軽量・スリム化で装着感も改善
<IFA>ソニー「WH-1000XM3」開発者インタビュー。新しい専用チップ「QN1」で音質・NC性能が大幅向上
さらに、ドライバーユニットを耳の角度に沿わせて斜めに配置する「イヤーコンシャスデザイン」によってイヤーカップ内の空間も広くしたことで、装着性だけでなく、音場の立体感を高める効果にもつなげている。
ヘッドバンドはヒンジと頭頂部のバンドの曲率を変えたことで、頭の形によりぴったりと寄り添うよう改善を図った。これによって耳元から頭頂部へ無駄な膨らみがなく自然にフィットするシルエットを実現している。
■2ステップでより手軽に接続設定できる「かんたんペアリング機能」
スマホとのペアリングを容易にする、かんたんペアリング機能も新たに加わったハイライトだ。AndroidとiOSの両プラットフォームに対応している。
かんたんペアリング機能では、スマホにあらかじめ「Sony Headphones Connect」アプリを導入準備後、ヘッドホンの電源を入れるとアプリがヘッドホンのBLEビーコン情報を自動でキャッチする。続いてスマホの画面に表示されるヘッドホンのイメージ画面をタップするだけで、ペアリングが完了する。
大庭氏は「NFCをまだご存知ないという方もいれば、通常のBluetooth設定からのペアリングの煩雑さに納得がいっていない方もまだ多くいらっしゃいます。ソニーとして、ワイヤレスヘッドホン・イヤホンのペアリングを容易にする新たなインターフェースを打ち出したいと考えて、今回の新製品M3から初めての導入に踏み切りました」と背景を語っている。
体験してみると確かに便利な機能なので、今後ソニーのワイヤレスオーディオ機器に広く採用されることを期待したいと思う。
■急速充電もパワーアップ。10分の充電で約5時間の再生が可能に
内蔵バッテリーは約3時間でフル充電になり、本機から充電ケーブルがUSB Type-Cに変わっている。
1.5A以上の充電電流容量を持つチャージャーを使えば、10分の充電で約5時間分の急速充電が可能になった。1000XM2では10分の充電で約70分の再生時間だったので、これは大きな飛躍を遂げた機能だと言えそうだ。最新のスマホに同梱される充電器もだいたい1.5A以上の充電パフォーマンスを備えているので、組み合わせに苦労することはないだろう。
WH-1000XM3はフル充電から約30時間の連続音楽再生に対応するタフなバッテリー性能を実現している。それだけに、油断していたらいざ音楽を聴きたい時にバッテリーが残り少なくなっていた、ということも考えられる。
そんな時にこそ急速充電機能があれば安心だし、今後もアウトドアユースが中心になるプレミアムクラスのヘッドホンには、スタンダードな機能の一つになっていきそうだ。
人気の1000Xシリーズの新しいヘッドホン「WH-1000XM3」は、見た目の変化は穏やかながら、音質やノイズキャンセリングの性能はまた一段と高いレベルに飛躍を遂げていた。新しい機能も長く使い込むほどに味が出てきそうなものばかりだ。日本でいつ頃発売されることになるのだろうか。WH-1000XM2と比べながら実力を試せる日が待ち遠しくなってきた。
(山本 敦)