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角田郁雄のオーディオSUPREME

dCS「Rossini Player」を聴く。独自の5bit Ring DACが奏でる唯一無二のサウンドとは?

公開日 2016/02/10 10:27 角田郁雄
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Rossini Playerの詳細

Vivaldiの技術要素を惜しみなく投入したDAC+アップサンプラー

そして昨年は、Vivaldiの技術要素を惜しみなく投入しながらDACとアップサンプラーを一体化した「Rossini DAC」、そこにCDトランスポートまで内蔵した「Rossini Player」が登場して、ハイエンドオーディオファンの注目を集めることになった。本記事では特に、Rossini Playerを紹介したい。

dCS「Rossini Player」

まず印象深いのは、デザインだ。Vivaldi DACと同様の柔らかなフロントカーブの上に、本機ではさらに複数のウェイヴの切削デザインが施され、気品ある美しいフロントパネルを構成している。

Rossini PlayerはCD再生に加えて、USB-B端子からのPC再生が可能。USB-A端子からはUSBメモリーに保存したハイレゾ音源の再生もできる。LAN入力も搭載しており、ネットワークプレーヤーとしても機能する。ハイレゾフォーマットは、5.6MHz DSDと384kHz/24bit PCMに対応する。Vivaldi DACは2.8MHz DSDまでの対応だったので、上位モデルの対応フォーマットを上回っていると言える。

フロントパネルのディスプレイには、選択した入力名や再生した楽曲名などが表示される。パネル右側にはCDの再生/停止ボタンや入力セレクター、電源スイッチなどがシンプルに配置されている。音量調整ボリュームも備える。実際の操作では、付属リモコンに加えて、iPadをはじめとするiOS、Androidのモバイル端末で使用できる専用アプリ「dCS Rossini」を用いることになる。

専用アプリ「dCS Rossini」を用意する

このアプリでは、音楽ファイル再生やCD再生、デジタル入力切替、位相切替などが操作できる。さらにはPCMのDXD/DSDへのアップサンプリング切替、フィルター選択(PCMは6種、DSDは4種)、音量調整などもアプリから行える。なお、TIDALの再生にも対応している。音のことで言えば、PCMをDXDやDSDに変換できるところにも惹かれた。

リアパネルには、豊富な入力端子が備えられている。USB-B、USB-A、LANに加え、同軸デジタル2系統、光デジタル1系統、AES/EBUを2系統装備する。もしPaganiniやScarlattiなど、dCSのSACDトランスポートをお持ちなら、2系統のAES/EBUを用いたデュアル接続によって、SACD再生も可能になる。

Rossini Playerの背面端子部

アナログ出力はRCAアンバランスとXLRバランスを装備し、出力電圧を一般的な2Vに加えて、6V、0.2V、0.6Vの4つから選択できる。特に6Vに設定すると、パッシブフェーダーなど増幅回路を持たない音量調整器やパワードスピーカーを使う場合でも音量の不足とならない。スタジオでの使用に配慮したと仕様であろう。0.2、0.6Vと言う低い出力は、入力感度の高いヴィンテージアンプでも音が歪まないように配慮したのではないかと思う。

内部の技術も実に魅力的だ。フロントの中央には、フィリップスの技術を受け継ぎながら開発を続けているSteam Unlimited社のCDドライブを配置。そのサイドには、完全にシールドされたアナログとデジタルトランスを配置する。基板は3層に構成されているようで、最上段はCDドライブの制御とデジタル系電源基板。中央段は、最下部のデジタル入出力制御回路/クロック回路ボードの上にフローティングするように配置された5bit Ring DACとアナログ出力段である。下段のボードはアナログ系の電源整流回路で、5bit Ring DACの直近に配置。デジタルとアナログの各処理は見事に分離されている。FPGAを駆使したデジタル制御ボードと5bit Ring DACボードの精密で美しい仕上がりを見ていると、オーディオマインドが掻き立てられるではないか。

次ページRossini Playerの技術(Ring DACについて)

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