公開日 2022/09/30 06:35
開発担当の“ジョンがる隊長”土岐氏にもインタビュー
話題沸騰、光城精工の“挿すだけ”仮想アース「Crystal Ep」。音質/画質のクオリティアップを徹底チェック
炭山アキラ/秋山 真
昨今オーディオ界隈で大注目のアクセサリー、「仮想アース」。機器のアース端子に接続するという手軽な方法で大きな音質効果を得られることから、ここ数年一大ジャンルとして盛り上がってきている。そんな中で台風の目となりつつあるのが、青森県のオーディオブランド、光城精工(KOJO TECHNOLOGY)のスティック型仮想アース「Crystal Ep」である。
すでに香港市場で先行発売され、3000本を超える実売を達成しているという「Crystal Ep」は、4種類の端子形状を持ち、オーディオはもとより、ビジュアル・ヘッドホン・カーオーディオとさまざまな可能性を秘めた話題のアクセサリー。そのオーディオ環境における改善効果を炭山アキラ氏に、そしてオーディオ・ビジュアル環境におけるポイントを、開発担当の土岐泰義氏のインタビューを交えながら秋山 真氏にレポートいただこう。
古手のオーディオマニアにとって光城精工というと既に信頼のブランドとして確立しているが、改めてこの社について少し詳しく解説するとしようか。
光城精工は青森に本拠を置くメーカーで、社のモットーは「世界中の電源をきれいに」。オーディオ界にとって電源環境の良し悪しはどんな高級アンプやスピーカーを購入するよりも大きく音質を左右しがちなものだが、実はこの問題、オーディオ業界よりも医療の分野で切実という。具体的には、電源に混入する高周波ノイズで医療機器が誤作動したり、誤ったデータが出てしまったりして、人命に直結する可能性が拭えないからだ。
昨今は生活にPCやIoTなどといったデジタル製品が増え、それはほぼ自動的に高周波ノイズの発生源となる。また、照明が続々LED化されているのも大問題で、あれに内蔵される小型・高効率のスイッチング電源がまた電源ラインを大きく汚すのだ。医療機関も私たち末端のオーディオマニアも、近年否応なしに進む電源環境の悪化が大きな脅威となっていることに疑問の余地はない。
光城精工はそんな医療とオーディオの両分野にわたって、岩から湧き出したばかりの清水のような電源を供給し、それを清浄なまま送り届けるべく、日夜研鑽を重ねる社である。電源を正常化するためにはArayシリーズをはじめとするクリーン電源装置、清浄さを保って送り届けるために電源ボックスのCrystalシリーズと高品位の電源ケーブルと、数多くの商品群がラインナップされている。
また、いわゆるBtoBやOEMで数多くの社を足元から下支えしている。高い技術と生産能力を持つ社であり、また国内で一貫生産しているところも注目したい。
そんな光城精工は、クリーン電源装置とともにオーディオ用「仮想アース」の開発へも長く取り組んでいる。ことオーディオに関しては、電源環境だけでなくアースの劣化という問題から避けて通ることはできない。アースというのは適切に取ると再生音のS/Nを高め、音の品位が大きく向上するものなのだが、落とした先のアースそのものが濁った沼のようになっていれば、そこからノイズが逆流してしまうのである。
最近のオーディオ電源は3本プラグが当たり前になってきて、3番ピンはアースへつながっているのだが、例えば大規模マンションや雑居ビルなどでは電源に膨大な前述のノイズ源がぶら下がっており、つなぐとむしろ音質が劣化することが極めて多い。
3ピンの電源プラグとコンセント自体は一般的な2ピンより接続並びに接触が安定するから、まだ導入されていないご家庭には大いに薦めるものだが、アースを接続するかどうかは一考を要すると個人的には考えている。
そうやってアース環境が悪化の一途をたどる昨今、いろいろな社からさまざまな考え方のもとに開発/発売されているのが、いわゆる仮想アース装置である。オーディオ機器のアース端子、それがなければシャーシのビスなどにアースケーブルを通じて接続することで、機器のアース電位を整え音質を劇的に向上させるグッズといってよいだろう。
光城精工のアース製品は「遠くのアースより近くのアース」が合言葉となっている。長い線を引いて地面へ突き刺した金属棒から取るアースはある意味で理想的なのだが、引いた線に放送電波などの高周波が乗る可能性が捨て切れないし、何かと不安定なものでもある。それよりも有効な “近くのアース” というべき仮想アース装置へ頼った方が、結果的に音が良くなることがある、という意味であろうと推測するものだ。
これまで仮想アース装置というと、光城精工のロングセラー品「Crystal E」など同ジャンル製品の中では小さい方だが、それでも手のひらサイズくらいはあったものである。それが、このたび同社から登場したCrystal Epは、何と単三型乾電池より少し大きいくらいのサイズしかない。
ならば効果も縮小してしまうかといえば、決してそんなことはない。同社のオーディオブログを執筆されている “ジョンがる隊長” こと土岐泰義氏によると、非常に使いやすいサイズの中でCrystal Eに負けない仮想アース効果を得るべく、開発という名の苦闘が始まったそうだ。
同社の仮想アース装置は、イオン化傾向の違う異種金属をいかに大きな面積で重ねることができるかが効果のポイントだったが、Crystal Epはアルミの薄箔が箔巻きコンデンサーと同じ構造で仕込まれている。この小ぶりな筒の中で大ぶりな装置と遜色ない効果を得るため試行錯誤した結果、アルミ箔の表面はエッチング加工を行うことで表面に微細な凹凸をつけて表面積を激増させている。アルミ箔自体は10cm×10cm程度の大きさであるにもかかわらず、実効的な表面積は110cm×100cm程度まで拡大されているという。
筒の先端には、さまざまな端子へ直接つなぐことのできるプラグがダイレクトに装着されている。RCAとステレオミニに加え、Crystal Epには何とバナナプラグとYラグのバージョンも存在する。スピーカー端子のマイナス側へ接続して使用することもできるのだ。
前述の通り、普通の仮想アース装置なら単芯のアース線を通じて機器へ接続するが、Crystal Epは機器のジャックへ直接つなぐことができる。これはアースケーブルによる音の違いを反映させられないという負の側面もあるが、同ケーブルが追加されることによる変数の増加がなく、仮想アース装置そのものの性能がダイレクトに出るという風にもいえる。これまでなかった方式の装置である。
試聴は自宅で行った。リファレンス・システムのいろいろな機器へCrystal Epを接続し、音を聴き比べる。最初にRCAタイプの口金を持つ製品をディスクプレーヤーのデジタルアウトへ突っ込んで音を聴いた。念のため、この製品は機器のアース側としか接触しないから、動作に影響が出ることはない。
クラシックは一聴して音場の空気をきれいにしたような、窓ガラスを拭き上げたような音の清澄さが印象的で、音楽そのものにも魂が吹き込まれたような生き生きと躍動的な表現になるのが素晴らしい。仮想アース装置に対して眉に唾をつけていらっしゃる人が少なからずおいでかもしれないが、この効果は一度実験されると目を見開かれることを保証する。
ジャズはドラムスのスピード感が向上し、ベースやピアノともども眼前で演奏しているような生々しさが味わえる。ベールが何枚も剥がれたようなという言い回しがあるが、まさにそんな感じだ。アース電位の乱れが再生音へいかに悪影響を与えているか、痛いほど実感できることであろう。
ポップスは伴奏からはっきり音離れの向上が感じ取られ、ボーカルも勢いを増して朗々と歌う。思えば、これは音源へ収められた本来の音へ近づいた結果なのだ。アースの害は予想外に大きい。
続いてプリアンプへ接続してみる。S/Nが向上して音楽の実体感が増し、生き生き表現されるようになるところなど、大きな傾向は変わらないのだが、こちらへ接続した方がやや音にいい意味で甘さが加わり、幾分柔らかで太い方向性となる。ただ、これはわが家の装置でこうだったということで、システムとリスニングルームの数だけアースの迷走具合は違っているから、ここは参考程度に捉えていただけると幸いだ。
ここでスピーカー用の製品を試してみようと思う。バナナプラグとYラグの2種類がそろっているから、お手元のスピーカーで空いている方の端子(マイナス側)をお使いになるとよい。
なお、タンノイの製品を代表として、スピーカーにアース端子が設けられたものがあるが、あれはスピーカユニットの金属フレームへつないであるものであり、仮想アース装置をつないでももちろん効果はあるが、この方式とは動作原理が違うので注意したい。
音が出た瞬間、広大な音場が温かな光で包まれたような芳醇さを感じさせる。演奏はどっしりとした安定感を加え、低弦の豊かな鳴りっぷりが音楽全体を支えるイメージもある。こう大きく音質が変わるものとは想像していなかっただけに、驚きも大きかった。安心して皆さんへお薦めしてよい製品と判断した次第だ。
ここからは後日の話となる。光城精工のコーポレート・アイデンティティというべきものに「連結」がある。電源ボックスは列車のように続々つないでいけるし、中間にフィルター機能のある個体を挟むことも可能だ。また、Crystal Eは、短いアースケーブルを介して連結させられるのだが、そうしてやると1台で使用した時よりも2倍どころではない効果アップを図ることができる。
Crystal Epも先端と後端をネジで外し、中心に封入された仮想アース部分を連結させることができる。こちらの効果のほどはもう明らかだ。音場がさらに広がり、音楽に付帯していたザラつきが一段と低減、サラサラと肌触りの良い絹のような質感に変貌してしまった。やはりこの差は2倍では済まないように感じられる。
ここでさらに実験を追加する。ディスクプレーヤーに連結した2本分をまとめて挿すのと、プレーヤーとプリアンプに1本ずつ挿すのとどちらがいいか、というものだ。早速やってみると、全体的なS/Nの高さやサラサラとした美麗な質感ではプレーヤー2本挿し、音の厚みや艶やかさでは1本ずつという軍配と相成った。これは好みが分かれるだろうが、簡単に行える実験だから、ぜひとも2本ご購入の際にはご自分の装置で試されたい。
なお、2本連結すると端子部分とお尻のキャップが余ってしまうことになるが、この両者使ってアースケーブルの先端へ装着されている小ぶりのYラグへ留め合わせ、アースをそれぞれのジャックへ接続させる端子とすることができる。これは実に便利なもので、単体発売をお願いしたいくらいのものだ。
さらにアナログ再生も追試してみることとした。ここまではディスクプレーヤーとプリアンプのデジタル端子へ1本ずつ挿してきたが、アナログ系は左右で効果に差が出る恐れがあるので、ちょっと贅沢だがフォノイコの空き端子へL/R1本ずつ挿して音を比べた。
音の違いはもう音が出た瞬間から明らかだ。面白いことにいわゆるスクラッチノイズが小さく聴こえる。ノイズの絶対的な音圧に変わりがあるはずがないので、耳に障りにくくなったということであろう。楽音も雑味が減じ、強音の一閃も細かな質感もしっかりと描きつつ、耳当たりが良く聴き疲れしなくなったのが素晴らしい。まぁ絶対よく効くだろうと思ってはいたが、それにしてもこの効果は大きい。
いやはや、それにしてもこの製品はいろいろなところにどんどん試したくなってしまう。価格も手頃なものだし、1本ずつ買い増していってご自分の装置がどう表現を変えていくか、実験なさっていくと実に楽しいことであろう。いろいろ使えるという意味からも、コストパフォーマンスは超絶的に高い。
すでに香港市場で先行発売され、3000本を超える実売を達成しているという「Crystal Ep」は、4種類の端子形状を持ち、オーディオはもとより、ビジュアル・ヘッドホン・カーオーディオとさまざまな可能性を秘めた話題のアクセサリー。そのオーディオ環境における改善効果を炭山アキラ氏に、そしてオーディオ・ビジュアル環境におけるポイントを、開発担当の土岐泰義氏のインタビューを交えながら秋山 真氏にレポートいただこう。
電源環境の改善に長らく取り組んできた青森の会社・光城精工(炭山)
古手のオーディオマニアにとって光城精工というと既に信頼のブランドとして確立しているが、改めてこの社について少し詳しく解説するとしようか。
光城精工は青森に本拠を置くメーカーで、社のモットーは「世界中の電源をきれいに」。オーディオ界にとって電源環境の良し悪しはどんな高級アンプやスピーカーを購入するよりも大きく音質を左右しがちなものだが、実はこの問題、オーディオ業界よりも医療の分野で切実という。具体的には、電源に混入する高周波ノイズで医療機器が誤作動したり、誤ったデータが出てしまったりして、人命に直結する可能性が拭えないからだ。
昨今は生活にPCやIoTなどといったデジタル製品が増え、それはほぼ自動的に高周波ノイズの発生源となる。また、照明が続々LED化されているのも大問題で、あれに内蔵される小型・高効率のスイッチング電源がまた電源ラインを大きく汚すのだ。医療機関も私たち末端のオーディオマニアも、近年否応なしに進む電源環境の悪化が大きな脅威となっていることに疑問の余地はない。
光城精工はそんな医療とオーディオの両分野にわたって、岩から湧き出したばかりの清水のような電源を供給し、それを清浄なまま送り届けるべく、日夜研鑽を重ねる社である。電源を正常化するためにはArayシリーズをはじめとするクリーン電源装置、清浄さを保って送り届けるために電源ボックスのCrystalシリーズと高品位の電源ケーブルと、数多くの商品群がラインナップされている。
また、いわゆるBtoBやOEMで数多くの社を足元から下支えしている。高い技術と生産能力を持つ社であり、また国内で一貫生産しているところも注目したい。
「遠くのアースより近くのアース」。機器に近い位置でのアース接続を推奨
そんな光城精工は、クリーン電源装置とともにオーディオ用「仮想アース」の開発へも長く取り組んでいる。ことオーディオに関しては、電源環境だけでなくアースの劣化という問題から避けて通ることはできない。アースというのは適切に取ると再生音のS/Nを高め、音の品位が大きく向上するものなのだが、落とした先のアースそのものが濁った沼のようになっていれば、そこからノイズが逆流してしまうのである。
最近のオーディオ電源は3本プラグが当たり前になってきて、3番ピンはアースへつながっているのだが、例えば大規模マンションや雑居ビルなどでは電源に膨大な前述のノイズ源がぶら下がっており、つなぐとむしろ音質が劣化することが極めて多い。
3ピンの電源プラグとコンセント自体は一般的な2ピンより接続並びに接触が安定するから、まだ導入されていないご家庭には大いに薦めるものだが、アースを接続するかどうかは一考を要すると個人的には考えている。
そうやってアース環境が悪化の一途をたどる昨今、いろいろな社からさまざまな考え方のもとに開発/発売されているのが、いわゆる仮想アース装置である。オーディオ機器のアース端子、それがなければシャーシのビスなどにアースケーブルを通じて接続することで、機器のアース電位を整え音質を劇的に向上させるグッズといってよいだろう。
光城精工のアース製品は「遠くのアースより近くのアース」が合言葉となっている。長い線を引いて地面へ突き刺した金属棒から取るアースはある意味で理想的なのだが、引いた線に放送電波などの高周波が乗る可能性が捨て切れないし、何かと不安定なものでもある。それよりも有効な “近くのアース” というべき仮想アース装置へ頼った方が、結果的に音が良くなることがある、という意味であろうと推測するものだ。
これまで仮想アース装置というと、光城精工のロングセラー品「Crystal E」など同ジャンル製品の中では小さい方だが、それでも手のひらサイズくらいはあったものである。それが、このたび同社から登場したCrystal Epは、何と単三型乾電池より少し大きいくらいのサイズしかない。
ならば効果も縮小してしまうかといえば、決してそんなことはない。同社のオーディオブログを執筆されている “ジョンがる隊長” こと土岐泰義氏によると、非常に使いやすいサイズの中でCrystal Eに負けない仮想アース効果を得るべく、開発という名の苦闘が始まったそうだ。
同社の仮想アース装置は、イオン化傾向の違う異種金属をいかに大きな面積で重ねることができるかが効果のポイントだったが、Crystal Epはアルミの薄箔が箔巻きコンデンサーと同じ構造で仕込まれている。この小ぶりな筒の中で大ぶりな装置と遜色ない効果を得るため試行錯誤した結果、アルミ箔の表面はエッチング加工を行うことで表面に微細な凹凸をつけて表面積を激増させている。アルミ箔自体は10cm×10cm程度の大きさであるにもかかわらず、実効的な表面積は110cm×100cm程度まで拡大されているという。
筒の先端には、さまざまな端子へ直接つなぐことのできるプラグがダイレクトに装着されている。RCAとステレオミニに加え、Crystal Epには何とバナナプラグとYラグのバージョンも存在する。スピーカー端子のマイナス側へ接続して使用することもできるのだ。
前述の通り、普通の仮想アース装置なら単芯のアース線を通じて機器へ接続するが、Crystal Epは機器のジャックへ直接つなぐことができる。これはアースケーブルによる音の違いを反映させられないという負の側面もあるが、同ケーブルが追加されることによる変数の増加がなく、仮想アース装置そのものの性能がダイレクトに出るという風にもいえる。これまでなかった方式の装置である。
ディスクプレーヤーの空き端子で効果を確認!生き生きと躍動的な表現に変化する
試聴は自宅で行った。リファレンス・システムのいろいろな機器へCrystal Epを接続し、音を聴き比べる。最初にRCAタイプの口金を持つ製品をディスクプレーヤーのデジタルアウトへ突っ込んで音を聴いた。念のため、この製品は機器のアース側としか接触しないから、動作に影響が出ることはない。
クラシックは一聴して音場の空気をきれいにしたような、窓ガラスを拭き上げたような音の清澄さが印象的で、音楽そのものにも魂が吹き込まれたような生き生きと躍動的な表現になるのが素晴らしい。仮想アース装置に対して眉に唾をつけていらっしゃる人が少なからずおいでかもしれないが、この効果は一度実験されると目を見開かれることを保証する。
ジャズはドラムスのスピード感が向上し、ベースやピアノともども眼前で演奏しているような生々しさが味わえる。ベールが何枚も剥がれたようなという言い回しがあるが、まさにそんな感じだ。アース電位の乱れが再生音へいかに悪影響を与えているか、痛いほど実感できることであろう。
ポップスは伴奏からはっきり音離れの向上が感じ取られ、ボーカルも勢いを増して朗々と歌う。思えば、これは音源へ収められた本来の音へ近づいた結果なのだ。アースの害は予想外に大きい。
続いてプリアンプへ接続してみる。S/Nが向上して音楽の実体感が増し、生き生き表現されるようになるところなど、大きな傾向は変わらないのだが、こちらへ接続した方がやや音にいい意味で甘さが加わり、幾分柔らかで太い方向性となる。ただ、これはわが家の装置でこうだったということで、システムとリスニングルームの数だけアースの迷走具合は違っているから、ここは参考程度に捉えていただけると幸いだ。
スピーカーのマイナス端子では、低域の豊かな鳴りが音楽全体を支える
ここでスピーカー用の製品を試してみようと思う。バナナプラグとYラグの2種類がそろっているから、お手元のスピーカーで空いている方の端子(マイナス側)をお使いになるとよい。
なお、タンノイの製品を代表として、スピーカーにアース端子が設けられたものがあるが、あれはスピーカユニットの金属フレームへつないであるものであり、仮想アース装置をつないでももちろん効果はあるが、この方式とは動作原理が違うので注意したい。
音が出た瞬間、広大な音場が温かな光で包まれたような芳醇さを感じさせる。演奏はどっしりとした安定感を加え、低弦の豊かな鳴りっぷりが音楽全体を支えるイメージもある。こう大きく音質が変わるものとは想像していなかっただけに、驚きも大きかった。安心して皆さんへお薦めしてよい製品と判断した次第だ。
「連結」すると効果2倍!アナログ再生での効果も実践
ここからは後日の話となる。光城精工のコーポレート・アイデンティティというべきものに「連結」がある。電源ボックスは列車のように続々つないでいけるし、中間にフィルター機能のある個体を挟むことも可能だ。また、Crystal Eは、短いアースケーブルを介して連結させられるのだが、そうしてやると1台で使用した時よりも2倍どころではない効果アップを図ることができる。
Crystal Epも先端と後端をネジで外し、中心に封入された仮想アース部分を連結させることができる。こちらの効果のほどはもう明らかだ。音場がさらに広がり、音楽に付帯していたザラつきが一段と低減、サラサラと肌触りの良い絹のような質感に変貌してしまった。やはりこの差は2倍では済まないように感じられる。
ここでさらに実験を追加する。ディスクプレーヤーに連結した2本分をまとめて挿すのと、プレーヤーとプリアンプに1本ずつ挿すのとどちらがいいか、というものだ。早速やってみると、全体的なS/Nの高さやサラサラとした美麗な質感ではプレーヤー2本挿し、音の厚みや艶やかさでは1本ずつという軍配と相成った。これは好みが分かれるだろうが、簡単に行える実験だから、ぜひとも2本ご購入の際にはご自分の装置で試されたい。
なお、2本連結すると端子部分とお尻のキャップが余ってしまうことになるが、この両者使ってアースケーブルの先端へ装着されている小ぶりのYラグへ留め合わせ、アースをそれぞれのジャックへ接続させる端子とすることができる。これは実に便利なもので、単体発売をお願いしたいくらいのものだ。
さらにアナログ再生も追試してみることとした。ここまではディスクプレーヤーとプリアンプのデジタル端子へ1本ずつ挿してきたが、アナログ系は左右で効果に差が出る恐れがあるので、ちょっと贅沢だがフォノイコの空き端子へL/R1本ずつ挿して音を比べた。
音の違いはもう音が出た瞬間から明らかだ。面白いことにいわゆるスクラッチノイズが小さく聴こえる。ノイズの絶対的な音圧に変わりがあるはずがないので、耳に障りにくくなったということであろう。楽音も雑味が減じ、強音の一閃も細かな質感もしっかりと描きつつ、耳当たりが良く聴き疲れしなくなったのが素晴らしい。まぁ絶対よく効くだろうと思ってはいたが、それにしてもこの効果は大きい。
いやはや、それにしてもこの製品はいろいろなところにどんどん試したくなってしまう。価格も手頃なものだし、1本ずつ買い増していってご自分の装置がどう表現を変えていくか、実験なさっていくと実に楽しいことであろう。いろいろ使えるという意味からも、コストパフォーマンスは超絶的に高い。
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