DSD11.2MHzからMQAまで、そのサウンドを徹底検証
iFi audioのポータブルDAC「xDSD」を、据え置きシステムと組み合わせて実力チェック
■下手な据え置きDACを凌駕するサウンド
スマホを利用してのポータブル環境、パソコンと組み合わせてのデスクトップオーディオ環境、そして本格的なハイファイシステムにも組み込めるなど、xDSDは1台でさまざまなシチュエーションに対応できる。今回の試聴はスピーカー環境を利用してxDSDの能力を確認したが、その音質は予想以上に優秀だった。下手な据え置き型DACの音は凌駕していると断言できる。
また、ひと通り試聴していてひとつ良いことに気がついた。それはDACとして使いやすいことだ。本機は多機能な割りにボタンの数が少なく、よく使う機能と使わない機能のボタンの割り振り方や、入力端子と出力端子のレイアウトも洗練されている。また、ボリュームロータリーノブを兼用した電源スイッチや、LEDインジケーターのカラーバリエーションによって現在の再生ステータスがひと目で分かるなど、ユーザーインターフェイス全体が機能的なのである。
iFI audioは2014年に初の「ヘッドホンアンプ&プリアンプ&DAC」を発売し、それ以来、多機能な製品が必要とするユーザーインターフェイスなどのノウハウを溜めたのだろう。その結果、優れた音質と先進性に加え、非常に高度なユーザビリティも取得したのである。
ハイレゾをはじめとするデジタルファイル、スマホやパソコンを利用したサブスクリプションタイプのストリーミングサービスが音楽リスニングの大きな柱となっているいま、ハードウェアは大きさや形に自由度が生まれ、ワイヤード/ワイヤレス問わずさまざまな接続ができるようになった。xDSDはこれら「現在進行形」のソースに全方位的かつ最良の音質で対応する、戦闘力の高いポータブルDACだ。
(土方久明)