公開日 2022/07/01 16:00
音の描き分けも秀逸、音源の質を問わない再生力が魅力
響く低音で音楽をまさに“体感”!Unique Melody新IEM「MEXT」の骨伝導サウンドを聴いた
草野晃輔
この数年にかなりの数のイヤホン、ヘッドホンを聴かせてもらったが、その中でもとりわけ印象に残っているモデルがある。それは、Unique MelodyのIEM「MEST MKII」だ。骨伝導と空気振動という、まったく異なる方法で音を伝えるドライバーを巧みに組み合わせ、頭内を駆け巡る唯一無二のサウンドを生み出したMESTシリーズの最新モデルだ。
初めて聴いた時の、音が頭に響く感覚は、数ヵ月経った今でも忘れられない。この、骨伝導と空気振動を組み合わせたIEMに、新モデル「MEXT」(メクスト)が誕生した。今回はこのモデルの魅力を紹介しよう。
MEXTは3ウェイ6ドライバーを搭載するIEMで、今回試聴したユニバーサルモデルとカスタムモデルをラインナップ。いずれもバランスド・アーマチュア(BA)型を高域と中域に2基ずつ、低域にダイナミック型と新開発の「Original Bone Conduction(OBC)骨伝導ドライバー」を1基ずつ備える。
このうち、BA型とダイナミック型は、ドライバーが空気を振動させて、鼓膜を経由して音を伝える。対する骨伝導ドライバーは、ドライバー自体が振動して頭蓋骨を経由、直接聴覚神経に音を伝える仕組みだ。
「骨伝導ドライバーを搭載しているのだから、MEXTはMESTシリーズの一員ではないの?」と思われるかもしれないが、両者は別物。MEXTは新しいラインに位置づけられている。
その理由は、骨伝導ドライバーの役割の違いにある。MESTシリーズが搭載する骨伝導ドライバーは、多層電圧セラミックスという薄いセラミックを積層したものに電力を流し、セラミックの層が湾曲することで振動板である金属板を振動させ、それによって中域や高域を中心としたフルレンジをカバーする。
これに対して、今回紹介するMEXTの「OBC骨伝導ドライバー」は、高磁力ネオジム磁石と高靭性振動鋼板、高純度銅コイルで構成され、これらを低温溶接して作られている。軽量で耐摩耗性に優れ、音の精度と安定性が高く、低域の表現力に優れているという。再生周波数帯域も200Hz - 7kHzと低いのが特徴だ。
OBC骨伝導ドライバーのルーツは、初代「MEST」が発売される前に遡る。当時、Unique Melodyでは新たなサウンドを探求し、様々な種類の骨伝導ドライバーを開発していたそうだ。この時、特性に優れた骨伝導ドライバーの開発に成功。特性に応じて、空気振動ドライバーを組み合わせてIEMに仕立てていった。
こうして最初に生まれたのがMESTで、中高域を中心とした広いレンジをカバーする圧電セラミックス骨伝導ドライバーが採用された。低域の再生力に長けていたOBC骨伝導ドライバーは、個性的なサウンドを求めるモデルへの搭載が決まり、開発が進められた。そして、数年に及ぶ試行錯誤の末に完成したのがMEXTというわけだ。
MEXTのシェルを見ると、丸い金属のようなパーツが収められている。これがOBC骨伝導ドライバーだ。NBC骨伝導ドライバーの独特の形状を逆手に取り、デザインのアクセントとして見せるアイデアが素晴らしい。
しかも、装着した際に耳に近い部分に位置するため、強力に振動を伝えられるメリットもある。シェルの形状は人間工学に基づいて設計されており、耳介にピッタリと収まる。重心の位置まで考えられており、正しく装着すると軽く感じられるから不思議だ。
イヤーチップにはシリコン製のUnique Melodyオリジナルチップと、熱可塑性エラストマー(TPE)素材のAZLA「SednaEarfit XELASTEC」の2種類が用意されている。SednaEarfit XELASTECは、体温で柔らかくなり、耳に合わせて変形するため、フィット感と遮音性に優れている。今回の試聴でも、SednaEarfit XELASTECを使った。
リケーブルは、MEXT専用に新開発された「UM Copper M1 Custom Cable」が付属する。OBCドライバーの瞬発力との相性を考慮し、OFCH(無酸素高伝導)銅導体を採用。素早いレスポンスと自然で滑らかなサウンドを両立しているという。
ケーブル自体が編み込んであるため、柔らかく取り回しに優れ、タッチノイズもほとんど感じられない。プラグとケーブルシースはアルミ製で、堅牢性がありつつクールなデザインに仕上がっている。他に、「UM」ロゴをデザインに取り入れたDignis製オリジナルレザーケース、クリーニングパッドなどが付属する。
初めて聴いた時の、音が頭に響く感覚は、数ヵ月経った今でも忘れられない。この、骨伝導と空気振動を組み合わせたIEMに、新モデル「MEXT」(メクスト)が誕生した。今回はこのモデルの魅力を紹介しよう。
低域の表現力に特化!新規開発の「OBC骨伝導ドライバー」を採用
MEXTは3ウェイ6ドライバーを搭載するIEMで、今回試聴したユニバーサルモデルとカスタムモデルをラインナップ。いずれもバランスド・アーマチュア(BA)型を高域と中域に2基ずつ、低域にダイナミック型と新開発の「Original Bone Conduction(OBC)骨伝導ドライバー」を1基ずつ備える。
このうち、BA型とダイナミック型は、ドライバーが空気を振動させて、鼓膜を経由して音を伝える。対する骨伝導ドライバーは、ドライバー自体が振動して頭蓋骨を経由、直接聴覚神経に音を伝える仕組みだ。
「骨伝導ドライバーを搭載しているのだから、MEXTはMESTシリーズの一員ではないの?」と思われるかもしれないが、両者は別物。MEXTは新しいラインに位置づけられている。
その理由は、骨伝導ドライバーの役割の違いにある。MESTシリーズが搭載する骨伝導ドライバーは、多層電圧セラミックスという薄いセラミックを積層したものに電力を流し、セラミックの層が湾曲することで振動板である金属板を振動させ、それによって中域や高域を中心としたフルレンジをカバーする。
これに対して、今回紹介するMEXTの「OBC骨伝導ドライバー」は、高磁力ネオジム磁石と高靭性振動鋼板、高純度銅コイルで構成され、これらを低温溶接して作られている。軽量で耐摩耗性に優れ、音の精度と安定性が高く、低域の表現力に優れているという。再生周波数帯域も200Hz - 7kHzと低いのが特徴だ。
OBC骨伝導ドライバーのルーツは、初代「MEST」が発売される前に遡る。当時、Unique Melodyでは新たなサウンドを探求し、様々な種類の骨伝導ドライバーを開発していたそうだ。この時、特性に優れた骨伝導ドライバーの開発に成功。特性に応じて、空気振動ドライバーを組み合わせてIEMに仕立てていった。
こうして最初に生まれたのがMESTで、中高域を中心とした広いレンジをカバーする圧電セラミックス骨伝導ドライバーが採用された。低域の再生力に長けていたOBC骨伝導ドライバーは、個性的なサウンドを求めるモデルへの搭載が決まり、開発が進められた。そして、数年に及ぶ試行錯誤の末に完成したのがMEXTというわけだ。
OBC骨伝導ドライバーがデザインのアクセントにも
MEXTのシェルを見ると、丸い金属のようなパーツが収められている。これがOBC骨伝導ドライバーだ。NBC骨伝導ドライバーの独特の形状を逆手に取り、デザインのアクセントとして見せるアイデアが素晴らしい。
しかも、装着した際に耳に近い部分に位置するため、強力に振動を伝えられるメリットもある。シェルの形状は人間工学に基づいて設計されており、耳介にピッタリと収まる。重心の位置まで考えられており、正しく装着すると軽く感じられるから不思議だ。
イヤーチップにはシリコン製のUnique Melodyオリジナルチップと、熱可塑性エラストマー(TPE)素材のAZLA「SednaEarfit XELASTEC」の2種類が用意されている。SednaEarfit XELASTECは、体温で柔らかくなり、耳に合わせて変形するため、フィット感と遮音性に優れている。今回の試聴でも、SednaEarfit XELASTECを使った。
リケーブルは、MEXT専用に新開発された「UM Copper M1 Custom Cable」が付属する。OBCドライバーの瞬発力との相性を考慮し、OFCH(無酸素高伝導)銅導体を採用。素早いレスポンスと自然で滑らかなサウンドを両立しているという。
ケーブル自体が編み込んであるため、柔らかく取り回しに優れ、タッチノイズもほとんど感じられない。プラグとケーブルシースはアルミ製で、堅牢性がありつつクールなデザインに仕上がっている。他に、「UM」ロゴをデザインに取り入れたDignis製オリジナルレザーケース、クリーニングパッドなどが付属する。
骨伝導の強力な低域再現で、まさに音楽を“体感”できる唯一無二のサウンド!
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