【レビュー】シャープ “フリースタイルAQUOS”を試す − 「AQUOS第二章」の真価とは?
ボタンの数を徹底的に少なくしたというその意義は理解できるし、ほとんどの操作が快適に行えるのだが、文字入力の際にはやや不便だ。本機はテンキーのUIを呼び出す機能も用意されており、文字入力は画面上のバーチャルテンキーで行うのだが、キーの移動もホイールで行うため、動作のもたつき感は否めず、通常のリモコンのテンキー入力に比べ非常に手間と時間がかかる。
このリモコンにあわせたメニュー画面「マイサークル」も意欲的な試みとして評価したい。マイサークルはその名の通り、円状にメニューを配置したインターフェース。リモコンのホイール部分をくるくる回すことで、好みのメニューを直感的に選べる。メニューのカスタマイズができるのも嬉しい。
ただし、リモコンのホイール操作との連携はもう少し詰めが必要な印象だ。ホイールは機械式の回転機構なのだが、細かな動きではメニューが反応しなかったり、逆にホイールを大きく回すとメニューが大きく動きすぎてしまったりといったことが多々あった。
■幕を開けたばかりの「AQUOS第二章」、今後の展開に期待
今回、シャープが「AQUOS第二章」と位置づけるフリースタイルAQUOSを実際に試してみた。薄型・軽量のディスプレイ部を家中どこでも持ち歩けるという本機ならではのメリットに高いポテンシャルを感じた一方、外部映像機器のワイヤレス伝送が行えないなど、残念な点もいくつか見受けられた。
とは言え、AQUOS第二章の幕は開いたばかり。同社は2012年度に、AQUOS全製品のうちフリースタイルAQUOSの構成比を30%以上にすることを目指しており、来年度はラインナップと機能が大幅に拡充することは確実だ。高画質なモデル、3D対応モデル、録画機能を高めたモデルなど、様々なラインナップが増えたら、フリースタイルAQUOSの魅力は大きく高まるだろう。
2001年に始まった「AQUOS第一章」も、10年かけて徐々に進化を繰り返すことで、いまの確固たる地位を築いた。「AQUOS第二章」も今後、長い時間をかけて使い勝手を高めていく可能性が高い。
今後への期待も込めて、あえて仕様や機能の不満点も書き連ねたが、そのような近視眼的な見方ばかりでは、フリースタイルAQUOSの本質を見失うことになる。
壁掛け設置しても良し、家中好きなところに持ち運んでも良し。様々な条件に柔軟に対応できる自由度の高さこそがフリースタイルAQUOSの本質だ。これがどの程度受け入れられるのか、今後の展開や反応を注視したい。