HOME > レビュー > 構想10年、DACを2チップに“分離”した成果とは? AKM「AK4191+AK4498」を聴いた

【PR】開発陣に詳細を聞いた

構想10年、DACを2チップに“分離”した成果とは? AKM「AK4191+AK4498」を聴いた

公開日 2020/09/30 06:45 岩井喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

そしてもう一つのチップ、AK4498についてであるが、前述の通りAK4498はAK4497のアナログ部の構成とほぼ同等だ。前段のAK4191から6bitのストリーム信号を受け取れるようになっているが、チップサイズやピン配列数はAK4497と同じものとなる。

AK4498

AK4497と比較し、アナログ部で使える部分が多くなったことでのメリットについても十分考慮されており、スペック的には据え置きだが、音質面ではAK4497を超える、より良いものとなるよう作り込んだという。

デジタル部を分離したことで生まれる、各パートの余裕ある安定した電源供給、そしてAK4191の存在が、AK4498のポテンシャルをさらに高めているのである。

ICのDACにはディスクリートとは違った魅力がある

現在ハイエンドオーディオ市場では、汎用DACチップを使わないディスクリート構成のものがもてはやされている。この点についてAKMのスタンスを聞いてみた。佐藤氏は次のように語る。

「デジタル的スペックですと、AK4191はディスクリート並みの数字になっているので、従来のワンチップのものに比べてキャッチアップできているのではないでしょうか。特に音という点では、ディスクリート・IC、どちらかが良い悪いということはないと考えます」。

「独自構成や素子の大きさなどのメリットを持つディスクリート構成に対し、ICはワンポイント収録におけるステレオマイクのように、素子の特性がきちんと揃っています。つまり、手軽にいい音を目指せます」。

「音の作り込みという面でも、ディスクリートでは部品の選び方やパターニングというところで手をかけることができますが、一方でICはバラつきがないので、電源のチューニングをしたり、筐体を作り込んだりなど、手間を違うところに使うことができます。ディスクリートとはまた違った製品づくりができると考えています」。

AK4499とは別の方向性の、もう一つの理想の音

今回のセパレートDACチップのソリューションと、これまで積み上げてきたワンチップ型のAK4499との立ち位置の違い、そして完全分離という新たな道を切り拓いた先にある、今後のビジョンについても教えていただいた。

「AK4499は性能面、音質面で最高の品質である “VERITA” の称号を与えています。S/N比や高調波歪率などのスペックについてもAK4499が上を行く。一方で今回のセパレート構成は我々の理想の形、新しいコンセプトを具現化したソリューションと位置付けています」。

「例えば特性ではAK4499に分がありますが、新たな可能性や音質面のメリットという意味では、セパレート構成も優れている。AK4191とAK4498がもたらすサウンドを、AK4499と別の方向性の、もう一つの理想の音として、自信を持ってお届けします。ワンチップかセパレートか、お客様の好みに応じて選んでいただけるラインナップの幅を広げたということですね」。

「今後のセパレートシリーズについてですが、AK4191はフレキシビリティがありますので、AK4498を超える、高いスペックのアナログパートを開発してみたいですね。AK4499の分離型というのも良さそうです。また、今回の2チップはプライスとして高めですので、もう少し安いプライスレンジの製品を提供し、裾野を広げる展開も行いたいですね。DACチップを分離させるというメリットをマーケットに認めてもらえるよう、努力を続けていく所存です」。

次ページいよいよ試聴。完全分離構成ならではの魅力を実感

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク