<山本敦のAV進化論 第42回>人気ヘッドホンとの相性もチェック
ウォークマン新旧フラグシップガチンコ対決!「NW-ZX2」&「NW-ZX1」を聴く
ただしLDACもロッシーなコーデックなので、音質は元の音源から欠落してしまう。なぜなら、ロスレスで送るためには96kHz/24bitでは4.5Mbps相当のデータ量を伝送できなければならないが、これを1Mbps程度のビットレートに圧縮する際、非可逆の圧縮方式を採らざるを得ないからだ。それでもLDACでは限られた1Mbpsの中で最大限の高音質を引き出せるコーデック設計としている。
同じLDACに対応するレシーバー機器の側でデコードすれば、ビット深度と周波数は維持したまま、従来よりも一段と高音質なワイヤレスサウンドを楽しめる。送り出し側のプレーヤーはZX2をはじめ、4月にアップデート対応が発表されたウォークマン「Aシリーズ」が加わる予定(関連ニュース)。受け側は3月中旬にワイヤレススピーカー「SRS-X55」「SRS-X33」が国内で発売されることが明らかになったが(関連ニュース)、CESで発表されていたプレミアムヘッドホン「MDR-1ABT」(関連ニュース)などが、近くこれに続くことを期待したい。LDACの試聴レポートについてはまた別の機会にお届けしたいと思う。
■オーディオまわりで進化した「4つのポイント」
筐体まわりで高音質化が図られたポイントについては、「シャーシ」「電源の強化」「オーディオ信号線の最適化」「クロックの最適化」がキーワードになる。
写真から、ボディが見た目にもZX1より大きくなっているのがお分かりいただけるだろうか。ディスプレイは同じ4.0インチだが、縦方向にストレッチされ、厚みもかなりボリュームアップしている。
シャーシのマテリアルは低インピーダンス化を実現するため、フレームに総削り出しのアルミ材を使い、金メッキ処理の銅板を組み合わせたハイブリッド設計とした。
電源まわりでは、アンプに電力を供給するためのラインに電気二重層キャパシターを追加。瞬発力を高めながら、急激な電圧降下が防げることから、信号の出力の正確性も上げられるメリットがある。先述の大容量化されたバッテリーパックは電池保護回路をZX1の約1/2程度に低抵抗化したことで、電源の供給力を増大させている。