同一ドライバー機と比較試聴!
64 AUDIOのカスタムIEMはどれくらい変わった? 実際に作って聴き比べてみた
■シェルの美しさから違う! 着実な進化
インプレッションが終了して、本国の64 AUDIOへ耳型を送ってからおよそ1ヶ月。待望の「A4」が手元に到着した。余談ではあるが、今回は1964-Qを作った特のように冒険せず、耳型を送った段階で「普通のデザインにして欲しい」という旨を口酸っぱく伝えていたので、開封時は以前のような見た目のドキドキ感よりも、音に対する期待度の方が大きかった。
ケースを開いた瞬間に感じたのはシェルの綺麗さ。今回は中身のユニットがしっかり見えるようシェルは「クリア」を選んだのだが、その透明度の高さは製造クオリティの向上を物語るものだった。
この高品位なシェルの実現には、3Dプリンターによる「3Dフィット技術」という新しい製作工程を採用したことがある。もともと1964 EARSの時代からシェルの美しさには定評があったが、64 AUDIOではさらにそのレベルが上がっている印象を受けた。
シェルの作りという意味では、「ガッシリ感」というか、そもそもの作りがレベルアップしている印象だ。64 AUDIOの製品には前述のapexテクノロジーによるモジュールが取り付けられていることもあるのだろうが、明らかに高級感が違う。このモジュールを取り外してみると、内部には一種のフィルターのような構造が見て取れる。音圧を逃がすための構造なので、ある意味ではオープン型ヘッドホンにも似たような構造でもある。しかし、いざ装着してみるとその遮音性は抜群。音漏れもない。実際に装着してみると、フィット感は64 AUDIOの方がしっかりしているのに、耳への圧迫感はかなり軽減されているようだ。
ケーブルについても、64 AUDIOではプラグの折れを防ぐべく、モールド部の1/3ほどがシェルの中に入る構造を採用している。
耳掛け式を採用するカスタムIEMの場合は、思いのほか装着時における端子部への負担が大きい。1964 EARSのように本体とケーブルの接合部がプラグのみのIEMでは、使い方によってはプラグ部から折れてしまい、折れた部分をシェルから取り出すのにひと苦労……という可能性もあった。64 AUDIOでのこの構造は、長期にわたる使用での信頼性という意味でも、確実な向上を実現した注目すべきポイントといえる。
開封した段階で言えるのは、64 AUDIOではハイエンドIEMの開発を進めるいう言葉のとおり、見た目のクオリティから1964 EARSを圧倒した完成度を実現しているということだ。
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