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【特別企画】実録:ネットオーディオガチ鼎談

高級オーディオNAS “fidata”「HFAS1」開発の裏側に迫る!アイ・オー&土方久明が本音でNAS談義

公開日 2015/12/07 11:53 インタビュー:土方 久明
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■土方久明がHFAS1の音を語る。プレーヤーの魅力をダイレクトに活かすNAS

土方: HFAS1から再生される音は、まず圧倒的な情報量を持っています。それにより、例えばクラシックのオーケストラなどでは、各楽器の音数が増えて、何よりも音場の奥行きが深くなる。一音一音に対する追従性も上がり、楽曲に抑揚も出てくる。またボーカルものだと、声がリアルになり、リバーブ成分も増えてきます。音展で数十秒比較してもその差がわかるくらいなので、特に一曲通して演奏を聴くと、その曲に対する感動の度合いさえ変わってきてしまいます。そして、HFAS1のもうひとつの大きな長所として、変な音色がない「癖のない音調」であることが挙げられます。NAS自体の個性が誇張されることがなく、プレーヤーの魅力をダイレクトに活かした再生ができると言えるかもしれません。結果として、CDフォーマットとハイレゾの差もよく出ます。評論家としては、リファレンス的な音質を備えているので、プレーヤーやスピーカーの試聴にすごく使いやすいNASと言って良い。今回も対談の前にLINN「KLIMAX DS/2」、LUMIN「S1」と組み合わせて聴いてみましたが、各プレーヤーの音質や音調の傾向がはっきり出ているなと感じました。

LINN「KLIMAX DS/2」

LUMIN「S1」


今回の鼎談スタートにあたり、上の2機種と組み合わせてfidataを再生した
開口: 嬉しいです。まさに私たちとしては「プレーヤーの力を発揮するためのNAS」であることを狙っています。当たり前ですが、NAS製品を開発・提供する私たちメーカー側が、お客さまの使用プレーヤーを決めることはできないので。お客さまが使っているプレーヤーの種類は様々で、どんなプレーヤーと組み合わせたとしても、各製品の良さを引き出せることが理想だと考えています。

例えば「プレーヤー“○○”と相性が良いNAS」と打ち出したら、○○専用になってしまうじゃないですか。NASはあくまでも上流のソース機器で、プレーヤーに楽曲の情報をあますところなく渡すという役割を極めるべきだと思うんです。なので、正確にいうとHFAS1で音楽を聴いたときの音は「HFAS1の音」ではなく、プレーヤーやスピーカーが本来持っている音だと思います。

土方: 仰る通りですね。プレーヤーの良さを引き出してくれる、いい意味で「縁の下の力持ち」という感じでしょうか。実際、開発時には色々とプレーヤーと組み合わせて試聴されたんですか?

北村: ええ、エントリークラスの製品からハイエンドクラスの製品まで、色々と組み合わせて試してみました。

開口: またHFAS1にはSSDモデルとHDDモデルがありますが、どんなプレーヤーを組み合わせても、各プレーヤーの個性の中でストレージの傾向が出る、という感じでした。

トークを始める前に皆でfidataを試聴したときのようす

土方: そういえば、SSDモデルとHDDモデルが両方用意されていることは、ユーザーとしては本当にありがたいですよ。同じ筐体で2種類の選択肢があって、価格差もそこまで大きくないですし。

開口: 実は、そこは最初に社内でも問われていたんです。「なぜ両方やるのか?」と。「SSDとHDD両方に手を出すより、どちらか1つを選んで良い製品を作れるように注力した方が良いんじゃないか?」と。

土方: それもわかりますよね。オーディオ的な観点ではなく、ただ製品開発という目線で見たらそういう風に考えると思います。それでも、なぜ最終的にSSDモデルとHDDモデルを両方出すことにしたんですか?

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