百花繚乱の現状に驚愕
VRとアダルトコンテンツの相性とは? その可能性を体当たり検証!
このあたりで少し余裕が出てきて、左側を向いてみた。すると、ほかの女性二人が、なにやら行為を行っている。「なるほど、そちらを眺めてもいいという趣向か」と独りごちる。考えてみたら、目の前の女性を見ながら、定期的に左で行われている行為の進捗状況を確認するなどということは、VRでなければ絶対にできないことである。
音声もバイノーラル録音されているので、様々な音や声が方向性を伴って、立体的に聞こえてくる。月並みな言い方になってしまうが、あたかも自分がその場にいるかのように、様々な効果音が脳内に直接飛び込んでくるような感覚だ。
■主観視点が続くと飽きも。フルCGコンテンツに期待
とにかく素晴らしい映像体験なのだが、しばらく見ていると、わりと早く飽きてしまった。主観視点が延々続くので、あまり映像に動きがないというのがその最大の理由だ。
通常のソフトは次々にカットをつないで、最大限の刺激が持続するよう工夫を凝らしているが、VRアダルトコンテンツは一つの視点を引っ張る傾向が強い。「VirtualRealPorn」などほかのサイトでも確認してみたが、やはり主観視点のものが大半のようで、同様の傾向だった。VRアダルトコンテンツで視点が頻繁に変わると不自然だし、疲れるからかもしれない。
またGoogleカードボード対応ゴーグルの場合、再生中の早送りや早戻しがしづらいのも難点だ。少し先のシーンに飛びたい場合、いったんiPhoneを取り出し、スクラブバーをスライドさせて任意のシーンを選んだ後、再びiPhoneを収納し、視聴するという、ものすごくまどろっこしい作業が必要になる。
さらに言うと、Googleカードボード対応ゴーグルは多くの場合、手でゴーグルを固定して視聴するので、致命的な問題が発生する。両手がふさがっているのだ。これが何を意味するかはおわかりかと思う。
とはいえ、これらの操作性の問題、また手が空かない問題は、GearVRなど操作部や頭部に装着する機構があるゴーグルならば、かんたんに解決することだ。VRアダルトの根本的な問題ではない。
だが、主観視点が多めだと飽きやすいというのは、VR実写アダルト全般の課題であるように感じた。主観視点をうまく使いながらカメラを移動させるなど、撮影や編集手法にはまだまだ工夫の余地がある。だが、そういったことを押し進めてしまうと、いずれ「果たしてVRである必然性があるのか」という根本的な問題にぶつかってしまうだろう。難しいところである。
今回はGoogleカードボード対応ゴーグルで、しかも実写動画のみという簡易的な体験だったので、正直なところ片手落ちだ。だが実写VR動画を見る限り、たとえこれがGearVRやOculus、HTC VIVEなどになったとしても、先ほど指摘した「主観視点が飽きやすい」という根本的な問題は解決されないだろう。違和感を抑えながら視点を細かく変えられるようになればよいのだが、技術的な課題は多そうだ。
今回はテストしていないが、フルCGでレンダリングされた世界であれば、自分で好きなところに移動し、視点も自由に動かせる。もちろん人物と見まごうクオリティのCGを、リアルタイムにハイフレームレートで動かすハードルはものすごく高いだろうが、将来的には期待できそうだ。
それに2次元キャラであれば、生身の人間をCGで再現するよりもはるかにハードルは低い。筆者は2次元キャラとのシンクロ率があまり高くないのだが、この分野がもうしばらく進んできたら、あらためて検証してみたいと考えている。