公開日 2023/12/28 06:40
機器の空き端子を活用するフルテック「NCF Clear Line」の改善効果を検証
【特別企画】挿せばすぐ分かる音質向上アイテム
オーディオ機器の空き端子に保護カバーを付けている人は多い。ここにカバーではなく、クオリティアップに積極活用するのがこの製品だ。端子に差すだけで、誘導されるノイズをチューニング処理するパッシブタイプで、色付けせず埋もれていた音源本来の魅力を引き出す。本稿では小原由夫氏が自宅システムのCDとアナログで検証レポートする。
昨今流行の仮想アースに続いて、機器の空き端子に差し込むだけでノイズ(帯電する静電気)除去や制振作用を発揮し、再生音のクオリティを高めてくれるアクセサリーが注目を集め始めている。いわば『プラグ・アンド・プレイ』ですぐに効果が分かるその直接的改善に、多くのマニアが目を向けているわけだ。
今回私がテストするのも、そうした類のアクセサリーで、フルテックがリリースした「NCF Clear Line」のRCA版(「NCF Clear Line-RCA」)と、XLR版(入力用「NCF Clear Line-XLR(M)」と出力用「NCF Clear Line-XLR(F)」)である。アンプやCDプレーヤー、DAコンバーターなどのエレクトロニクス機器の空いている入力、または出力端子に差し込むだけで著しい改善効果をもたらす。双方に共通した特徴から解説していこう。
センターピンの接点部には、フルテック独自の極低温処理と特殊電磁界処理による2段階の「αプロセッシング」(冷媒内で-196から-250度の低温で処理することで、金属の分子構造をより緊密に結合させることで伝導率が向上。さらに特許取得済みのリング消磁処理によって磁化を完全に排除)と、静電気除去と制振作用を有するNCF液晶ポリマー樹脂材を注入したOCCロジウムメッキのワンピース材を採用。
ここが、「NCF Clear Line」の最大のセールスポイントである。ちなみにNCFは、ナイロン/グラスファイバーに、ナノサイズの結晶性セラミックパウダーとカーボンパウダーを調合したものだ。
内蔵されたセラミックコンデンサーは、幾度ものカットアンドトライによって種類/仕様を決定したもので、機器内部のノイズがこの部品によって吸収・処理される。さらにその外層に高性能なシルバーカラー特殊制振塗料でコーティングを施し、振動抑制を図っている点も見逃せない。
本品は、銅合金製の制振材固定リングによってチャッキングをすることで本領を発揮する(RCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」のみ)。その外装部は、ハイブリッドNCFフォージドカーボンファィバーを重ねた上に、特殊クリア硬質コート塗料などを施した4層構造。ハウジング内部は非磁性ステンレス製である(XLRタイプでは、導体の止めネジ3箇所も弱磁性のステンレス鋼六角穴付き)。
一方、本体内部には半密閉型の空気室が設けられ、振動に対して内部の空気圧が抵抗として作用する。また、本体末端部にはNCF配合耐熱素性ナイロン樹脂製のカバーを装着。凹凸構造による表面積のアップも相まって振動吸収の効能を高めている。
最初に私のレファレンス機であるプリアンプ/ソウリューション725で試した。まずは入力の空き端子にRCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」を差し、CDを聴いてみた。するとどうだろう、音場の見晴らしが向上し、S/Nのアップが実感できた。奥行きの深さと立体的なパースペクティブが現われたのである。
ヴォーカル音像はグッと迫り出して克明になり、伴奏との距離感が生まれた。声や楽器の細部のニュアンスも鮮明である。オーケストラではハーモニーの重厚さや打楽器の実在感が高まった。ものは試しと、「NCF Clear Line-RCA」を外してみると、細部の質感再現が粗くなり、音場が萎縮してこじんまりとなってしまうのが分かった。
続いて、フォノイコライザーアンプのアキュフェーズC-47のバランス出力端子に「NCF Clear Line」のXLRタイプ「NCF Clear Line-XLR(F)」を差してみた。気のせいか、スクラッチノイズの耳当たりが柔らかくなったような印象を受けた。
30分ほど聴き込むと、やはり音場の奥行きや立体感が拡大するのが実感できた。クラシックでは、エネルギーバランスの安定感も高まった。「NCF Clear Line-XLR(F)」を外してみた時との音の落差は唖然とするほどで、アナログ再生での効果の方が、CD再生時よりも著しい。
ダイナミックレンジの広がりと細部のニュアンス描写が浮き彫りとなる辺りは、情報がくまなくピックアップされて再現できたことによるものだろう。
「NCF Clear Line」の効果は、冒頭記したように、まさしくプラグ・アンド・プレイ。真に面白く、魅力的なアイテムと言ってよい。
【本シリーズの主な特徴】●本シリーズの製品カテゴリーは「ライン オプティマイザー」(Line optimizer)。使用する製品の入力および出力回路の構成によっては、左右チャンネルを同時に使用(2個使い)した方が、より理想的な作用が望める●センターピン内部に静電気対策としてフルテックの特殊素材「NCF」を注入したAlpha OCCロジウムメッキのワンピース中心導体●全てのコネクター、導体の金属部品は、フルテックの2段階の超低温処理および特殊電磁界処理「α-Process」を採用●エンドカバーは、NCF配合耐熱性ナイロン樹脂製で振動を効果的に吸収●優れた振動減衰特性を持つマルチマテリアルハイブリッド構造を採用
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ vol.81』からの転載です。
入/出力の信号系端子に挿し、直接的な改善効果をもたらす
昨今流行の仮想アースに続いて、機器の空き端子に差し込むだけでノイズ(帯電する静電気)除去や制振作用を発揮し、再生音のクオリティを高めてくれるアクセサリーが注目を集め始めている。いわば『プラグ・アンド・プレイ』ですぐに効果が分かるその直接的改善に、多くのマニアが目を向けているわけだ。
今回私がテストするのも、そうした類のアクセサリーで、フルテックがリリースした「NCF Clear Line」のRCA版(「NCF Clear Line-RCA」)と、XLR版(入力用「NCF Clear Line-XLR(M)」と出力用「NCF Clear Line-XLR(F)」)である。アンプやCDプレーヤー、DAコンバーターなどのエレクトロニクス機器の空いている入力、または出力端子に差し込むだけで著しい改善効果をもたらす。双方に共通した特徴から解説していこう。
センターピンの接点部には、フルテック独自の極低温処理と特殊電磁界処理による2段階の「αプロセッシング」(冷媒内で-196から-250度の低温で処理することで、金属の分子構造をより緊密に結合させることで伝導率が向上。さらに特許取得済みのリング消磁処理によって磁化を完全に排除)と、静電気除去と制振作用を有するNCF液晶ポリマー樹脂材を注入したOCCロジウムメッキのワンピース材を採用。
ここが、「NCF Clear Line」の最大のセールスポイントである。ちなみにNCFは、ナイロン/グラスファイバーに、ナノサイズの結晶性セラミックパウダーとカーボンパウダーを調合したものだ。
内蔵されたセラミックコンデンサーは、幾度ものカットアンドトライによって種類/仕様を決定したもので、機器内部のノイズがこの部品によって吸収・処理される。さらにその外層に高性能なシルバーカラー特殊制振塗料でコーティングを施し、振動抑制を図っている点も見逃せない。
本品は、銅合金製の制振材固定リングによってチャッキングをすることで本領を発揮する(RCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」のみ)。その外装部は、ハイブリッドNCFフォージドカーボンファィバーを重ねた上に、特殊クリア硬質コート塗料などを施した4層構造。ハウジング内部は非磁性ステンレス製である(XLRタイプでは、導体の止めネジ3箇所も弱磁性のステンレス鋼六角穴付き)。
一方、本体内部には半密閉型の空気室が設けられ、振動に対して内部の空気圧が抵抗として作用する。また、本体末端部にはNCF配合耐熱素性ナイロン樹脂製のカバーを装着。凹凸構造による表面積のアップも相まって振動吸収の効能を高めている。
CDソースでは音場の見晴らしやS/N、立体感をアップ
最初に私のレファレンス機であるプリアンプ/ソウリューション725で試した。まずは入力の空き端子にRCAタイプ「NCF Clear Line-RCA」を差し、CDを聴いてみた。するとどうだろう、音場の見晴らしが向上し、S/Nのアップが実感できた。奥行きの深さと立体的なパースペクティブが現われたのである。
ヴォーカル音像はグッと迫り出して克明になり、伴奏との距離感が生まれた。声や楽器の細部のニュアンスも鮮明である。オーケストラではハーモニーの重厚さや打楽器の実在感が高まった。ものは試しと、「NCF Clear Line-RCA」を外してみると、細部の質感再現が粗くなり、音場が萎縮してこじんまりとなってしまうのが分かった。
アナログもエネルギーバランスが安定しニュアンス描写が浮き彫りに
続いて、フォノイコライザーアンプのアキュフェーズC-47のバランス出力端子に「NCF Clear Line」のXLRタイプ「NCF Clear Line-XLR(F)」を差してみた。気のせいか、スクラッチノイズの耳当たりが柔らかくなったような印象を受けた。
30分ほど聴き込むと、やはり音場の奥行きや立体感が拡大するのが実感できた。クラシックでは、エネルギーバランスの安定感も高まった。「NCF Clear Line-XLR(F)」を外してみた時との音の落差は唖然とするほどで、アナログ再生での効果の方が、CD再生時よりも著しい。
ダイナミックレンジの広がりと細部のニュアンス描写が浮き彫りとなる辺りは、情報がくまなくピックアップされて再現できたことによるものだろう。
「NCF Clear Line」の効果は、冒頭記したように、まさしくプラグ・アンド・プレイ。真に面白く、魅力的なアイテムと言ってよい。
【本シリーズの主な特徴】●本シリーズの製品カテゴリーは「ライン オプティマイザー」(Line optimizer)。使用する製品の入力および出力回路の構成によっては、左右チャンネルを同時に使用(2個使い)した方が、より理想的な作用が望める●センターピン内部に静電気対策としてフルテックの特殊素材「NCF」を注入したAlpha OCCロジウムメッキのワンピース中心導体●全てのコネクター、導体の金属部品は、フルテックの2段階の超低温処理および特殊電磁界処理「α-Process」を採用●エンドカバーは、NCF配合耐熱性ナイロン樹脂製で振動を効果的に吸収●優れた振動減衰特性を持つマルチマテリアルハイブリッド構造を採用
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ vol.81』からの転載です。