公開日 2024/10/10 06:30
“システムの潜在能力を引き出す”アンダンテラルゴのラック愛用ユーザー・高橋 潤さんを訪ねる
【特別企画】よい音で聴ける人生の時間も長くなる
「軽量」「堅牢」「コンパクト」「制振」を極限まで追求したアンダンテラルゴのオーディオラック。今回は同社のラックシリーズに魅せられたユーザー・高橋 潤さんを紹介する。愛用システムの潜在能力をさらに引き出したオーディオルームを林 正儀氏が訪ねた。
東京都にお住まいの高橋 潤さんのリスニングルームには何度か訪問している。英国コード・カンパニー社のケーブルやアンダンテラルゴの数々の製品を使いこなす熱烈な愛好家であり、ハイエンド・オーディオ・ロッカーとしても知られている。
そんな高橋さんがここ最近で最も重視したのがオーディオラックである。アンダンテラルゴのリジッド・シリーズやグランド・シリーズを全システムにセットしているのだ。この究極のオーディオラックをどんな環境でどう使いこなしているのだろうか?
「ケーブルの次はラックになっちゃうね!」と、苦笑いする高橋さんである。天井の高い24畳の部屋にはJBLをベースとした大型の5ウェイマルチシステムが鎮座。パワーアンプはマークレビンソンだ。ケーブルはすべてコード・カンパニー(ミュージックとセイラムT)で組み、ほっと一息ついたところで、今度はラックへと食指が動くとは!羨ましいかぎりだ。
両シリーズについて軽くおさらいしよう。「軽量、堅牢、コンパクト、制振」を開発ポリシーとするリジッド・シリーズは多段式の「リジッドタワー」と「リジッドテーブル」、「リジッドベース」から構成されている。
一方、最上位のグランド・シリーズはコストの制約なしに理想を追求したハイエンドラックだ。リジッドシリーズと同様のコンセプトを踏襲しつつ、より太いパイプと、無垢削り出しのジュラルミンA7075製ジョイントを用いることで、類を見ない「堅牢」設計を実現している。こちらも「グランタワー」「グランソロ」「グランベース」の3種類がラインアップだ。
高橋さんのシステムはラック別に言うと、プレーヤー、プリなどの入力系は最高峰のグランド・シリーズで統一している。一方でスピーカー側のパワーアンプには、リジッド・シリーズのラックを組み合わせた。実はこれには巧みな戦略があった。全てを新規に購入するのではなく、入力系でこれまでに使っていた「リジッドべ―ス」をパワーアンプ側で「リジッドテーブル」と組み合わせてうまく転用しているのだ。
まずリスナー側の入力機器から見ていく。CDプレーヤーもプリも高級木材ブビンガの長テーブルの下に隠すようにセット。きれいなテーブルの上には機器を置かないという、高橋さん流レイアウトの美学だ。
そのこだわりに沿って、数年前に再生機器やコントロール系用に導入したのが3台の「リジッドベース」だ。それを今回、全て最高峰の「グランベース」とした。アナログプレーヤーはEMTの「930st」で、こちらも長年使ってきた「リジッドテーブル」から「グランソロ」にグレードアップさせた。それまでのリジッド・シリーズから一気に4台がグランドシリーズにグレードアップしたわけだ。
一方スピーカー側のラックはどうだろう。JBLの各ユニットがレビンソンのパワーアンプ6台にてドライブされる。以前はそのラックが自作だった。鉄パイプやジョイントなどで組み上げたものだったが、それらがすべてアンダンテラルゴのラックになった。
3台のラックは「リジッドテーブル」だが、真ん中のステレオパワーアンプにはEMT930で使っていたものを転用。左右は専用の背丈を新規導入した。下の段は「リジッドベース」にパワーアンプを設置する贅沢な手法だ。アンプがAクラスで発熱するため、これにより空間を大きく設けることができるという見事な徹底ぶりである。6台のレビンソンのパワーアンプが、各々独立したラックに乗っている。そんな贅沢があるだろうか。
その手前にはチャンデバ用に以前から使用している「リジッドベース」が3台という配置だ。
オーディオラックのグレードアップを終え、色々なCDやレコードを今聴いている最中だという高橋さん。「今が一番楽しいんですよ。やった甲斐があった!」と。
どう音がよいのか。以前の高橋さん宅の音と比べて、格段にS/Nが向上し、音のピントが全域ですべて合ってきた。よりクリアで立体的になり、今までモヤっとしていた低域の音階がハッキリとわかる。高域の立体感と繊細さが際立つというのが高橋さんの感想だ。
「普通のレンズからアスフェリカル(非球面レンズ)に変えたぐらいの違いで、スカッとするね」。ピント感が合い、それを極めていくと最終的には音が自然になるものだが、グランド・シリーズには確かにその表現力がある。聴こえなかった微細なニュアンスがどんどん聴こえ出し、ビーチ・ボーイズは70年代と思えないみずみずしく鮮明なヴォーカルに思わずのけぞる。音楽の内面までリアルに届けてくれるのだ、この時代の多重録音が、実にキメ細やかなつながりとハーモニー豊かなことに感嘆した。
アナログレコードも高橋さんの愛聴盤から聴いた。25p/45回転の高音質盤で、懐かしいプレスリーやビートルズを聴いた。オリナル盤らしい鮮度バリバリな音。音溝からダイレクトに音が飛び出すようで、「ビートルズもラックを変えたら全部聴き直しちゃうんだよね!」。
さらにLPのセルジオ・メンデスとブラジル66やサイモンとガーファンクルは、もうナマ音以上で言葉がない。筆者持参のノラ・ジョーンズの新譜もかけてもらったが、ラックのポテンシャルを存分に体感できた。大げさなようだが、音楽の世界観や思想をも表現しうる最強のアイテムだと思う。
オーディオラックは一生ものだ、早めに導入すれは、その分だけよい音で聴ける人生の時間も長くなる。後回しにせず、思い立った時にリジッドやグランド・シリーズをぜひ導入して欲しい。
Photo by 君嶋寛慶
(提供:アンダンテラルゴ)
本記事は『アナログ vol.84』からの転載です。
全ての愛用システムをアンダンテラルゴのラックにセット
東京都にお住まいの高橋 潤さんのリスニングルームには何度か訪問している。英国コード・カンパニー社のケーブルやアンダンテラルゴの数々の製品を使いこなす熱烈な愛好家であり、ハイエンド・オーディオ・ロッカーとしても知られている。
そんな高橋さんがここ最近で最も重視したのがオーディオラックである。アンダンテラルゴのリジッド・シリーズやグランド・シリーズを全システムにセットしているのだ。この究極のオーディオラックをどんな環境でどう使いこなしているのだろうか?
「ケーブルの次はラックになっちゃうね!」と、苦笑いする高橋さんである。天井の高い24畳の部屋にはJBLをベースとした大型の5ウェイマルチシステムが鎮座。パワーアンプはマークレビンソンだ。ケーブルはすべてコード・カンパニー(ミュージックとセイラムT)で組み、ほっと一息ついたところで、今度はラックへと食指が動くとは!羨ましいかぎりだ。
両シリーズについて軽くおさらいしよう。「軽量、堅牢、コンパクト、制振」を開発ポリシーとするリジッド・シリーズは多段式の「リジッドタワー」と「リジッドテーブル」、「リジッドベース」から構成されている。
一方、最上位のグランド・シリーズはコストの制約なしに理想を追求したハイエンドラックだ。リジッドシリーズと同様のコンセプトを踏襲しつつ、より太いパイプと、無垢削り出しのジュラルミンA7075製ジョイントを用いることで、類を見ない「堅牢」設計を実現している。こちらも「グランタワー」「グランソロ」「グランベース」の3種類がラインアップだ。
プレーヤーとプリアンプは最高峰グランドで強化
高橋さんのシステムはラック別に言うと、プレーヤー、プリなどの入力系は最高峰のグランド・シリーズで統一している。一方でスピーカー側のパワーアンプには、リジッド・シリーズのラックを組み合わせた。実はこれには巧みな戦略があった。全てを新規に購入するのではなく、入力系でこれまでに使っていた「リジッドべ―ス」をパワーアンプ側で「リジッドテーブル」と組み合わせてうまく転用しているのだ。
まずリスナー側の入力機器から見ていく。CDプレーヤーもプリも高級木材ブビンガの長テーブルの下に隠すようにセット。きれいなテーブルの上には機器を置かないという、高橋さん流レイアウトの美学だ。
そのこだわりに沿って、数年前に再生機器やコントロール系用に導入したのが3台の「リジッドベース」だ。それを今回、全て最高峰の「グランベース」とした。アナログプレーヤーはEMTの「930st」で、こちらも長年使ってきた「リジッドテーブル」から「グランソロ」にグレードアップさせた。それまでのリジッド・シリーズから一気に4台がグランドシリーズにグレードアップしたわけだ。
「リジッドテーブル」の下に「リジッドベース」を設置する
一方スピーカー側のラックはどうだろう。JBLの各ユニットがレビンソンのパワーアンプ6台にてドライブされる。以前はそのラックが自作だった。鉄パイプやジョイントなどで組み上げたものだったが、それらがすべてアンダンテラルゴのラックになった。
3台のラックは「リジッドテーブル」だが、真ん中のステレオパワーアンプにはEMT930で使っていたものを転用。左右は専用の背丈を新規導入した。下の段は「リジッドベース」にパワーアンプを設置する贅沢な手法だ。アンプがAクラスで発熱するため、これにより空間を大きく設けることができるという見事な徹底ぶりである。6台のレビンソンのパワーアンプが、各々独立したラックに乗っている。そんな贅沢があるだろうか。
その手前にはチャンデバ用に以前から使用している「リジッドベース」が3台という配置だ。
S/Nが格段に向上し全域でピントが合ってきた
オーディオラックのグレードアップを終え、色々なCDやレコードを今聴いている最中だという高橋さん。「今が一番楽しいんですよ。やった甲斐があった!」と。
どう音がよいのか。以前の高橋さん宅の音と比べて、格段にS/Nが向上し、音のピントが全域ですべて合ってきた。よりクリアで立体的になり、今までモヤっとしていた低域の音階がハッキリとわかる。高域の立体感と繊細さが際立つというのが高橋さんの感想だ。
「普通のレンズからアスフェリカル(非球面レンズ)に変えたぐらいの違いで、スカッとするね」。ピント感が合い、それを極めていくと最終的には音が自然になるものだが、グランド・シリーズには確かにその表現力がある。聴こえなかった微細なニュアンスがどんどん聴こえ出し、ビーチ・ボーイズは70年代と思えないみずみずしく鮮明なヴォーカルに思わずのけぞる。音楽の内面までリアルに届けてくれるのだ、この時代の多重録音が、実にキメ細やかなつながりとハーモニー豊かなことに感嘆した。
アナログレコードも高橋さんの愛聴盤から聴いた。25p/45回転の高音質盤で、懐かしいプレスリーやビートルズを聴いた。オリナル盤らしい鮮度バリバリな音。音溝からダイレクトに音が飛び出すようで、「ビートルズもラックを変えたら全部聴き直しちゃうんだよね!」。
さらにLPのセルジオ・メンデスとブラジル66やサイモンとガーファンクルは、もうナマ音以上で言葉がない。筆者持参のノラ・ジョーンズの新譜もかけてもらったが、ラックのポテンシャルを存分に体感できた。大げさなようだが、音楽の世界観や思想をも表現しうる最強のアイテムだと思う。
オーディオラックは一生ものだ、早めに導入すれは、その分だけよい音で聴ける人生の時間も長くなる。後回しにせず、思い立った時にリジッドやグランド・シリーズをぜひ導入して欲しい。
Photo by 君嶋寛慶
(提供:アンダンテラルゴ)
本記事は『アナログ vol.84』からの転載です。