[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第88回】最新ハイレゾDAP全13モデル、音質・特徴・使い勝手を総まとめ<'14年上期版>
■FiiO「X3」
▼実売目安|2万5,140円
▼高橋主観評価
音質 |○
操作性|×
携帯性|◎
コスパ|○
iBasso Audioと同じくこちらも、ポータブルヘッドホンアンプから展開を始め、ハイレゾポータブルプレイヤーにまで進出してきたブランドの製品だ。
概要としてはNW-F880には及ばないものの軽量コンパクト。そしてスペック的に近いのはAK100MKIIあたりだが、お値段はその半分未満ということでコストパフォーマンスは実に高い。と言いたいところなのだが…同じ価格帯にNW-F880があるので、それと比較するとコスパ◎とは言いにくい。
まあコスパについてはNW-F880が異様に良いのであって、それと比べたりしなければ本機のコスパも良好だ。こちらもPCM変換のDSD再生に対応するし、こちらはUSB-DACとしての利用も可能だったりする。またX5の方で説明するが、詳細不明だが、32bitや64bitの音源の再生も可能…らしい。
だが「?」となるのは操作性。タッチパネルでなくハードウェアボタンでの操作系を採用しているのだが、カーソルや音量の上下という対になるはずのボタンが縦にも横にも並んでいないあたりは、その配置の意図が僕にはわからない。何の意図もなく不自然なボタン配置にしているわけもないだろうから、慣れればその方が操作しやすいのかもしれないかもしれないが。
さておき、音質はなかなか悪くなく、NW-F880に匹敵する。特にベースをブリブリに弾ませて唸らせつつキレもあるというような、ロック的なドライブ感の表現は見事だ。細けーことはいいんだよ!ノリ重視!な方にはしっくりくるのではないだろうか。
■FiiO「X5 JAPANESE EDITION」
▼実売目安|5万3,780円
▼高橋主観評価
音質 |○
操作性|×
携帯性|○
コスパ|○
価格的にもそれに比して機能的にも音質的にも、もちろんX3の上位モデル。しかし単なる機能&音質強化版ではなく、ユーザーインターフェースにまで大きな違いがある。タッチパネルでないことは共通だが、こちらは物理的にくるくる回るスクロールホイールを備えて、それを活用した操作系となっている。
のだがこちらも、左から右に進む横書きテキストをベースにしたメニューであるのに「戻る」ボタンが右側にあるなど、ボタン配置の意図はつかみかねる。やはり逆に何か狙いがあるとは思うのだが…
気を取り直してスペック面の特記事項としては、microSDカードスロットが公式に128GB対応×2基となっており、容量面は将来に向けても安心。これを公式に上回るのは内蔵256GB+カード128GBのAK240、内蔵8GB+カード2TBのDX90jのみ。AK240は価格帯が違いすぎるしDX90jの2TBは現実的な話ではないので、この価格帯での容量の安心度は随一と言える。
しかも、FiiO本国のサイトでは、ファームウェアアップデートにてさらなる大容量カードをサポートする意思が明らかにされていたりもする…(will support for 512GB, 1TB, etc. with future firmware upgrades)。
なおファームウェアのアップデートといえば最新のVer.2.0では、PCMの32bitと64bitの再生もサポートされている…っぽい。その動作の詳細は僕には不明。現時点では32bit以上の音源は皆無なのでさほど気にしないでよいだろう。
音質についてはおおよそは、X3の方向性はそのままに全面的にグレードアップしたものと考えてもらえればよい。X3とはDACチップが異なるのだがそれでも音に一貫性があるのは、音作りの哲学が特にアンプ部分に反映されているからではないかと思う。
…というわけで今回は「主要ハイレゾポータブルプレーヤーざっくり一覧総まとめ」をお届けさせていただいた。繰り返すが、見ての通りのざっくりなので、「自分に合いそうなのはこれかな?」というものに当たりをつける段階で活用してほしい。詳細なレビューは各自別途に探していただければと思う。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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