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公開日 2019/12/19 15:33
振動吸収アブソーバーでカートリッジを柔軟に装着

【AAEx2020 受賞モデル】オンゾウ・ラボの無共振ヘッドシェル「CALLAS」

炭山アキラ、生形三郎

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ONZOWブランドはアナログ関連を中心に、工夫を凝らしたオリジナル製品を開発販売してきた老舗。ロングランで販売を続ける粘着式針クリーナーは、定番アクセサリーとして多くの愛用者を持つ。今般、同ブランドから久々となる新製品、ヘッドシェル「CALLAS」が登場した。同ブランドらしい独創的なアイディアが込められ、他では得難い音の魅力を備えている。その製品の意匠と特徴、魅力が評価され、「オーディオアクセサリー銘機賞2020」のジャンル別アナログ関連アクセサリーを受賞した。ここではその音と、同社定番クリーナーを2人の執筆者でご紹介する。

ONZOWヘッドシェル「CALLAS」(22,500円、税抜)

S/Nが良くみずみずしい音楽を展開、しっとりした潤いを帯びた麗しの境地
(Text by炭山アキラ)

オンゾウ・ラボは、「いかに振動を遮断するか」に心血を注いできたブランドという印象がある。空気バネ・インシュレーターの「ペコ」がその象徴であろう。このたび、その思想を生かしたヘッドシェルが発売になった。本体は導電性樹脂で、カートリッジとビスの間にゼリー状のシートを挟んで締めつける、というものだ。取りつけのコツは、あまりネジをギュウギュウに締めつけず、カートリッジがある程度自由に動くくらいでいいという。

自宅システムで試聴したが、盤へ針先を落とし、出てきた最初の一音に衝撃を受けた。何というS/Nの良さ、そして音の瑞々しさであろうか。音像が曖昧になったり、低域の腰が抜けたりするようなことはほとんどなく、とにかく音楽がしっとりとした潤いを帯びて眼前に展開される。個人的にアナログは剛性一本槍でやってきたが、対照的な世界にこんな麗しの境地があったとは。ぜひとも、多くの人にこの世界を味わって欲しい。あまりネジを締めすぎないのがポイント。少し遊びがあるくらいが音質的にもグレードが高い。

共振動を吸収する特殊ゼリー状素材を採用、低重心で密度と艶のある落ち着いた音
(Text by生形三郎)

CALLASの振動吸収アブソーバー部の断面図

CALLASは、ゼリー状の振動吸収アブソーバーが内蔵された、無共振ヘッドシェルだ。オンゾウ・ラボの前社長が生前に準備していた最後の製品といい、長い準備期間を経て満を持して発売された、同社待望の新製品となる。構造的には、カートリッジとシェルとの間にゼリー状のアブソーバーが取りつけられることによって、不要振動や共振を吸収してトレースを円滑化する狙いを持つ。ヘッドシェル本体には、静電気の影響を抑制する、通電性を持つ高剛性のプラスチックが採用されている。

その音の効果は、大きなものだ。低域側の再現は、余分な量感が抑えられ、より粘りの効いた、なおかつ重心の低い傾向となる。高域側も、試聴に用いたカートリッジ自体の個性もあって、これまではやや華やかに感じられていた音色の再現に、落ち着きがもたらされ、艶を帯びつつ密度が高まるような質感へと変化した。例えば、ヴォーカルやギター、弦楽器などはいずれも、落ち着きを伴って湿り気を帯びた音色を獲得する。総じてCALLASは、低重心で落ち着いた音が楽しめるヘッドシェルだといえる。

「CALLAS」のカートリッジ取りつけ側。リードワイヤーは付属されている(着脱可能)


<Specifications>
【CALLAS】
●本体:導電性を持つ高剛性高分子複合プラスチック(静電気除去)●取りつけベース部:特殊ゼリー状素材「新素材バイブレーショナルアブソーバー」(共振動吸収)●付属:専用リード線4本(極細)、ビスM2.6×18.5mmおよび24.5mm 各2本、ナット4個(アルミ製)●質量:10.5g●取り扱い:ズノウ(株)(オンゾウ・ラボ)

オンゾウ・ラボの定番クリーナーをレポート

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