<山本敦のAV進化論 第58回>スマート機能の全貌を紹介
Googleとソニーがともに開発、「Android TV」で“BRAVIA”はどう進化した?
検索対象はGoogle PlayのムービーやYouTube動画のほかに、USB-HDDやHDMI接続された録画機器に保存された録画番組、番組表の掲載番組、チューナーが受信している現在放送中の番組までとターゲットが幅広い。特にテレビ番組は「過去(録画)・現在(ライブ)・未来(番組表)」の時間軸を横断して探せるところが頼もしい。本体にインストールされたGYAO!などのVODアプリについても、該当するコンテンツがあれば探し出して表示する。
「ユーザーが観たいコンテンツを簡単に探せるよう、テレビらしいインターフェースを独自に作り込んでいます。Android TVなら、音声でも番組を素速く探せるという付加価値を提案したいと考えています」(長尾氏)
ボイスサーチのフレームワークはGoogleのAndroid TVが元々備えるものをベースにしながら、ソニーが独自に開発したプラグインを追加するかたちで実装している。だからこの機能はNexus Playerには無いものだし、他社が同じ機能を実現するためには独自の作り込みが必要になってくる。
「Android TVはソニーとグーグルでディスカッションを繰り返しながら、練り上げてきたプラットフォームです。新しい機能の開発はグーグルが行う場合もあれば、ソニーがつくったものを反映してもらう場合もあります。そこは技術の中身によっても異なります。今後はBRAVIAだけの、他社にない付加価値としてクローズな機能を加えることもできるし、反対にインターネットテレビ全体の体験価値を上げるための要素を含むものであれば、オープンにしていくという可能性も考えられます」(伏見氏)
Android TVをスマホやタブレットなどモバイル機器と連携させて便利に使える機能の一つに「Goodle Cast」がある。新しいBRAVIAでも当然使うことができる。
「従来はスクリーンミラーリングに対応してきましたが、設定が面倒だったり、ミラーリングの設定方法がスマホやアプリによってバラバラでわかりにくいものになっていました」。
「さらに、ミラーリングはスマホの画面をテレビに映しているだけなので、いったん使い始めると手元のモバイル端末では何も操作ができなくなってしまいます」。
「Android TVでは同じWi-Fiネットワークにつないでいれば、対応するモバイルアプリをボタン一つでテレビの画面にキャストできるようになるうえ、キャスト中は手元の端末でWebのチェックやSNSを投稿したりフリーに操作ができるところが特徴です。スクリーンミラーリングよりもモバイル端末のバッテリー消費に負担がかかりません。なお、モバイル端末側はiPhoneでも利用ができます」(伏見氏)。
現在はキャスト対応アプリが全世界で2,000件を超えるほどに拡充されている。特にYouTubeなどネット動画をキャストして視聴するなら、ソニー独自の高画質技術「X-Reality」により、いっそう高精細な映像が楽しめるところが魅力だ。
今回開発担当者にBRAVIAのより詳しい特徴を聞き、モバイルで培われたAndroid OSのノウハウも取り込んで、より一層使いやすいテレビに進化している手応えが感じられた。
取材を終えて、長尾氏が強調する「BRAVIAの圧倒的な画質・音質」を快適に楽しむためのプラットフォームが、Android TV採用によって一つの完成形に近づいた、という説明にも素直にうなずくことができる。
また伏見氏が期待を込めて語る「Android TVのオープンな可能性」により、テレビに最適化されたアプリやサービスが今後増えてくれば、従来のテレビよりもさらに楽しみ方が広がってくるイメージも膨らんできた。今後機会があれば、新Android TV搭載BRAVIAをじっくりと使ってみた成果も報告したいと思う。