公開日 2023/08/04 06:30
マルチ機と異なる独自の価値を放つ一台
MADOO第三弾イヤホン「Typ821」は“原点にして頂点”!マイクロプラナーシングル構成で磨き抜かれた描写力を聴く
高橋敦
MADOOからマイクロプラナードライバー1基によるシングルフルレンジ構成を採用したイヤホン「Typ821」が登場した。
マイクロプラナー=超小型平面駆動ドライバーの採用は、同ブランドではおなじみだが、シングルドライバー構成は初めて。そこで改めて、MADOOというブランドの位置付けから確認しておこう。
MADOOはAcoustuneのサブブランド。Acoustuneがダイナミック型ドライバー1基のシングル構成を貫くのに対して、MADOOは他の方式も含むマルチドライバー構成の可能性を追求する形でスタートした。
マイクロプラナー+BA構成の第1弾モデル「Typ711」、マイクロプラナー+ダイナミック構成の第2弾モデル「Typ512」はまさにそれ。マイクロプラナーが目立つが、実際にはマルチドライバーであることにもブランドの意図、意義があったわけだ。
だが第3弾となるTyp821では、上述の通りシングルドライバー構成を採用。マルチドライバーではないが、そこにもブランドの意義がある。新開発の「“Ortho” マイクロプラナードライバー」の単体でのポテンシャルを限界まで引き出し、今後の製品開発のベンチマークとする。その役割も背負って開発されたのがこのモデルなのだ。
ということはこのTyp821、MADOOのマイクロプラナーシングル構成として当面「原点にして頂点」的なモデルであり続けると期待できるわけだ。では、果たしてその実力は?実際に詳しくチェックしていこう。
鍵となるのは当然「“Ortho” マイクロプラナードライバー」だ。コイルがプリントされた極薄振動板の表裏に5個ずつの磁石を配置、両側からの押し引きで駆動するプッシュプルドライブ方式を採用。煌びやかで繊細な高域や力強い低域を表現できるのがこの方式の特長だ。
しかし、小さく強力な磁石を多数、磁力に抗いながら精密に組み込む難しさから、イヤホンサイズのドライバーは実現困難と考えられる。その困難を乗り越えて完成されたのが、Orthoドライバーとなる。
そのドライバーの固定、そして耳への音導経路の役割は、「MIAA(MADOO In-ear Acoustic Architecture)」に基づくアコースティックボックスが担う。
ビニールチューブによる音導管の弱点は、素材の軟質さや管の潰れによる音の損失。それを回避するためMIAAでは、レジン素材の3Dプリントで理想的な音響回路構造を構築する。
さらにはレジンの厳選、硬化プロセスの管理により、5μm=0.005mmという製造精度も達成。すべてのユーザーに設計通りの音を個体差なく提供する。それもMADOOのこだわりだ。
それらを収めるハウジングは、Typ711のステンレス、Typ512のアルミに対して、今回はチタンからの削り出しを採用した。音響特性などに優れることに加え、本機はブランドで最も高価なモデルであるので、それに相応しいプレミアム感の意味からも納得できる選定だ。
なお、ハウジング形状は引き続き、日本を含むアジア地域で採取した300人の耳型データに基づいて最適化されたもの。耳全体を広く塞ぐようにフィットして、ステム形状の効果と合わせてか、遮音性も高い。
マイクロプラナー=超小型平面駆動ドライバーの採用は、同ブランドではおなじみだが、シングルドライバー構成は初めて。そこで改めて、MADOOというブランドの位置付けから確認しておこう。
MADOOはAcoustuneのサブブランド。Acoustuneがダイナミック型ドライバー1基のシングル構成を貫くのに対して、MADOOは他の方式も含むマルチドライバー構成の可能性を追求する形でスタートした。
マイクロプラナー+BA構成の第1弾モデル「Typ711」、マイクロプラナー+ダイナミック構成の第2弾モデル「Typ512」はまさにそれ。マイクロプラナーが目立つが、実際にはマルチドライバーであることにもブランドの意図、意義があったわけだ。
だが第3弾となるTyp821では、上述の通りシングルドライバー構成を採用。マルチドライバーではないが、そこにもブランドの意義がある。新開発の「“Ortho” マイクロプラナードライバー」の単体でのポテンシャルを限界まで引き出し、今後の製品開発のベンチマークとする。その役割も背負って開発されたのがこのモデルなのだ。
ということはこのTyp821、MADOOのマイクロプラナーシングル構成として当面「原点にして頂点」的なモデルであり続けると期待できるわけだ。では、果たしてその実力は?実際に詳しくチェックしていこう。
プッシュプル方式の “Ortho” マイクロプラナードライバーが鍵
鍵となるのは当然「“Ortho” マイクロプラナードライバー」だ。コイルがプリントされた極薄振動板の表裏に5個ずつの磁石を配置、両側からの押し引きで駆動するプッシュプルドライブ方式を採用。煌びやかで繊細な高域や力強い低域を表現できるのがこの方式の特長だ。
しかし、小さく強力な磁石を多数、磁力に抗いながら精密に組み込む難しさから、イヤホンサイズのドライバーは実現困難と考えられる。その困難を乗り越えて完成されたのが、Orthoドライバーとなる。
そのドライバーの固定、そして耳への音導経路の役割は、「MIAA(MADOO In-ear Acoustic Architecture)」に基づくアコースティックボックスが担う。
ビニールチューブによる音導管の弱点は、素材の軟質さや管の潰れによる音の損失。それを回避するためMIAAでは、レジン素材の3Dプリントで理想的な音響回路構造を構築する。
さらにはレジンの厳選、硬化プロセスの管理により、5μm=0.005mmという製造精度も達成。すべてのユーザーに設計通りの音を個体差なく提供する。それもMADOOのこだわりだ。
それらを収めるハウジングは、Typ711のステンレス、Typ512のアルミに対して、今回はチタンからの削り出しを採用した。音響特性などに優れることに加え、本機はブランドで最も高価なモデルであるので、それに相応しいプレミアム感の意味からも納得できる選定だ。
なお、ハウジング形状は引き続き、日本を含むアジア地域で採取した300人の耳型データに基づいて最適化されたもの。耳全体を広く塞ぐようにフィットして、ステム形状の効果と合わせてか、遮音性も高い。