<山本敦のAV進化論 第42回>人気ヘッドホンとの相性もチェック
ウォークマン新旧フラグシップガチンコ対決!「NW-ZX2」&「NW-ZX1」を聴く
電源基板には伝導率が良く、安定した電源供給が可能な厚膜の銅箔プリント基板が使われている。さらにアンプ部はチャージポンプ電源に高音質パーツを加えパワーアップを図り、従来は3個のPOSCAP構成だったところを7個のOS-CONに変更している。
基板上のオーディオ回路はレイアウトを見直し、GNDの面積は従来の約2倍に拡張。回路全体の安定性が向上している。さらにアンプからヘッドホン端子までのグランド線材は、ZX2からはL/Rを分離して配置することで、グランドにかかる共通インピーダンスを下げ、音楽再生のセパレーションを高めながら歪みも抑えた。部品接続用の“はんだ”には、ウォークマンの「Aシリーズ」から採用された高純度の“無鉛はんだ”を用いている。
そしてクロック部の最適化については、ZX1では48kHz系のみだった水晶発振器に、新しく44.1kHz系のクロックを追加。内部に2個のクロックを持ったことで、全ての種類の信号に同期することを実現した。ウォークマンの開発担当者によれば、これが全体の音質向上に絶大な効果をもたらしているという。
■大柄になったけれど意外にもハンドリングは向上した
本体はZX1よりもサイズが大きくなっただけでなく、質量もZX1の約139gに対して、ZX2は約235gと100g近く重くなっている。手に取ってみると確かにずっしりとした手応えを感じるが、反面、ハンドリングはむしろ向上しているように感じる。背面はZX1がボトム側に向かうほど膨らんだ形状をしていたが、ZX2ではリア側がよりフラットになって、ラバーグリップのエンボスも凹凸がはっきりとしているので滑りにくい。
側面に配置する電源、ボリューム、コントローラーのボタンはサイズが大きくなったが、凹面形状であるため、ボタンがフックになって、本体を握ったときに指の掛かりがとても良い。ボタンのクリック感も心地よい。さらに凹面形状で、出っ張りがないぶんバッグに入れているときの誤操作も減らせそうだ。
ZX1は背面のウォークマンロゴの部分にスピーカーが内蔵されていたが、ZX2ではこれが省かれている。大抵のユーザーはヘッドホンやイヤホンで使うプレーヤーだと思うが、あるいは残念に感じられる方もいるかもしれない。
液晶ディスプレイは4.0型のFWVGA(854×480ドット)。液晶テレビ“ブラビア”の広色域化技術をベースにした「トリルミナスディスプレイ for mobile」や、引き締まった黒色を再現する「オプティコントラストパネル」を採用した点は共通だ。画面の明るさを「設定」メニューから最大値にして色味を比べてみたところ、ZX1のパネルの方が色温度が高くシャープな色合いに感じられた。ZX2はやや黄色っぽい色調になっている。もっともこの辺は個体差に依存するところもなのかもしれない。
■「ZX2」と「ZX1」の音の違いを聴き比べてみた
まずは筆者がリファレンスに使っているオーディオテクニカの「ATH-MSR7」を使って、ZX2とZX1のサウンドを聴き比べてみた。なお、ZX2にも搭載されているソニーの音もの機能のイコライザープリセットである「ClearAudio+」については、ZX2、ZX1ともに初期値である「OFF」のままで聴いている。