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対応製品も続々登場

<CEATEC>新DRM「SeeQVault」で番組録画はこう変わる − NSM担当者インタビュー

公開日 2013/10/03 12:50 山本 敦
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SeeQVaultの技術は、今年の8月にDTCPの管理運用を行う団体である「DTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)」、(社)デジタル放送推進協会(Dpa)から記録メディアとして認可を受けた。これにより、SeeQVault技術を使ってデジタル放送のHDコンテンツに強固な著作権保護を行い、microSDメモリーカードや外付けHDDに書き込めるようになった。SeeQVault対応製品を使えば、例えばmicroSDメモリーカードに録画したテレビ番組を複数のスマホで視聴したり、外付HDDに保存した番組を録画したテレビ以外でも見られるようになり、ユーザーにとっての利便性が格段に高まる。

もちろんSeeQVault対応製品であれば、メーカーが違う製品間であってもコンテンツの再生が行える。SeeQVaultの技術的コンセプトについて蒲田氏は「これまでは各社が、ユーザーを個別に囲い込むかたちでコンテンツ保護技術を発展させてきましたが、今後は業界の中でオープンな技術をつくって展開していくことが必要と考えています。“対応機器なら、いつでもどこでも録画したテレビ番組が見られる”という使いやすさをユーザーに提供したいと考えています」と語る。

「例えばスマートフォンであれば、今では2年に1度程度の期間で買い換えるのが当たり前の時代になりました。買い換え前に使っていた製品本体に録画したHDコンテンツが、買い換えたら見られなくなってしまった、という不便さを解消しなければならないと考えていました。SeeQVault対応メディアを使えば、スマートフォン同士だけでなく、テレビやレコーダーなどでも楽しめます」(山本氏)。

だが一方では、特にスマートフォンやタブレットなどモバイル機器については、ネットワークやクラウドサービスを介してコンテンツを視聴・共有する楽しみ方が一般的になりつつある。そんな時代に、あえて物理的な記録メディアをベースとしたコンテンツ保護技術を開発する必要性はどこにあったのだろうか。

東芝の三村氏は「確かに開発当初は、クラウドの時代に、また新たなメディアを作る必要はないのでは、という反対の声もありました。ただ一方では、クラウドサービスを利用することへの不安や、使い方がよく分からないというユーザーの声も多く、物理メディアでの進化を希望する方も多くいらっしゃいます。SeeQVaultのような新しいメディアがクラウドと共存しながら、良いかたちで発展していくことが大事だと考えます」と語る。

なお、SeeQVaultに関わるセキュリティ技術の詳細については、コンテンツの暗号化方式に業界標準のAESを採用。対応機器と記録メディアの認証には楕円曲線暗号を用いるPKI認証が採用されている。またフラッシュメモリーには、製造時に改ざん困難な機密性の高い固有のEMID(Enhanced Media ID)をチップごとに埋め込むことで、複製防止を含めた高度なセキュリティを確保した。


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