が良く、潜在的な可能性が高くなければいけない」という決まりがあるそうだ。その基準を見事クリアしたモデルが、SA-12とPM-12なのである。
今回SA-12OSEとPM-12OSEを紹介するにあたり、まずは基となるSA-12とPM-12について軽くおさらいしておきたい。
この2モデルは、同社ミドルクラスの“12シリーズ”に位置している製品だ。12シリーズの使命は、「最上位クラスの“10シリーズ”の音質的クオリティを、半分のコストで最大限達成すること」。
これを具現化するために、SA-12は音の要となるD/Aコンバーター部分に、上位モデルのSA-10と同じディスクリートDAC「MMM(Marantz Musical Mastering)」を採用している。更に、位相ノイズを15dBも改善したクロックを搭載。CDプレーヤーで大きな音質ファクターとなるドライブメカも台座の素材がアルミ押出材から鋼板製に変わっているものの、SA-10とほぼ同仕様のドライブを採用していたりする。
PM-12も、PM-10から多くの技術やパーツを継承している。まずPM-10が採用した新世代スイッチングアンプ、Hypex「NC500」を入念な放熱対策と強固な固定を実現した新しい取り付け方法で搭載し、実配線の短縮化と接点の減少も実現した。
更にスペースファクターに優れるスイッチング式アンプモジュールのメリットを活かし、その空いたスペースにJRC製の新型ボリュームICを使った高品位なボリューム回路を搭載。これらにより、マランツがプリアンプに求める重要な要素「入力信号の鮮度をそのままパワーアンプに送り届ける」ことを実現している。
しかし、12シリーズに許されるコストは10シリーズの半分だ。そこでコストダウンが行われたわけだが、その概要は大きく2つある。まず1つ目は、シャーシやインシュレーターの素材変更など主にシャーシ周りの変更。そして2つ目はフルバランス回路のアンバランス化による絶対的な回路ボリュームのスリム化だ。
つまりSA-12/PM-12は、基礎的な技術の多くを上位モデルであるSA-10/PM-10から受け継いでいるため、「ベースモデルの音の素性が良く潜在的な可能性が高くなければいけない」というOSE化の条件が整っていたのである。そしてOSE化にあたり、求められたコンセプトは「価格や機能のバランスより、音質に特化したモデルを作る事」だ。