[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第88回】最新ハイレゾDAP全13モデル、音質・特徴・使い勝手を総まとめ<'14年上期版>
■Astell&Kern「AK100MKII」
▼実売目安:6万7,960円
▼高橋主観評価
音質 |○
操作性|○
携帯性|◎
コスパ|◎
登場当時にしては手頃な価格と悪くない操作性、そしてコンパクトさで、ハイレゾポータブルプレーヤーの間口拡大に大きく貢献したモデルのアップデート機。
ベースモデルとの違いは出力インピーダンスの調整のみ。その点は例えばBA型マルチドライバーイヤホンとの相性、中低域のドライブ感等もしっかり出せるようになったという部分に現れている。あと付属アクセサリーが豪華になっていることもポイントだが、「それ要らないから安くして」との声もあることはここだけの秘密だ。
スペック的には現在においてもハイレゾポータブルの最低限を満たしており、いまでも十分におすすめできる。しかしソフトウェア的なインターフェース、タッチパネルでの操作性は及第点程度。プレイリスト機能の使いにくさあたりは弱点だ。もっとも「じゃあ他の製品はみんなそのあたり使いやすいの?」と言われるとそんなことはないので、相対的には弱点というほどではない。
一方で外観のアクセントにもなっているハードウェアのボリュームダイヤルは、大まかな上げ下げも細かな調整も超快適!操作性の面での大きなポイントはここだ。あと携帯性とコスパに優れていて光デジタル出力対応なので、光デジタル入力対応ポータブルアンプとの組み合わせに適していることも、マニア筋に向けてのおすすめポイント。
音質面は良くも悪くも飾りっけがなく、厚みや湿度感といった要素は強く出さない。しかしおおよその要素においてハイレゾプレーヤーとしての基準をフラットにクリアしており、それ以上でもそれ以下でもない癖のなさは、このモデルの優れたポイントと言える。
■Astell&Kern「AK120」
▼実売目安|12万3,850円
▼高橋主観評価
音質 |○
操作性|○
携帯性|◎
コスパ|○
ベーシックな特徴はAK100MKIIと共通するので、それとの違いについて説明しておこう。
・DACがデュアル構成に
・PCM変換ながらDSD 2.6MHz再生も再生可能に
・ちょい大きくなった(でも十分に小さい)
…といったところだ。
PCM変換再生とはいえ、DSD形式で購入した音源を事前にPC側でFLAC等に変換する手間なく転送して再生できるというのは、使い勝手の上でのポイントだ。例えばDSDネイティブ再生は自宅のPCオーディオに任せると割り切れば、ポータブルでのDSD再生は再生さえできればOKと考えることもできるだろう。
あと新旧AKシリーズ共通で、これらはUSB-DACとしても機能する。必要な方には必要だろうしそうでない方には…な機能ではある。しかし例えば、自宅ではPCに接続してUSB-DACとして使うことで、その際に必然的に充電もされるといったシチュエーションは便利かもしれない。
音質面では、AK100MKIIのバランスの良さは損なわずに、より余裕を感じさせる表現力がポイント。中低域のほどよい厚み、抑揚の幅、音色の艶や湿度感といった要素が巧く加えられ、いわゆるより「音楽的」な印象だ。