<山本敦のAV進化論 第31回>
オーディオとウェアラブルの“おいしい関係”? − サムスン「Gear S」「Gear Circle」レビュー
再生操作はレスポンスがよく快適だ。何より、スマホやポータブルオーディオプレーヤーを持ち歩くことなく、“腕時計”だけで音楽が聴ける体験が斬新だった。
以前、タッチパネルを搭載した小さなスクウェア形状の第6世代iPod nanoを、リストバンド型アクセサリーを使って腕時計のように身に着けることができたが、当時のiPod nanoはBluetoothに対応していなかったため、音楽を聴く際にはワイヤードになってしまった。Gear Sならワイヤレスイヤホンが使えるので、リスニングスタイルも不自然にならない。
Gear Sを使ってみてた全般的な印象だが、腕時計の位置で音楽再生を操作したり、ショートニュースやメールがチェックできるのは意外と便利に感じられた。電話やメールの着信時に、スマホをポケットやバッグから取り出すアクションに比べて数段速く反応ができる。
一方で、ずっとニュースやメールを読んでいると、知らないうちに片腕が上げっぱなしの状態になって痺れてくることもあった。電車の中でつり革を掴みながらであれば楽になるかもしれないが、ポジション的にメールなど周囲にも丸見えになるリスクも出てくる。座席に座った状態ならベストだ。メールやWeb検索の文字入力はさすがに厳しく、特にアルファベット入力のキーパッドは誤入力を避けられなかった。音声入力を上手に併用したいところだ。
■使い勝手は上々だが、課題も見えてきた
Gear S単体での使い勝手は期待以上に良かった。同社初のスマートウォッチ「GALAXY Gear」の発売から約1年が経ち、インターフェースや本体のデザインが洗練されていることが実感できた。
カメラは本体に搭載されていないが、Samsung GALAXY AppsにはペアリングしたスマートフォンのシャッターをGear Sで操作できるようなるアプリも、サードパーティーから有料で公開されている。今後様々なアイデアを活かしたGearシリーズ向けアプリが増えてくればさらに盛り上がりそうだ。また、リストバンドを本体から取り外して交換することもできるので、今後アパレルやスポーツブランドとのコラボにも期待したい。
反面、気になるところはやはりバッテリーの持ち時間。Gear Sは普通に使って、フル充電からちょうど2日ほどで再度充電が必要になるペースだった。
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