[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第33回】プロ用機だけど一般ユーザーにもオススメ! RME「Babyface」のUSB-DAC機能
■独自プログラミングしたFPGAチップで高精度なUSB処理を実現
RME製品の強みである内部的なところも軽く紹介しておこう。
RMEのオーディオインターフェースの音声処理や伝送制御の心臓部はFPGAというチップだ。FPGAは処理チップの一種だが、それを使うメーカーが各々のプログラミングによってその動作をカスタマイズできることが特長。
つまりRMEは高い技術開発力によってFPGAを独自にプログラミングし、高精度で安定性の高いUSB処理を実現しているのだ。そのことが優れた音質につながっている。
そしてそのFPGAの中で実現されている技術の中でも特に鍵となっているもののひとつが「SteadyClock」だ。USB伝送においてクロックの精度やそれに伴うジッターの大小が音質に影響することはご存知だろう。RMEのSteadyClockは動作が非常に高速でふらつきがないため、その点に優位を持っている。
また他に、接続するPCがMacであるかWindowsであるかによってファームウェアを切り替え、それぞれに最適化されたプログラムによってパフォーマンスを向上させるという仕組みまでもが取り入れられている。
■Macユーザーには嬉しい追加ドライバー不要の「クラス・コンプライアンス・モード」
最後に、本機の使い勝手の面での大きなポイントをひとつ紹介しておこう。
Babyfaceは基本的には、PCに専用のドライバーと設定ツールをインストールして利用する。普通にUSB-DACとしてだけ使う場合には、ここもまたごちゃごちゃして使いにくそうに感じられる部分だ。
しかしBabyfaceは、去年末のファームウェアアップデートで「クラス・コンプライアンス・モード」に対応した。このモードを使うと追加ドライバー等は不要で、Macのシステム標準搭載のドライバーでBabyfaceを利用できるのだ。またiPadでの利用にも道が開かれる。
Babyfaceの電源を入れるとき=MacとUSBを接続するときに同時に本体の2つのボタンを押しておくと、Babyfaceはクラス・コンプライアンス・モードで起動される(解除も同じ手順)。設定ツールがないと細かな設定はもちろん行えないが、オーディオ用USB-DACとして使う分には特に不便はない。このモードの搭載によってBabyfaceはより多くのオーディオファンに受け入れられやすくなったはずだ。
なおWindowsはシステム標準ドライバーがUSB Audio Class 2.0に対応しないため、このモードは利用できない。しかしもちろん、従来通りに専用ドライバーとアプリをインストールすれば普通に利用できる。
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