[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第88回】最新ハイレゾDAP全13モデル、音質・特徴・使い勝手を総まとめ<'14年上期版>
■HiFiMAN「HM-802」
▼実売目安|7万1,890円*
▼高橋主観評価
音質 |○
操作性|△
携帯性|△
コスパ|△
HDP-R10よりさらに前からポータブルハイレゾプレーヤーを展開していたという、この分野のオリジネーターとも言えるブランド、HiFiMANの最新モデル。後述のHM-901をベースにDACのチップと構成を変更するなどしてコストダウンが実現されている。
具体的には、DACチップはあちらHM-901がES9018なところをこちらはWM8740 Dualに、構成はあちらがES9018×2基によるデュアルであるところをこちらはシングルにといったところだ。もちろん音質面では弱みになるが、代わりに再生時間が延びてたり発熱も少し抑えられてたりする。
そこの他はHM-901と同等のものと考えてよい。というか型番表記を読まない限り外観で見分けはできないだろう。であるので以下の特徴はHM-901にも共通だ。
操作性は、とりあえず△という評価にしてあるが、これはちょっと評価がしにくい。というのも他のモデルの多くはタッチパネル主体のインターフェースであるのに対して、この2モデルはいまどき非タッチパネルでくるくる回るスクロールホイール主体の操作系を採用しているのだ。ボリュームも他には見かけない場所に超アナログなものが配置されている。
なので正直「いまどき!?」という違和感と使いにくさはあるのだが、何かもう、そのフィジカルな操作感が「レトロで楽しい」気もする。一般論的にも僕の印象としても△にはしてあるが、これがはまる方にとっては○になるかもしれない。「はまったとしても○止まりかよ!」という点については、「往年のフィジカルなスクロールホイール搭載のiPodほどのインターフェースには達していないから」といったような理由だ。あとサイズはでかくて重いのでその点は覚悟が必要。
もうひとつの特徴は、両モデルはヘッドホンアンプ部分がカードモジュール化されており、用途に応じて自由に選択できるという点。スタンダードなアンプカードの他にバランス駆動用のカード等も用意されており、発展性が高いし面白味もある。ただしそのため、本体価格+1〜3万円でアンプカードの購入も必須だ。
音質はスタンダードカードでの印象。重量感も出しつつ引き締めも十分な中低域で、ロック系のドラムスとベースを実にかっこよくドライブさせてくれる。また高域側は良くも悪くも荒さや雑味を整えすぎず、例えばギターの歪みやシンバルの強打の濁点が炸裂する感じは、ロック系を聴く際には個人的には悪くない。
■HiFiMAN「HM-901」
▼実売目安|10万2,380円*
▼高橋主観評価
音質 |◎
操作性|△
携帯性|×
コスパ|△
音質の他はHM-802の説明を参照!
音質はHM-802の力強さはそのままに、精密感やしなやかさ、倍音のほぐれといった要素も併せ持つ。アンプカードは同じものでの試聴だったので、力強さはアンプカード、上乗せされた要素は本機のDACの威力ということかもしれない。いぜれにせよ、ロックにも余裕で対応するパワーに加えてアコースティックな楽器や女性ボーカルの繊細さも表現し切る、文句なしの音質だ。
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