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公開日 2024/12/04 17:50
各地の事業所を集約

JVCケンウッド、新拠点「VCS」稼働。試聴室や無響室など施設内部を披露

編集部:小野佳希
JVCケンウッドは、各地の事業所や事業部を横浜本社地区に集約した新拠点「Value Creation Square(VCS)」の本格稼働を開始。試聴室や無響室、電波暗室を始めとする各施設を一部メディア向けに公開した。

新築の「Hybrid Center」を含む3棟でVCSを構成

VCSは、新ビル「Hybrid Center」と、従来の本社ビル「The Central」、および「Testing Lab」という3つのビルで構成。これまで事業・分野によって各事業所に分散していた技術、研究開発、営業、商品企画、コーポレート部門の各部門が集結した。

各事業所が集結

同社では、「VCSの稼働により、人的流動性を高めてグローバルなメガトレンドに対応した技術開発を強化するとともに、オンサイト/オフサイト勤務の両方のメリットを生かしたハイブリッドワーク環境をさらに整備して働き方改革を推進していく」と説明。

これまでは各事業でお互いに重なり合う技術を持っていても拠点が異なっていたことで活かしきれていなかった部分を、VCSへの集結により効率化を進め、人的流動性を高めていくという。

そして、これまであまり接する機会がなかったスタッフやチームが互いをよく知ることで蓄積された「知」(ノウハウ、知識など)を共有し、そこに生まれた“摩擦”により新たなアイデアの創出につなげ、グローバルなメガトレンドに対応した技術開発力を強化すると説明している。

特に象徴的なのが、新ビル「Hybrid Center」。1階から最上階まで続く大きな吹き抜けを設けた開放的な空間の4階建てになっており、1階と2階に試聴室や無響室などの大型の試験・評価設備を、3階と4階に通常業務を行う執務エリアを展開。試験設備と執務エリア両方を兼ね添えていることから「ハイブリッドセンター」と命名した。

吹き抜けを設けた4階建てに執務スペースや試験設備などを展開

試聴室は2部屋あり、今回公開されたほうの部屋の広さは20畳ほど。無響室は網状の歩行面から上3.6m/下1.8mの空間を設けた完全な無響室と、床面だけ通常の床にした無響室を用意している。

約20畳の新試聴室


ハイトスピーカーなども設置しやすいよう天井にバーを設置


取材時にはカーオーディオ用スピーカーの開発例が展示されていた。スピーカーボックスは実際の自動車のドアと同じくらいの容量になるよう計算されているとのこと


無響室


床下にも空間があり、無響室が“浮いた”ような状態になっている


無響室の内と外で風船の破裂音がどのように違うかというデモも披露された

こうした試験設備の大きな特徴が、自動車も入るほどの広さを備えていること。「従来の八王子事業所にも電波暗室はあったが天井高に制約があった。VCSの完成によって、フルスペックでの試験が行えるようになった」という。

床面だけ反響のある無響室も


運転席にはダミーヘッドが乗車していた


電波暗室

また、温度への対応性能をテストする「恒温槽・熱衝撃試験室」や、その名の通り振動への耐久性などをテストする「振動・衝撃試験室」も装備。恒温槽は試験のための設備を46台用意しており、また、振動試験室も従来より大型な設備を導入したことで、新たな振動モードでの試験や、より重量のある製品の試験も行えるようになったとのこと。

低温や高温など過酷な環境下にも耐えられるかをテスト


試験設備がズラリと並ぶ


振動テスト機も

「我々くらいの会社規模で、これほど大規模な試験設備を自前で持っている企業はなかなか珍しいのではないか」と同社スタッフはコメント。自前の設備を持つことで、外部企業の試験設備を予約したりする必要がなくなり、より計画的に製品開発が行えるようになったという。

3階と4階の執務エリアはフリーアドレス制。部門ごとに大枠のエリアを設定しつつ、固定席を無くしてコミュニケーションの活性化を図るとともに、集中できる個室ブースなども設け、仕事内容に適したワークスペースを選べるようにしたとのこと。

オフィスは個人の席を定めないフリーアドレス制。会議スペースにはウェブ会議などを想定した個室も用意している

また、3階には小規模なプレゼンテーションなども行えるスペース「JKC PLAZA」や、イベントやプレゼンテーションなども実施できる大階段を設置。オープンな空間で共創が促されるようにした。

「JKC PLAZA」スペース


サッカー日本代表の元監督なども務めたジーコ氏も先日の来日の際に立ち寄ったとのこと(同社はジーコ氏がアドバイザーを務める鹿島アントラーズをクラブパートナー契約を結んでいる)

新ビルを含めたVCS全体の執務エリアは、分野別や事業部別ではなく、技術・商品企画・営業などの機能別に配置することで、分野や事業の垣根を超えた交流のきっかけが生まれるようなレイアウトにしたとのこと。また、技術部門の執務エリアは什器や設備を標準化し、どのフロアでも同じ業務環境とすることで、新たなプロジェクトにも参画しやすく、エンジニアの流動性が高まることを目指しているという。

同社では「VCSの創設により、ステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを活性化させることで、未来を先取りする発想を生み出す共創の場を整備した」と説明。「VCSを持続的なイノベーションの創出を実現する“価値創造の拠点”とすることで、『変革と成長』を加速し、活気あふれる企業風土を醸成していく」とした。

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