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公開日 2018/09/27 07:35
最高の音質をリーズナブルに

マランツ「SA-12/PM-12」を聴く − 現代の銘機“10シリーズ”を継承する強力なスタンダード機が誕生

小原由夫

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SACDプレーヤーの「SA-12」(写真下)とプリメインアンプ「PM-12」(写真上)
SACDプレーヤー
MARANTZ
SA-12
¥300,000(税別)

プリメインアンプ
MARANTZ
PM-12
¥300,000(税別)


Profile “現代の銘機”として高い評価を獲得し続けるマランツの最高峰10シリーズ。その弟分とも言える新たなスタンダードとして、12シリーズが登場した。ラインアップはSACDプレーヤーの「SA-12」とプリメインアンプ「PM-12」の2モデル。ともに10シリーズで確立したコアテクノロジーを継承しつつ、コスト面やサイズ等の限られた器の中で完成させている。それでいて10シリーズを超越した部分もある点にも注目したい。そこで本項では今回新たに登場した12シリーズを徹底解説。その上で10シリーズと12シリーズとの技術的、音質的な違いを明確にしながら、その魅力を探っていく。12シリーズは、10シリーズを超えられる部分はどこにあるのか? 小原由夫氏がその核心部にせまる。


12シリーズの位置付け
■マランツの最高の音質をよりリーズナブルに提供

CDの需要は世界的には急激に落ち込んでいるが、日本国内に限ればさほど深刻な状況ではなく、いくつかのメーカーは引き続きCDプレーヤーの新規開発を精力的に進めている昨今だ。マランツもその中の一社で、この度発売されたSACD対応プレーヤー「SA‐12」と同時発表のプリメインアンプ「PM‐12」には、本気度がみっちり詰まっているのがわかる。

「SA‐12」「PM‐12」は、2013年秋にデビューしたSA‐14S1/PM‐14S1の後継機種にあたるが、遺伝子としては16年10月発売のSA‐10と、17年3月発売のPM‐10を継承するもので、その弟分のジェネレーションとなる。すなわち、要素技術の大部分を上位モデルであるSA‐10/PM‐10から受け継いでいるのがセールスポイントだ。

SA-12

SA-12の背面端子部


PM-12

PM-12の背面端子部

真っ先に記したいのは、双方とも兄貴分の半分の価格を実現したこと。さぞ機能面の簡略やスペックダウンがあるのではと斜に構えて見たくもなるが、いずれのモデルも遜色ない内容だ。偏にこのコストダウンは、マランツの企画/技術陣の威信といっていいだろう。技術的な特徴や詳細は後述するが、「SA‐12」は独自のディスクリートDAC、「PM‐12」は新世代スイッチングアンプを、ブランドの新しいフィーチャーとして積極的に推進すべく、より幅広い層に関心をもってもらおうという思いでプランニングされているのである。

12シリーズの音質設計を担当したディーアンドエムホールディングス(株)のマランツ、サウンドマネージャーの尾形好宣氏(撮影:君嶋寛慶)

つまり、SA‐10/PM‐10からキーテクノロジーを継承しながら、電気/機構部品の共用や物量軽減(銅メッキシャーシや電源トランスの銅ケースの採用の見送り、アルミブロック削り出しやダイキャスト等を板金加工品に変えるなど)の断行によってコストダウンを図り、現代のマランツの考える最高の音を、よりリーズナブルな形で提供しようという意志の現れなのである。

結論から先に述べてしまうことになるが、そうした潔いコンセプトが奏功したのか、今回SA‐10/PM‐10の組み合わせと音質比較をしたところ、むしろ「SA‐12」「PM‐12」の方が優れていると感じた面もあったぐらいなのだ。

SACDプレーヤー「SA‐12」
■メカやDACを継承しつつ最新仕様のクロックも搭載

では、まずは「SA‐12」から見ていこう。何はさておき本機の最大の特徴は、ディスクリートDAC「MMM(マランツ・ミュージカル・マスタリング)」の搭載。シングルエンド出力の部分を除き、SA‐10のそれをほぼそっくり受け継いでいる。

ディスクリートDAC「MMM」は、PCMをDSDに変換するMMM-Streamと、D/A変換を行うMMM-Conversionで構成。上写真はデジタル基板に配置されたMMM-Stream

こちらはアナログ基板に配置されたMMM-Conversion部。D/A部を別基板に配置することで、その直前にデジタル・アイソレーターしてノイズカットを行うことができるのもメリットだ

このマランツ・オリジナルの回路は非常に合理的にデザインされている上に、同社が目指す音をストレートに具現化したもの。なぜならば、汎用のチップ型DACに内蔵されている不要な回路が省け、一方では必要とする回路に贅沢な部品を投入することができるからだ(音質に影響する部分にパーツを自由に選択可能)。

本機の内部。左右チャンネルのアナログ出力回路をシンメトリーにレイアウト。等長、平行配置を徹底させ、高いチャンネルセパレーションと空間の表現力を獲得

また、デジタルアイソレーターによってデジタル/アナログ回路の遮断も可能になり、相互干渉を防ぐことのメリットが享受できる。

エンジニアの思い描いた要素がしっかりと反映

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