公開日 2010/03/03 12:05
大切な写真を長く保存するために知っておきたい「バックアップ」のキホン
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デジタルカメラは気軽に沢山の写真を撮れますが、撮りためた写真はどのように保存しているでしょうか? PCのHDDに入れたまま? それともSDカードに保存しっぱなし? 二度と出会えないかもしれない瞬間を捕らえた大切なデータですが、「データの正しいバックアップ」を怠ると一瞬で消えてしまう可能性もあるのです。そこでカメラマンの川村容一氏が、データを長期間保存する方法について解説します。
■貴重な写真をいつまでも
大切な人のハッとするような表情、長い時間待ち続けてやっと出会えた自然の営み、貴重な一瞬を撮影した時の喜びと充実感はひとしおである。そんな2枚とない画像データの扱いを、みなさんはどうしているだろうか?
■長期保存には光記録メディアを活用した「ダブルバックアップ」がオススメ
メモリーカードやHDDに保存したデータは、ちょっとした取り扱いのミスやハードウェアの故障で全て消えてしまう危険にさらされている。特に、大量の画像をHDDだけに保管するのはかなりのリスクが伴う。クラッシュすればすべての写真が一瞬で無くなってしまうのだ。安全のためには同じ画像データを2台以上の HDDに常に記録したいところだが、この方法は手軽で簡単で安価というわけにはいかない。そこでひとつの方法として、「光記録メディア」にバックアップをとることをお薦めしたい。
光記録メディアを保存媒体として勧める理由は、まず薄く小さく軽いこと。保管に場所を取らない。次に、しっかり記録された光記録メディアは長期にわたり安定性が高く、再び読み取ることが容易であること。また、価格が安く入手が簡単なのもポイントだ。実際、毎日のように多量の画像データを扱っていてトラブルが一番少ない記録媒体が、光記録メディアである。薄くて軽い一枚の円盤だが、物理的、化学的にも非常にタフであるといえる。そして、ほとんどのコンピュータに搭載されている光学ドライブで簡単に読み取りや書き込みができる汎用性も大きな魅力だ。
HDDは大容量でアクセスのスピードも高速だが、回転する機械ゆえ寿命があるし、長期間動かさないと不具合が出る可能性もある。メモリーカードは小型で手軽だが、カードリーダーへの抜き差しの途中で中のデータを壊してしまう恐れも高い。光記録メディアは容量が少ないのではと思う方もいるかも知れないが、 DVD-Rの容量は4ギガバイト強で扱いやすい容量であり、記録容量当たりの価格が安い。読み込みに対応したドライブも普及しているので、いつでもどこでも安心して読み出せるだろう。信頼性の高い光記録メディアに、適切な方法でデータを記録することは現在、もっとも長期保存に向いた手段だと断言できる。
■保存に適したDVD-Rってどんなもの?
DVD-Rへの保存で、筆者がおすすめの方法をご紹介しよう。デジタルカメラから取り出したメモリーカードのデータを、パソコンまたはフォトストレージのハードディスクにコピーする。そしてDVD-Rなどの光記録メディアにバックアップをとろう。そのなかで加工が必要な画像はパソコンで処理し、加工が完成した画像は撮影日や写っている内容ごとに分けるなどして、また別途DVD-Rに保存しよう。また、記録前の光記録メディアには、汚れやキズ、指紋の付着などに特に注意してほしい。レーベル面へのプリントや文字などの書き込みは、記録が終わってから行おう。
また、もう少しこだわると、書き込みの際に使うドライブも光記録メディアも国内の信頼できるメーカー製を使用すればエラーは格段に少なくなる。
バックアップをとる光記録メディアだが、DVD-R以外にもDVD-RW/+RW、DVD-RAM/+Rという光記録メディアが市販されている。DVD-RW/+RW、DVD-RAMは書き換えが可能な光記録メディアである。パソコンのデータ記録やビデオの繰り返しの録画再生に用いられる。もちろん写真の画像データ記録にも使えるのだが、誤って上書きして大切な写真を消してしまうことも考えられるため注意が必要。デジカメ写真の保存目的ならDVD-Rがお薦めだ。記録容量の大きな二層記録のDVD-R DLも、写真データの保存に向いている。
DVD-Rにも「録画用」と「データ用」の2種類があるが、実はどちらも光記録メディア自体は同じもの。「録画用」の方が少し価格が高いが、それは"私的録画補償金"が含まれているからだ。写真を保存したいときは「データ用」を選べばよい。
■安全な保管方法とは?
こうしてデータを保存した光記録メディアは、記録層を守るため直射日光や高温・多湿の環境は避けて保管しよう。防虫剤などガスが出るものと一緒に保管しない方がより安心できる。
保管は専用のプラスチックケースに入れて保管したい。光記録メディアの歪みは禁物だ。また、ケースから取り出す時も光記録メディアを無理に曲げてヒビなどを生じさせないように。ヒビができた光記録メディアは割れることもあるので、データの移行などを行ったうえで速やかに処分する。その際、記録面にカッターなどで何本も筋を入れて廃棄すれば、データの流出を防ぐことができる。
また、万全を期して同じデータを2枚に記録し、それぞれ違う場所に保管するのが望ましい。ほんの少しの努力で画像データの安全性は高く保たれるだろう。
■取り扱いのヒント
データを書き込む際や読み取る際にエラーが多くなってきたら、ドライブのレンズが汚れている場合が多い。レンズクリーナーを使ってみよう。毎分1万回転以上で回転し、レーザー光線を出力するドライブ本体にも寿命がある。書き込み前の光記録メディアは記録面への指紋や汚れ、キズがつかないように特に注意して扱ってほしい。記録済み光記録メディアの汚れはメガネ拭きなどで放射状に拭き取ること。汚れやキズがつきにくい「ハードコート」製品を使うのもよいだろう。
■データをバッチリ守ってくれる「ハードコート」光記録メディア
光記録メディアの大敵は「キズ・ヨゴレ・ホコリ」。これが光記録メディアに付くと、せっかく書き込んだデータがきちんと読み取れなくなってしまうのだ。しかしキズもヨゴレもホコリも、気付かないうちについてしまっているもの。これを防ぐものとして、各社から「ハードコート」を施した光記録メディアが発売されている。
これは記録面に特殊なハードコーティングをかけることでキズやヨゴレ、ホコリを防ぐというものだ。その効果は絶大で、例えばThat'sの「トリプルガード」シリーズは、従来光記録メディアと比べてキズ耐久性200倍、指紋の付着性は7分の1、静電気を防いでホコリを寄せ付けない性能は1,000倍と、とても高い結果が出ている。
こちらの写真を見てみよう。ハードコートを施したものと、そうでないものの違いは目で見ても明らか。スチールウールで20回こすっても、記録面にほとんどキズがついていない。通常の取扱ではほぼキズの心配はないと考えられる。
知らず知らずのうちにつけてしまう指紋(脂汚れ)やホコリも寄せ付けない。
なお、家電量販店などの売り場にある光記録メディアが全てハードコートを施したものではないので注意。パッケージに書いてある「ハードコート」や「保護コート」、「トリプルガード」などのキーワードを探そう。
光記録メディアは「価格が安いから」という理由だけで選んでしまう方も多いのではないだろうか? しかし、大切な写真を保存するものだからこそ、品質で選ぶことが大切だ。安いだけの光記録メディアへ書き込んだデータが、1年経ったら読めなくなってしまった…なんてことがあったら、その悲しみは何者にも埋められない。いつまでもきちんとデータを記録&読み取りができるよう、光記録メディア選びにもこだわってみることをお薦めしたい。
【執筆者プロフィール】
川村容一 Yoichi Kawamura
写真家。広告代理店写真部、編集プロダクション写真部を経て独立。デジタルカメラでの取材ものから大判フィルムを使った商品撮影が主な仕事。モノクロの処理は自宅暗室で行っている。JPS展実行委員会など事業の運営に参加する。写真添削講座講師も務め、写すこと・創ること・発表することの楽しさを広めている。社団法人日本写真家協会会員。
■貴重な写真をいつまでも
大切な人のハッとするような表情、長い時間待ち続けてやっと出会えた自然の営み、貴重な一瞬を撮影した時の喜びと充実感はひとしおである。そんな2枚とない画像データの扱いを、みなさんはどうしているだろうか?
■長期保存には光記録メディアを活用した「ダブルバックアップ」がオススメ
メモリーカードやHDDに保存したデータは、ちょっとした取り扱いのミスやハードウェアの故障で全て消えてしまう危険にさらされている。特に、大量の画像をHDDだけに保管するのはかなりのリスクが伴う。クラッシュすればすべての写真が一瞬で無くなってしまうのだ。安全のためには同じ画像データを2台以上の HDDに常に記録したいところだが、この方法は手軽で簡単で安価というわけにはいかない。そこでひとつの方法として、「光記録メディア」にバックアップをとることをお薦めしたい。
光記録メディアを保存媒体として勧める理由は、まず薄く小さく軽いこと。保管に場所を取らない。次に、しっかり記録された光記録メディアは長期にわたり安定性が高く、再び読み取ることが容易であること。また、価格が安く入手が簡単なのもポイントだ。実際、毎日のように多量の画像データを扱っていてトラブルが一番少ない記録媒体が、光記録メディアである。薄くて軽い一枚の円盤だが、物理的、化学的にも非常にタフであるといえる。そして、ほとんどのコンピュータに搭載されている光学ドライブで簡単に読み取りや書き込みができる汎用性も大きな魅力だ。
HDDは大容量でアクセスのスピードも高速だが、回転する機械ゆえ寿命があるし、長期間動かさないと不具合が出る可能性もある。メモリーカードは小型で手軽だが、カードリーダーへの抜き差しの途中で中のデータを壊してしまう恐れも高い。光記録メディアは容量が少ないのではと思う方もいるかも知れないが、 DVD-Rの容量は4ギガバイト強で扱いやすい容量であり、記録容量当たりの価格が安い。読み込みに対応したドライブも普及しているので、いつでもどこでも安心して読み出せるだろう。信頼性の高い光記録メディアに、適切な方法でデータを記録することは現在、もっとも長期保存に向いた手段だと断言できる。
各記録媒体の特徴 | 容量 | 安定性(寿命) | 取り扱いやすさ | データの読み書きしやすさ | 1GBあたりのコスト | ||||||||||
HDD |
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光記録メディア |
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フラッシュメモリー |
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■保存に適したDVD-Rってどんなもの?
DVD-Rへの保存で、筆者がおすすめの方法をご紹介しよう。デジタルカメラから取り出したメモリーカードのデータを、パソコンまたはフォトストレージのハードディスクにコピーする。そしてDVD-Rなどの光記録メディアにバックアップをとろう。そのなかで加工が必要な画像はパソコンで処理し、加工が完成した画像は撮影日や写っている内容ごとに分けるなどして、また別途DVD-Rに保存しよう。また、記録前の光記録メディアには、汚れやキズ、指紋の付着などに特に注意してほしい。レーベル面へのプリントや文字などの書き込みは、記録が終わってから行おう。
また、もう少しこだわると、書き込みの際に使うドライブも光記録メディアも国内の信頼できるメーカー製を使用すればエラーは格段に少なくなる。
バックアップをとる光記録メディアだが、DVD-R以外にもDVD-RW/+RW、DVD-RAM/+Rという光記録メディアが市販されている。DVD-RW/+RW、DVD-RAMは書き換えが可能な光記録メディアである。パソコンのデータ記録やビデオの繰り返しの録画再生に用いられる。もちろん写真の画像データ記録にも使えるのだが、誤って上書きして大切な写真を消してしまうことも考えられるため注意が必要。デジカメ写真の保存目的ならDVD-Rがお薦めだ。記録容量の大きな二層記録のDVD-R DLも、写真データの保存に向いている。
DVD-Rにも「録画用」と「データ用」の2種類があるが、実はどちらも光記録メディア自体は同じもの。「録画用」の方が少し価格が高いが、それは"私的録画補償金"が含まれているからだ。写真を保存したいときは「データ用」を選べばよい。
■安全な保管方法とは?
こうしてデータを保存した光記録メディアは、記録層を守るため直射日光や高温・多湿の環境は避けて保管しよう。防虫剤などガスが出るものと一緒に保管しない方がより安心できる。
保管は専用のプラスチックケースに入れて保管したい。光記録メディアの歪みは禁物だ。また、ケースから取り出す時も光記録メディアを無理に曲げてヒビなどを生じさせないように。ヒビができた光記録メディアは割れることもあるので、データの移行などを行ったうえで速やかに処分する。その際、記録面にカッターなどで何本も筋を入れて廃棄すれば、データの流出を防ぐことができる。
また、万全を期して同じデータを2枚に記録し、それぞれ違う場所に保管するのが望ましい。ほんの少しの努力で画像データの安全性は高く保たれるだろう。
■取り扱いのヒント
データを書き込む際や読み取る際にエラーが多くなってきたら、ドライブのレンズが汚れている場合が多い。レンズクリーナーを使ってみよう。毎分1万回転以上で回転し、レーザー光線を出力するドライブ本体にも寿命がある。書き込み前の光記録メディアは記録面への指紋や汚れ、キズがつかないように特に注意して扱ってほしい。記録済み光記録メディアの汚れはメガネ拭きなどで放射状に拭き取ること。汚れやキズがつきにくい「ハードコート」製品を使うのもよいだろう。
■データをバッチリ守ってくれる「ハードコート」光記録メディア
光記録メディアの大敵は「キズ・ヨゴレ・ホコリ」。これが光記録メディアに付くと、せっかく書き込んだデータがきちんと読み取れなくなってしまうのだ。しかしキズもヨゴレもホコリも、気付かないうちについてしまっているもの。これを防ぐものとして、各社から「ハードコート」を施した光記録メディアが発売されている。
これは記録面に特殊なハードコーティングをかけることでキズやヨゴレ、ホコリを防ぐというものだ。その効果は絶大で、例えばThat'sの「トリプルガード」シリーズは、従来光記録メディアと比べてキズ耐久性200倍、指紋の付着性は7分の1、静電気を防いでホコリを寄せ付けない性能は1,000倍と、とても高い結果が出ている。
こちらの写真を見てみよう。ハードコートを施したものと、そうでないものの違いは目で見ても明らか。スチールウールで20回こすっても、記録面にほとんどキズがついていない。通常の取扱ではほぼキズの心配はないと考えられる。
知らず知らずのうちにつけてしまう指紋(脂汚れ)やホコリも寄せ付けない。
なお、家電量販店などの売り場にある光記録メディアが全てハードコートを施したものではないので注意。パッケージに書いてある「ハードコート」や「保護コート」、「トリプルガード」などのキーワードを探そう。
光記録メディアは「価格が安いから」という理由だけで選んでしまう方も多いのではないだろうか? しかし、大切な写真を保存するものだからこそ、品質で選ぶことが大切だ。安いだけの光記録メディアへ書き込んだデータが、1年経ったら読めなくなってしまった…なんてことがあったら、その悲しみは何者にも埋められない。いつまでもきちんとデータを記録&読み取りができるよう、光記録メディア選びにもこだわってみることをお薦めしたい。
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【執筆者プロフィール】
川村容一 Yoichi Kawamura
写真家。広告代理店写真部、編集プロダクション写真部を経て独立。デジタルカメラでの取材ものから大判フィルムを使った商品撮影が主な仕事。モノクロの処理は自宅暗室で行っている。JPS展実行委員会など事業の運営に参加する。写真添削講座講師も務め、写すこと・創ること・発表することの楽しさを広めている。社団法人日本写真家協会会員。