【PR】開発陣に詳細を聞いた
構想10年、DACを2チップに“分離”した成果とは? AKM「AK4191+AK4498」を聴いた
■「本当にチップを分けただけなのか?」
では、完全分離構造としたことでどんなメリットがあるのか。セパレートDAC開発陣は『聴感上のS/N向上』にあると説明する。佐藤氏はこう語る。
「実はワンチップの頃から、デジタル/アナログ分離は実験的にやっていたのですが、LSIのウェハー基板を通して、デジタル部からアナログ部にノイズが飛んでしまうのです。デジタル部クロック由来の、数MHz〜数十MHzのノイズが出ていて、これがアナログ部に悪影響を及ぼしていたのですね。そうした要因を避けるために分離構造を取り入れたところ、聴感上のS/N感が良くなりました。社内の試聴でも『本当にチップを分けただけなのか?』と驚嘆の声が上がるほどでしたね」。
■入力対応音源のレゾリューションがこれまでの倍に
AK4191のスペックを見て驚くのは、対応レゾリューションがAK4499の倍になっている点だ。さらに、オーバーサンプリングが256倍となっているところも大きな進化点といえるだろう。
入力レートが倍となっていることについては、AKM製DACチップを採用するオーディオ製品は、DACチップ前段にFPGAを用いて処理を行うケースが多いため、それに対応することを念頭に置いたという。つまり、オーディオメーカー側で独自の処理を行いやすい設計となるよう配慮したのだ。
さらに長い目で見ると、現実的に音源が存在しないとはいえ、1536kHz/64bitのPCM/45.1MHzのDSDまで対応することで、ハードウェアの可能性を高め、上を目指す設計者の思いを後押ししたいという開発陣の意思もあったという。
製品開発センター 製品開発第1部の中鉢達也氏は、「今後5Gの普及によりストリーミングデータが大容量化していくことが想定されますが、そうした時代に向けて高分解能・高速化を先駆けて進めたということです」と語る。