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<山本敦のAV進化論 第46回>MWCで話題の製品に迫る

まるでハロ? それとも現代版Rolly? ソニーの球体スピーカーは踊るだけじゃない

公開日 2015/03/10 12:16 山本 敦
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「技術設計の担当者には、当時Rollyのプロジェクトに関わっていた者がいます。しかし今回の製品のメインコンセプトは、あくまでボイスコマンドを使って何ができるかというところであり、コミュニケーション能力をもったポータブルスピーカーをつくることでした。音楽に合わせて動き回れる機能はあくまで付加的なもので、そこがRollyとは大きく異なります」。

Rollyが発売された当時も、動き回るオーディオ機器自体に特別な斬新さはなかったが、Rollyの場合はユーザーがPCソフトを使って動き方をプログラムできたり、楽曲解析機能により色々な動き方を自動生成することもできたところが画期的だった。

購入後にもユーザーが自由にカスタマイズできたり、「PS3」に代表されるようなソフトウェア更新などによって新しい機能が追加される製品はソニーの十八番だと言える。昨今のデジタル技術は目まぐるしいスピードで発展しているが、コミュニケーション機能を中心にユーザーの好みに寄り添ったチューニングができる製品になれば、「BSP60」はユーザーに長く愛用されるスピーカーになるだろう。

賑わうMWC 2015のソニーブース

本体のデザインにも周囲の注目を惹きつける特徴がある。耳を動かしながらしゃべる姿は、まるでガンダムに出てくるキャラクター「ハロ」にそっくりだ。

「本機のプロダクトデザインはソニーモバイル社内のデザイナーが担当しています。特に何かのキャラクターを意識したものではなく、いくつかプロトタイプをつくってみて、スピーカーとして強度や機能性に優れ、360度どこからみてもシームレスなデザインにするためには“球体”が最も適していたということです。本機のアクションのひとつに『OK、スピーカー』と話しかけられた方向にくるっと向くような動き方も検討していますが、その際には球体が最も効率のよい形状でした」(宮澤氏)。

なお、ソニーモバイルではこのスピーカーの“愛称”を特に考えていなかったようだが、宮澤氏は「MWCで発表してから本当に多くの反響をいただいていて、中には愛称を付けて欲しいという声もあります。これから商品化までの間に検討してみたいと思います」と前向きに語ってくれた。


■スマートフォンが「ハブ」になって、先進的な周辺機器の輪を広げてい

ソニーモバイルの製品といえば、まず最初に思い浮かぶものがスマートフォンやタブレットであり、「SmartWatch」シリーズや「SmartBand」シリーズなどのウェアラブルがこれに続く。

そしてソニー本社からはレンズスタイルカメラ「QXシリーズ」や、音楽プレーヤーに加えてソニーのセンシング技術を内蔵するスポーツ用Bluetoothイヤホン「Smart B-Trainer」など、先進的な製品がXperiaとの連携を実現して、コネクティビティの輪がさらに広がりつつある。

その輪の中に新しく加わる“Smart Bluetooth Speaker”「BSP60」は、“踊るスピーカー”というキャッチーさについ目を奪われがちだが、より本質的な価値はユーザーとデジタル機器との距離感を縮め、コミュニケーションを深めることがねらいにあるのではないだろうか。

昨年11月にソニーモバイルコミュニケーションズの新社長に就任した十時裕樹氏は、MWC 2015でのスピーチや記者会見の場で、今後もコアデバイスであるスマートフォンのビジネスに全力で取り組むとともに、スマートフォンをスタンドアロンの製品として見るだけでなく「ハブ」に見立てながら、様々な周辺機器やサービスとの連携から新しいライフスタイルをつくる価値を生み出す重要性を説いた。ユーザーに向けた新しい価値提案を実現していくためには、ソニーが長年蓄積してきた「ものづくりのノウハウと人材」、さらには新しいものへ積極果敢にチャレンジしていく「ベンチャー精神」を「二つの資産」としながら、目指すゴールに向かってスピードアップしていくと宣言した。

オープニングスピーチに登壇したソニーモバイルコミュニケーションズ社長の十時裕樹氏

進化を模索するソニーモバイルの歴史の中、このタイミングで本機が発表されたことは、後に大きな意味を持ってくるように感じる。モバイルの未来に何か新たな変化を起こしてくれるのではと期待を感じさせてくれる製品だったからこそ、多くの来場者が本機の展示に足を止めたのだと思う。

宮澤氏は「ソニーモバイルは、昨今のユーザーのライフスタイルをつぶさに調べながら、Xperiaをハブにして楽しめる製品のバラエティを広げて行きたい」と意気込みを語る。「BSP60」の発売は今夏が予定されており、国内ではリアルショップとオンライン、海外ではオンラインを中心に取り扱われるようだ。

「当初は先端テクノロジーを好むギークな方々に注目される製品になると想定していていますので、ただのワイヤレススピーカーではないところを、動画なども交えながら詳しくご紹介していきたいと考えています。うまくいけばSDKも同時期に公開したいと思います」と宮澤氏。完成型はどんな製品になるのだろうか?本機とのコミュニケーションが楽しめる日が今から楽しみだ。

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