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【特別企画】画質・音質を徹底検証

パイオニア「SC-LX88/78」レビュー − 想像以上の進化を遂げた革新的AVアンプ

公開日 2014/12/26 10:30 山之内 正
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アトモス再生のサウンドをチェック


トランスフォーマー/ロストエイジ
SC-LX88のドルビーアトモス再生は、4本のトップスピーカーを2.5m以上の高さに設置したパイオニアの試聴室で行った。聴き手の位置の前後上方にトップフォワードとトップバックワード各2本のスピーカーを配置する5.2.4ch方式で、広さに余裕のある空間で天井にスピーカーを配置できる環境なら、理想的な多次元立体再生を狙うことができる。

ドルビーアトモスのメリットは垂直方向の音響情報が増えるだけではなく、オブジェクトの導入によって音の移動や広がりの精度を飛躍的に高めたことにある。音が上からも聴こえるというわかりやすい効果以上に、すべての音響要素が連動し、緻密に関連し合ってリアルな立体空間を再創造する領域にまで表現力が高まるのだ。

SC-LX88の5.2.4ch再生では、そうしたAtmosのメリットを確実な効果として実感することができた。ドルビーが用意したデモンストレーション用のプログラムでは風や水の音のなめらかなつながりや移動感の忠実な再現が聴きどころで、連続的に広がる音の流れのなかに身を浸していると、トップやサラウンドに配置したスピーカーの存在が意識から離れ、映像と正確にリンクした空間描写の現実感に息を呑む。

『トランスフォーマー/ロストエイジ』では、音が滝のように降ってくる感覚や聴き手を包み込む音の重量感が圧巻。従来のサラウンドに比べて確実に情報量が増えていることはすぐわかるが、これまでのチャンネル数拡大とは明らかに次元が異なり、実際には説得力が何倍にも高まっているというのが実感だ。また、音の配置や移動感を忠実に再現するうえで、MCACC Proが果たしている役割も予想以上に大きいと思う。低域の位相が揃うと音場空間の見通しがよくなり、効果音の移動や音楽の浸透力など、音響的なふるまいが鮮明に聴き取れるようになるためだ。ドルビーアトモスのスピーカー配置とアンプの構成、MCACC Proの基幹機能はLX88と共通なので、LX78でも同様な効果を期待していいだろう。

   ◇   ◇   ◇   


冒頭で、新フォーマットの登場がAVアンプの進化を促すと書いた。SC-LX88とSC-LX78の場合、名称からはこれまでのモデルチェンジの延長に見えるが、内容の進化の大きさと革新性はその想像を明らかに超えていた。これからリリースが本格化するドルビーアトモス作品はもちろんのこと、既存の映画や音楽作品でもその進化はすぐに聴き取ることができるだろう。

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