CDレシーバーやスピーカーも
ケンウッドブランドのDSD&ハイレゾ再生対応コンポ“Kシリーズ”登場
■メインターゲット層は団塊/団塊ジュニア
前出の宮本昌俊氏は、「20年前はステレオの前で音楽を聴くことが中心だったが、最近はより快適に身近にということでスマートフォンとヘッドホンで聴く方も増えている」と、昨今のリスニングスタイルの変化に言及。「しかし、昨年度の音楽ソフト市場は数量で前年比109%、金額でも14年ぶりの前年越えとなった。握手券商法の影響もあるかもしれないが、音楽を聴く方はまだまだ多いということだ」と語る。
また、ハイレゾ配信をとりまく状況について「ビクターやテイチクなどのレコード会社をグループに持っているが、我々のハイレゾ音源で一番売れているのはイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』だ。改めてもう一度ちゃんと音楽を聴きたいという団塊世代の方が増えているのではないか」とコメント。「そういう方にどんな製品を届ければいいのだろうかというところからスタートした」と製品開発の背景を紹介した。
続いて登壇した同社オーディオ事業部 技術統括部長の岩崎初彦氏も、音楽をとりまく社会状況に言及。往年の作品の復刻版や、70年代/80年代楽曲を集めたコンピレーションアルバムなどがパッケージメディアの売上増に貢献したことから、こうした作品の主な購買層である団歌世代、団塊ジュニア世代がパッケージメディアの売上を牽引したと述べる。
そして、オーディオ機器についても「うなぎ登りではないが減少傾向でもない。ヘッドホンは台数だけでなく単価も伸びている。これは、いい音に対する欲求が増しているということだ」と、高音質に対するニーズが高まっていると分析。「スマホで音楽を身近に聴くだけでなく、ハイレゾ音源をいい音で聴くことも掘り起こす時代が来ているのではないか」とし、高音質の音楽に特に興味が高いであろう団塊/団塊ジュニアを今回のメインターゲットに製品開発を行ったと説明した。
また、岩崎氏は「ハイレゾとは分解能、解像度の高い音。つまり、微小な波形を再現できる技術」ともコメント。「微小な波形がメインの波形にのってくることで音の厚みや深み、暖かさにものすごく影響する」とハイレゾの利点を改めて説明。「メインの波形と微小な波形が同時に耳へ届かないと意味がない。しかし(トゥイーターとウーファーそれぞれから出る)音は周波数の違いによってユーザーの耳に届く時間にズレが出る。そこで、音の出るポイントの奥行きを合わせるようにしている」と、スピーカー「LS-K901」での「UD(Uniform Delay)レイアウト」採用による利点も紹介した。
チーフデザイナーとして製品デザインを採用したJVCケンウッドデザインの市山智氏は、これまでの“K Series”とはコンセプトを変更したと説明。「K-L711」など過去のモデルではシステムコンポとして一体型の良さをアピールするハイブリッドデザインとしていたが、「アンプの良さを伝えたり、ハイレゾ搭載の魅力を伝えるため、『本質を極める』『機能をデザインする』ということをコンセプトにした」と語る。
こうしたコンセプトの下、「A-K905NT」ではフロントパネルに厚さ5mmのアルミ板を使って高級感を演出。これまでは一ヶ所に集中させる傾向にあったトーンコントロールなどの操作ボタン類も今回は分散させ、これによってアンプらしさを演出したと語るなどした。
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