公開日 2018/12/14 08:00
【特別企画】リナーロ社との出会いによって完成
MEZE AUDIOの最高級ヘッドホン「EMPYREAN」を聴く。世界初ドライバーが誘う “最高天” サウンド
山本敦
MEZE AUDIO(メゼ・オーディオ)は2009年にルーマニアでローンチしたオーディオブランドだ。いま中東欧ではハイエンド・オーディオが盛んになりつつあり、活きの良いブランドも次々と頭角を現しつつある。メゼ・オーディオも高品位なヘッドホンとイヤホンの開発に注力する、勢いあふれるブランドだ。今回は欧州のマニアからも熱い視線を浴びるメゼ・オーディオから誕生したフラグシップモデルのヘッドホン「EMPYREAN(エンピリアン)」に迫ってみたい。
■いまから2年以上前にもう完成していた
メゼの製品はブランドのファウンダーであるアントニオ・メゼ氏がコンセプトの立案と設計を担当している。メゼ氏はこれまでにも同社で活躍する優秀なエンジニアとともに2015年9月に発表したプレミアムヘッドホン「99Classics」に代表される名機を生み出してきた。
数々の成功を収めてもなお、あぐらをかくことなくその上をゆくモデルを探求してきたメゼ氏は、「いつかはスーパーカーのような究極のヘッドホンをメゼ・オーディオから排出したい」という思いをずっと胸に抱いてきた。その強い意気込みが、ある出来事を契機に実現へと加速した。それが今から約2年前に訪れたウクライナのリナーロ社との出会いだ。
メゼ氏によると、フラグシップモデル「EMPYREAN」の理論的な商品設計はいまから2年以上前にもう完成していたのだという。ところが、メゼ氏が求める理想のサウンドに至るまで “あと一歩” 、何かが欠けていた。「リナーロのパブロ・シマノヴィッチ氏と出会って、EMPYREANの構想を伝えた時に、彼から返ってきた答えが“パーフェクト”な製品を生み出すために欠けていたものだったことがわかった。リナーロとつながったことで、思い描いたフラグシップをモノにする手応えが得られた」のだと、メゼ氏が当時の熱い想いを振り返っている。
メゼ氏はEMPYREANの構想を描いた当初から平面磁界駆動方式のドライバーを搭載する、最高クラスのヘッドホンを作ることにこだわっていた。ところが肝心のドライバーが満足の行くクオリティに至らなかった。暗中模索していたメゼ氏は、ある展示会に出展した時にシマノヴィッチ氏と出会いリナーロの優れた技術を知った。リナーロはウクライナのリヴィウという街に拠点を構え、30年以上に渡ってオーディオ機器向けの磁気回路や振動板を専門に手がけてきたメーカーである。
筆者は東欧の地理にあまり詳しくないのだが、ウクライナとルーマニアは実は隣国どうしで、メゼとリナーロは互いの拠点を車で往来できる距離にある “ご近所” なのだとか。約2年前の出会からキックオフしたEMPYREANの開発はその後目覚ましい勢いで進み、いよいよ2018年11月に華々しく日本上陸を迎えた。
■EMPYREAN=神と天使が住むところ=最高天
ヘッドホンの名前であるEMPYREAN=エンピリアンという単語を辞書で調べてみると、「神と天使が住むところ=最高天」という意味があるらしい。筆者は以前メゼ氏にインタビューした時に、この変わったネーミングの意図を訊いてみたことがある。
おそらく「天にも昇るほどに最高級のサウンド」ほどの意味合いが込められているのどだろうと思って問いかけたところ、メゼ氏の真意はそうではなかった。
■いまから2年以上前にもう完成していた
メゼの製品はブランドのファウンダーであるアントニオ・メゼ氏がコンセプトの立案と設計を担当している。メゼ氏はこれまでにも同社で活躍する優秀なエンジニアとともに2015年9月に発表したプレミアムヘッドホン「99Classics」に代表される名機を生み出してきた。
数々の成功を収めてもなお、あぐらをかくことなくその上をゆくモデルを探求してきたメゼ氏は、「いつかはスーパーカーのような究極のヘッドホンをメゼ・オーディオから排出したい」という思いをずっと胸に抱いてきた。その強い意気込みが、ある出来事を契機に実現へと加速した。それが今から約2年前に訪れたウクライナのリナーロ社との出会いだ。
メゼ氏によると、フラグシップモデル「EMPYREAN」の理論的な商品設計はいまから2年以上前にもう完成していたのだという。ところが、メゼ氏が求める理想のサウンドに至るまで “あと一歩” 、何かが欠けていた。「リナーロのパブロ・シマノヴィッチ氏と出会って、EMPYREANの構想を伝えた時に、彼から返ってきた答えが“パーフェクト”な製品を生み出すために欠けていたものだったことがわかった。リナーロとつながったことで、思い描いたフラグシップをモノにする手応えが得られた」のだと、メゼ氏が当時の熱い想いを振り返っている。
メゼ氏はEMPYREANの構想を描いた当初から平面磁界駆動方式のドライバーを搭載する、最高クラスのヘッドホンを作ることにこだわっていた。ところが肝心のドライバーが満足の行くクオリティに至らなかった。暗中模索していたメゼ氏は、ある展示会に出展した時にシマノヴィッチ氏と出会いリナーロの優れた技術を知った。リナーロはウクライナのリヴィウという街に拠点を構え、30年以上に渡ってオーディオ機器向けの磁気回路や振動板を専門に手がけてきたメーカーである。
筆者は東欧の地理にあまり詳しくないのだが、ウクライナとルーマニアは実は隣国どうしで、メゼとリナーロは互いの拠点を車で往来できる距離にある “ご近所” なのだとか。約2年前の出会からキックオフしたEMPYREANの開発はその後目覚ましい勢いで進み、いよいよ2018年11月に華々しく日本上陸を迎えた。
■EMPYREAN=神と天使が住むところ=最高天
ヘッドホンの名前であるEMPYREAN=エンピリアンという単語を辞書で調べてみると、「神と天使が住むところ=最高天」という意味があるらしい。筆者は以前メゼ氏にインタビューした時に、この変わったネーミングの意図を訊いてみたことがある。
おそらく「天にも昇るほどに最高級のサウンド」ほどの意味合いが込められているのどだろうと思って問いかけたところ、メゼ氏の真意はそうではなかった。
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