井上千岳氏がレビュー
ラックスマンの新セパレート「C-700u/M-700u」が到達した地平。「無色透明」の実体感とは?
■最上位900シリーズに続くラックスマン最新のセパレートアンプ
ラックスマンは2005年に、創立80周年記念モデルとなるパワーアンプ「B-1000f」を発売し、その対となるプリアンプ「C-1000f」をはじめ、800シリーズ、600シリーズとセパレートアンプの開発を続けてきた。これが一段落した後、6年のインターバルを置いて登場したのが一昨年発売の「C-900u」と「M-900u」である。2014年秋に登場した「C-700u」「M-700u」(関連ニュース)からなる700シリーズは、その弟モデルという位置付けになる。
従来の800シリーズと600シリーズは、ともにパワーアンプを純A級で構成していた。900シリーズ以降はAB級動作としているのが大きな違いだが、ただしA級動作領域も実用上十分な範囲まで拡大し、ハイパワーとの両立を図っているのが特徴と言える。「M-700u」では6WまでA級である。
それ以上に技術面での大きな変更点は、LECUAとODNFのバージョンアップである。いずれもラックスマンの根幹技術だが、プリ、パワーともにその対象となっている。
LECUAはボリューム回路で、固定抵抗を電子制御で切り替えるアッテネーターと増幅回路を一体化したラックスマン独自のユニットである。電子制御であるため精度が高く、信号経路は最短に保たれる。「C-700u」では新LECUA1000という「C-900u」と同じバージョンを搭載し、コントロールのステップ数も増加させている。
■ODFNのバージョンアップで立ち上がりやレンジをさらに向上させた
ODNFはNFBの一種だが、信号全体を帰還させるのではなく歪み成分だけを検出してフィードバックする。部分的にはフィードフォワードも適用されて全く独自の構成となっているが、このシリーズではバージョン4.0という最新版となっている。
従来バージョンとの違いに触れておくと、増幅段全体の初段を4パラレル、2段目をダーリントン接続とし、誤差検出アンプ(出力から戻した信号と入力信号を見比べる)も初段を3パラレルとしている。回路全体を高性能化することで、NFB量を抑えながら高S/N・低歪率化を図ったものである。
プリアンプもパワーアンプも同様だが、プリアンプではちょうど最終段のドライバー部分までが搭載された形になる。パワーアンプはその先にトランジスター4パラレルがつながる仕組みである。
この4パラレルというのは、これで1つのモジュールを構成しているもので、上級機の「M900-u」ではこのモジュールを2つ装備して1チャンネル分としている。本機ではその半分ということになるが、出力は8Ωで120W×2。1Ω瞬間最大では960W×2を確保する。
ODNFの特徴は立ち上がりが速いことと、ワイドレンジでレスポンスが均一であることと言っていい。本機ではこの回路を改良することで、これらの性能をいっそう高めている。それが音質にも確実に反映されているわけだが、詳しくは後で触れる。
ラックスマンは2005年に、創立80周年記念モデルとなるパワーアンプ「B-1000f」を発売し、その対となるプリアンプ「C-1000f」をはじめ、800シリーズ、600シリーズとセパレートアンプの開発を続けてきた。これが一段落した後、6年のインターバルを置いて登場したのが一昨年発売の「C-900u」と「M-900u」である。2014年秋に登場した「C-700u」「M-700u」(関連ニュース)からなる700シリーズは、その弟モデルという位置付けになる。
従来の800シリーズと600シリーズは、ともにパワーアンプを純A級で構成していた。900シリーズ以降はAB級動作としているのが大きな違いだが、ただしA級動作領域も実用上十分な範囲まで拡大し、ハイパワーとの両立を図っているのが特徴と言える。「M-700u」では6WまでA級である。
それ以上に技術面での大きな変更点は、LECUAとODNFのバージョンアップである。いずれもラックスマンの根幹技術だが、プリ、パワーともにその対象となっている。
LECUAはボリューム回路で、固定抵抗を電子制御で切り替えるアッテネーターと増幅回路を一体化したラックスマン独自のユニットである。電子制御であるため精度が高く、信号経路は最短に保たれる。「C-700u」では新LECUA1000という「C-900u」と同じバージョンを搭載し、コントロールのステップ数も増加させている。
■ODFNのバージョンアップで立ち上がりやレンジをさらに向上させた
ODNFはNFBの一種だが、信号全体を帰還させるのではなく歪み成分だけを検出してフィードバックする。部分的にはフィードフォワードも適用されて全く独自の構成となっているが、このシリーズではバージョン4.0という最新版となっている。
従来バージョンとの違いに触れておくと、増幅段全体の初段を4パラレル、2段目をダーリントン接続とし、誤差検出アンプ(出力から戻した信号と入力信号を見比べる)も初段を3パラレルとしている。回路全体を高性能化することで、NFB量を抑えながら高S/N・低歪率化を図ったものである。
プリアンプもパワーアンプも同様だが、プリアンプではちょうど最終段のドライバー部分までが搭載された形になる。パワーアンプはその先にトランジスター4パラレルがつながる仕組みである。
この4パラレルというのは、これで1つのモジュールを構成しているもので、上級機の「M900-u」ではこのモジュールを2つ装備して1チャンネル分としている。本機ではその半分ということになるが、出力は8Ωで120W×2。1Ω瞬間最大では960W×2を確保する。
ODNFの特徴は立ち上がりが速いことと、ワイドレンジでレスポンスが均一であることと言っていい。本機ではこの回路を改良することで、これらの性能をいっそう高めている。それが音質にも確実に反映されているわけだが、詳しくは後で触れる。