両社の技術者が最終製品とDACについて語る
「UD-503」はなぜDACに「AK4490」を採用したのか? ティアック × AKM 特別座談会
■UD-503の設計で苦労した部分とは?
ーー UD-503の設計で苦労された部分はありますか?
渡邊:今回のUD-503は、DACも含めて、アナログ回路にかなり力を入れました。筐体は小さいのですが、回路面積がかなり取れたんですね。そのなかで「やりたいようにやらせてもらった」という感じです。音質を考えるとサイズを大きくしたくなるのですが、商品コンセプトとしてこのサイズが決まっているので、そこでいろいろな工夫が必要になってきます。DAC周りも含め、たとえばコンデンサーの置き方でも音はずいぶん変わります。
ーー DAC周りのスペック的な部分についても伺いたいと思います。今回のUD-503/NT-503は、DSDについては11.2MHz、PCMについても384kHz/32ビットまで対応しており、現段階で最高水準のスペックを備えています。ティアックさんとしては、開発当初から最高のスペックに挑戦しようというお考えがあったのでしょうか?
加藤:そうですね。DSDという音源が身近になってきていますので、そのなかで最高レベルの11.2MHzにはやはり対応しようと。世の中にそういう音源があるのなら、それを再生できるようにしたいというのが我々の思いです。そこにAK4490がはまりました。
ーー これはAKMさんに伺いたいのですが、DACの開発としてはいかがだったのでしょう。開発は数年単位で行われるかと思いますが、数年前は2.8MHzのDSDもまだ少なかった頃ですよね。
佐藤:そうですね。確かに開発の開始当初はあまり高いスペックのものがなかったのですが、大学では色々と研究されていました。数年後にどこまでいくのかと我々なりに予測し、11.2MHzまではやろうと決めました。
ーー AK4490にはフィルター機能がついていますが、これはUD-503もNT-503でも使用できますね。
加藤:はい、フィルター機能はそのまま開放しています。どうぞ使ってください、ということです。音色がかなり変わるので、ぜひ楽しんで欲しいと思います。
ーー メーカーさんによっては、フィルターをあえて開放しない例もあります。
加藤:はい。ただティアックのお客様というのは、こういった機能でいろいろと自分好みの音に調整して楽しまれる方も多いので。ユーザー設定項目を多くしたいと、入れさせて頂いております。