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両社の技術者が最終製品とDACについて語る

「UD-503」はなぜDACに「AK4490」を採用したのか? ティアック × AKM 特別座談会

公開日 2015/10/09 09:55 構成/編集部:風間雄介
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DACはあくまで「無色透明」でありたい

ーー 何気ない会話も製品開発に取り入れているということなのですね。DACの音作りについてこだわっているポイントはありますか。

佐藤:あくまで「無色透明」でありたいということです。すべてを余すところなく表現し、かつ偏りがない音が我々の目指すところです。それが「原音再生」であり、VELVET SOUNDに込めたフィロソフィーなんです。

もう一つ、今回の新製品でこだわったのは低音の再現性です。低音再現を回路の作り方でどう実現するか知恵を絞りました。低音には、瞬間的にどれだけ電気を流せるかが非常に効いてくるので、その部分をどれだけアップグレードできるか、ということにこだわりました。この部分は、今後さらに追求していきたいと考えています。

どうやってDACを開発しているのか?

ーー ティアックさんなど、メーカーの意見をAKMの佐藤さんが受け止め、そこからどうやってDACの開発に反映させていくのでしょうか?

佐藤:私がテストサンプルをお持ちし、一緒に聴きながらご意見を伺って、それを設計にフィードバックすることもありますし、設計担当者を一緒に連れてくることもあります。音についてももちろんですし、技術的な話に及ぶこともあります。

AKMの佐藤氏はティアックをはじめ、各社からの要望を集約してDACの音決めを行っていると説明

ーー そのとき、どういうお話をされるか大変興味深いのですが、具体的にはどのような音を聴くのでしょう? テスト信号でしょうか?

加藤:いえ、テスト信号ではなく音楽を聴いちゃいます。音楽を聴きながら「もっとここがこう鳴って欲しいんです」ということをお伝えします。ただし、そのときお持ち頂いているのはあくまでテストサンプルですし、それを鳴らすためのリファレンスアンプで鳴らしているわけですが、そういった中でも最終的な仕上がりはある程度想像できるので、ずばり改善して欲しいと要望することもありますし、時には辛辣な意見をお伝えすることもありますね。

佐藤:そうですね(笑)。本当のハイエンド、トップの製品をこちらにはお持ちするので、当然いただくご要望は多く、求める水準も高くなりますね。もちろん、ティアックさんだけではなく、他社さんからも多くのご意見をいただきます。そのようにして各社さんから頂戴したご意見をもとに、よりよいものを作っていきます。ハイエンドDACで培ったノウハウは下位モデルにも反映できますので、シリーズ全体のクオリティも底上げされるというわけです。

ーー 素朴な疑問なのですが、DACの開発にはどのくらいの時間がかかるものなのでしょう?

佐藤:ノイズを減らそうと色々とやっていたのがAK4490ですね。その前に歪みを減らそうと開発していたのがAK4495Sです。

安仁屋:ですから、3〜4年はかかったかもしれませんね。

旭化成エレクトロニクス(株) オーディオ&ボイス事業開発部 第三グループ グループ長 安仁屋満氏

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