「Mr.ブルーレイ」パナソニック小塚氏に直撃
次世代BD「ULTRA HD BLU-RAY」規格の詳細をキーマンに聞く。4K/HDRで“究極高画質”へ
■「4Kだけではビジネスにならない」
さて、AVファンにとって、ULTRA HD BLU-RAYの特徴として気になるポイントは、「4K」(3,840×2,160、日本以外ではUHDと呼ばれる事のほうが一般的)だけでなく、輝度方向の表現を拡張した「HDR」の仕様が盛り込まれ、「4K」「HDR」が画質面での差別化ポイントの二枚看板としてアピールされていることだ。
「次世代BDの規格化を始めて以降、去年の3月くらいに『4Kだけでは、スタジオとしてビジネスにならない』という意見が出るようになりました。特にディズニーさんは、ピクサーのようなCGアニメーションやマーベルのようなアクション映画もあり、その両方でCGを多用するので、2Kのワークフローから4Kに移行するには処理が4倍近くに膨れ上ることが懸念されたのです。とはいえ、2Kからアプコンして4K収録しても限界がある。2Kでも勝負できる技術として『HDR』の検討を始めました」。
「以降、ソニーさんと弊社で、HDRをどうやったら実現できるか真剣に検討しまして、SMPTE(米国映画テレビ技術者協会)で定義されている2つの規格を使えば、BDでHDRを扱え、特許についても安全だという確認が取れました」。
「高画質のポイントとしては4Kの解像度と、HDRという輝度、そしてBT.2020と従来比2倍にもなる色空間、そしてそれらを入れるとデータ量が大きくなるため映像コーデックをHEVCに変え、映像のビット深度も8itから10bitに変更。究極の画質を目指したものとなりました」。