トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > コラム記事一覧

公開日 2023/08/28 08:33
ビクター「HA-FX150T」を例に解説

【集中連載】イヤホン イコライザー基礎知識:第2回「周波数設定の自由度こそパライコの強み」

高橋 敦
スマートフォンアプリから音質を細かくイコライジングできることも特徴であるビクターの完全ワイヤレスイヤホン「HA-FX150T」。ただ、イコライザーとは何者なのか? 理解しているようで実は少しあやふやな人もいるのでは? HA-FX150Tを例にとりながら、イコライザーの基礎知識や使いこなすコツを短期集中連載で解説します。

第1回の基礎知識編に続き、今回はいよいよ実践編へ。「周波数」のイコライジングについてポイントを紹介します。

パラメトリックイコライザーでの周波数イコライジングについて、ビクター「HA-FX150T」とアプリ「Victor Headphones」を例に解説

どの周波数を中心にイコライジングするか



パラメトリックイコライザー、略してパライコの設定項目は、HA-FX150Tではそれぞれ、

●周波数=どの周波数を中心に
●ゲイン=どれほどの増減量
●Q=どれほどの周波数幅

です。今回は「周波数」を説明していきましょう。

「周波数」とは音の「高さ/低さ」のこと。音は空気などを伝わる波のようなもので、人間の耳は大きく遅い波を低い音、細かく速い波を高い音と感じます。ドライヤーや扇風機ってファンの回転が速くなると駆動音が高くなりますよね。そういうことです。

さて、様々な声や楽器が様々な音程を奏でる音楽には、本当に幅広い周波数の音が含まれています。イコライザーの「周波数」は、そのうちのどの周波数を増減させるかの設定です。「高い周波数=高音を強調してシンバルが刻む細かなリズムを際立たせる」などのように使います。

パライコなら本当に調整したい周波数を調整できる



実践的な周波数設定ポイントについては、周波数・ゲイン・Qすべての説明を一通り終えてからの総合編にて説明します。今回は周波数設定の概要やパライコならではの利点を実体験で理解してもらうところまで進めましょう。

というわけで「Victor Headphones」アプリを起動。YOASOBI「アイドル」を例に低域をイコライジングしてみます。

サウンドモード下段「CUSTOM 1〜3」がユーザーが自由に設定できるパライコです

まず「CUSTOM 1」の設定画面を開き、3つある設定ポイントのうち“ポイント(1)”を

●周波数:150Hz
●ゲイン:6.0dB
●Q:0.6

に設定。ゲインを+側の最大値6.0dBにするのは変化をわかりやすくするためです。

周波数150HzのCUSTOM 1設定を用意

その「CUSTOM 1」とイコライジングなしのプリセット「FLAT」を切り替えながら「アイドル」を聴いてみましょう。150HzをグイッとブーストしたCUSTOM 1では、低音楽器であるベースやバスドラムの存在感がグイッと高まるのがわかるはずです。

では続いて「CUSTOM 2」の設定を開き、

●周波数:80Hz
●ゲイン:6.0dB
●Q:0.6

に設定。前述の「CUSTOM 1」での設定と周波数だけを変えた設定です。

周波数80HzのCUSTOM 2設定を用意

CUSTOM 1とCUSTOM 2を切り替えて聴き比べると、低音楽器の存在感が増すことはどちらも同じ。でも150Hzでは低音楽器の「太さ」が強調されるのに対し、80Hzの方では太さよりも「重さ」が強調され、楽曲全体の重心もグッと沈み込むと感じられませんか?

150Hzと80Hzは大まかにはどちらも低域に含まれます。しかし中域寄りの低域である150Hzと超低域寄りの低域である80Hzでは、イコライジング効果に違いが生まれるのです。

ですがグラフィックイコライザーは周波数が固定。低音周りで調整できる周波数が150Hzなどに決め打ちされていたりします。「自分がほしいのは低音の太さじゃなく重みなんだよ!」とわかっているのにそれができないのはもどかしいものです。

例えばSpotifyアプリのグライコは超低域は60Hz、低域は150Hzに固定されています

逆にそれをできる、150Hzでも80Hzでもどんな周波数でも好きに選んで調整できることこそパライコの強みなわけですね。だからこそ、パライコをパライコらしく使いこなすには周波数の設定が大切になります。

次回は「ゲイン」を説明します。

(提供:JVCケンウッド)

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 ソニー、第2世代フラグシップ・ミラーレス一眼「α1 II」。画質、操作性を着実に強化
2 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
3 目黒蓮を“もっとそばに”感じられる特別イベント。「レグザミュージアム〜The 6 STORIES〜」11/21から原宿で開催
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 ビックカメラ.com、「2025年新春福箱」の抽選申し込み開始。全66種類、iPadやPS5も登場
6 覚えておくと絶対便利!iPhoneの「計測」アプリでできる、あんなことこんなこと
7 ビクター「HA-A6T」レビュー!5000円切り完全ワイヤレスイヤホンは「価格を上回るクオリティ」
8 高音質と機能性を両立する新たなスタンダード機!AVIOTのANC完全ワイヤレス「TE-V1R」レビュー
9 Meze Audioが打ち出す待望の入門モデル。開放型ヘッドホン「105 AER」&イヤホン「ALBA」の音質に迫る
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/21 10:37 更新

WEB