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軽量・スリム化で装着感も改善

<IFA>ソニー「WH-1000XM3」開発者インタビュー。新しい専用チップ「QN1」で音質・NC性能が大幅向上

公開日 2018/08/31 18:03 山本敦
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ノイズキャンセリング用のマイクを活用して、音楽リスニング中に外の環境音を取り込む「アンビエントサウンドモード」も引き続き搭載されている。モードは「ノーマル」と「ボイス」の2種類からアプリで選択ができる。

右イヤーカップのタッチセンサーコントローラーに触れると、一時的に外の音が取り込める「クイックアテンション」も初代機から好評の機能のひとつだ。

通話時の音声をより明瞭にピックアップできるよう、従来はノイズキャンセリングと兼用していたマイクの仕様を変更。L側ハウジングの下側に通話専用のマイクを新たに搭載した。

WH-1000XM2と同様に、Googleアシスタント連携はヘッドホンにビルトインするかたちで対応。なお、欧州や米国などでは9月から対応を予定しているが、日本国内での対応時期は未定とのこと。


Sony Headphones Connectアプリの「アダプティブコントロール」機能も健在だ
Android/iOS対応のモバイルアプリ「Sony Headphones Connect」との組み合わせでは、スマートフォン側の加速度センサーでユーザーのリスニングシーンを判別して読み込み、行動に応じてノイズキャンセリングの強さと外音取り込みのレベルを自動で最適化する「アダプティブサウンドコントロール」も継承された。各シーンは、止まっている時/歩いている時/乗り物に乗っている時に分類。シーン別のコンディションをユーザーがカスタマイズすることも可能だ。

ヘッドホンにスマホアプリ、あるいはセンサーの技術を統合したWH-1000XM2の挑戦は画期的なものだったが、そのアピールはユーザーにきちんと届いて、実際に利用されているのだろうか。大庭氏によれば、アダプティブサウンドコントロールはやはり都市部のユーザーを中心に利用されているという。

ユーザーから寄せられるフィードバックの中には、例えばセンサーの感度に依存する部分もある機能なので、一駅間が短い電車に乗りながら使うと、自動的に認識されるモードチェンジが頻繁に繰り返されてしまう場合もあり、これを改善して欲しいという声も寄せられているとのこと。大庭氏は今後もユーザーの声に耳を傾けつつ、“お節介にならないセンサーを活かした機能”として完成度を高めていきたいとした。

アプリにはこの他にも、イコライザーやサラウンド効果(VPT)、音楽の聞こえる方向を変えられるサウンドポジションコントロールなどのサウンドエフェクトが継続して搭載されている。

■徹底した装着感の改善、自然にフィットするスリムなシルエットを実現

今回も機構設計部門の開発チームが知恵を絞り、ヘッドホンの装着感改善が徹底して行われた。

1000Xシリーズの装着感を改善して欲しいポイントとして、ユーザーからは「イヤーパッドの耳擦れ」や、身に着けた時に頭が大きく見えてしまう「シルエットのスリム化」を望む声などが寄せられたという。


イヤーカップはドライバーユニットを耳の角度に沿わせて斜めに配置する「イヤーコンシャスデザイン」として、装着性と音場の立体感の双方を高めている
イヤーパッドには1000XM2と同じ低反発ウレタン素材を採用しているが、内部の素材を細かく見直している。耳の周囲にイヤーパッドが触れる面積を増やしたことで、圧力を分散させながら長時間リスニング時の装着性を高めた。同時にパッシブなノイズキャンセリング効果を向上することも狙いだ。

次ページ装着感を改善したほか、10分で約5時間再生可能な急速充電を搭載

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