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<山本敦のAV進化論 第41回>

パナソニックのテレビに採用される「Firefox OS」。その特徴と可能性をMozillaに聞く

公開日 2015/01/28 09:00 山本 敦
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「例えばハードからソフトまで一社単独で垂直統合型のエコシステムを構築できるような大企業でなくとも、ソースコードをオープンに共有することで、パートナーが連携しながらそれに匹敵する、あるいは上回るハイクオリティなプラットフォームを作り出せる可能性があります」。


「また、商品のプラットフォームをメンテナンスするためのコストの軽減にもつながります。他のOSではバージョンアップのたびに全く内容の違うソースコードがやってきて、その差分の履歴も公開されていないため、移植作業が発生し、メーカーにはコスト的な負担がかかります。その点については、アップデート予定の内容まで公開しているFirefox OSの透明性が活きてきます。ソースコードを積極的に共有されているパートナーは多くいらっしゃいます。そのほうがエコシステム的にやりやすいというご判断なのでしょう。その点では健全な仕組みが構築できていると私たちは自負しています」。

さらに浅井氏は説明を続ける。「Firefox OSはウェブ技術を使ったオープンなプラットフォームであり、ウェブ技術には特許の壁がありません。Webに関連する技術は“World Wide Web Consortium(W3C)”で標準化されますが、その元は参加者が非営利的に貢献してきた技術であり、特許ポリシーを要求しないことを前提に標準化され、それをベースにしているものは比較的ビジネスがやりやすいといメリットがあります」。従って、ウェブ技術はインターネットにつながる最適なプラットフォームとして広く拡散するポテンシャルを持っているという。

ところで、オープン性が売りのFirefox OS採用製品は、プラットフォームの面でどれも差が生まれにくく、結果的に製品が同質なものになってしまう懸念はないのだろうか。

今年のCESでAndroid TVをプラットフォームに採用するブラビアの新ラインアップを発表したソニービジュアルプロダクツの今村社長は、記者会見の場で「Android TVはソニーがグーグルとしっかりと手を組みながら、一部の機能をエクスクルーシブにつくることができるため、他社にキャッチアップされたり均質化を生まない構造ができている」ことを強調していた(関連記事)。

ソニーの“BRAVIA”はAndroidを全面採用

Firefox OSの場合は、メーカーが制作したソースコードをオープンにする範囲を自由に決めることができるのだという。そのため、例えばテレビに搭載する際は、ホーム画面のレイアウトや操作をカスタマイズし、その部分のソースは公開しないという選択も採れる。

「制作したソースを全て隠すことも含めて、どこまでオープンにするかはパートナーが選択できます。とはいえ全部隠してしまったら、結局のところ単独でプラットフォームをつくっているのと変わらなくなってしまいます。何のためにオープンソースによる開発に参加しているのかと言えば、ある程度リソースを共有化して開発した方がメリットが大きいからに他なりません。それをオープンにできる環境をFirefox OSは提供しています。パナソニック様の制作されたソースコードもかなりオープンになっており、インターフェースやAPIを作る際の議論もオープンに交わされてきました。そのソースを他社が使うこともできれば、パナソニック様もそれを歓迎しています。このようにオープンなエコシステムを作れる環境になっています」。


■モバイル用とテレビ用のアプリは共有が可能

開発されたソースコードの取り扱いについては開発者に委ねられているというFirefox OSだが、ユーザーエクスペリエンスの統一性につながるインターフェースのデザインや動作の振る舞いについて、Mozillaが独自にガイドラインを規定している部分はないのだろうか。浅井氏はこう語る。

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